フランス革命とナポレオン戦争終結後のヨーロッパの秩序再建と領土分割を目的として、オスマン帝国を除く欧州の主要な全国家がウィーンのシェーンブルン宮殿(行ったことがある)に集まった1814年のウィーン会議。
舞踏会が連夜きらびやかに行われた一方で、相互の利権が絡み合って、各国はより有利な条件と領土の拡張を求めて互いに牽制し合ったため、会議はいっこうに進まなかった。
ここから「Le congrès danse beaucoup, mais il ne marche pas(会議は踊る、されど進まず)」の言葉が生まれた。
今、ロシアによるウクライナ侵略問題を巡り、ロシア軍の即時撤退などを求める決議案について、国連安保理はロシアの拒否権発動、中国、インド、UAEの棄権により否決され、何も決められなかった。
まさに「会議は踊る」が再現された。
罪なきウクライナ国民が置かれている辛苦になんともする術がなく、隔靴掻痒の感がして胸が痛む。
もとはといえば、ソ連崩壊後、米国クリントン政権(私がワシントンDCの国務省本館を訪問したのは、クリントン=ゴア正副大統領当時の時だった)が、NATO(北大西洋条約機構)の東方拡大路線を採用してロシアを凍らせる選択を行ったところに今日の問題の発端がある。
その意味では、ソ連時代のKGBでNATO担当の情報将校だったプーチンがウクライナのNATO加盟に拒否反応を示して,その動きへの対抗を正当化したことに一理はある。
しかし、現実に行った今回の行為は、ナチスドイツの各国侵略、日本の満州進出同様、「自国民の保護」を口実とする「侵略」行為であり、メディアが「侵攻」と呼ぶのは間違いだ。
1974年の「侵略とは、・・・一国が他国の主権、領土保全もしくは政治的独立に対して武力を行使すること、又は国際連合憲章と両立しない他のいずれかの方法により武力を行使することをいう」との国連総会決議に違反する紛れもない国際法違反であり、ロシアは侵略を即時に中止して撤退しなければならない。
大卒40年後、現役リタイアを機に大学に戻り、国際法、国際組織法、国際関係論を学び直したことがある。
その中で痛感した言葉が「世界は依然としてアナーキーである」ということ。
つまり、世界統一国家若しくは世界連邦が成立し、世界唯一無二の統治機能の存在が生じない限り、世界(国際社会)はまさに「無政府状態」にあるということだ。
なるほど、2つの大戦を経験して獲得した国連、国連憲章、不戦条約をはじめとする条約類などはそれに近い機能を果たすが、それとても完全ではないことは明らかだ。
今回の安保理の状況を見、ウクライナ国民の困苦を想像するに、誠にやるせない思いに胸を詰まらせている。
ウクライナに平和を。戦争には絶対反対。
Мир в Украине! Против войны!
2022.2.25 Sophia Loren(ソフィア・ローレン, 1934-)主演の映画「I Girasoli (ひまわり)」(1970)で一面に咲きわたるひまわりの撮影地はウクライナの首都キエフの南方500kmのヘルソン州だったな(在ウクライナ日本大使館もそう紹介している)と思い出した毒舌亭より〜
←専制国家の独裁者というのは、結局ああいうモノなのでしょうね。葉羽
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