「windblue」 by MIDIBOX


練馬文化センター(1332席)に飯森範親指揮パシフィックフィルハーモニア東京のコンサートを聞きに行った(5月3日土曜日)。

 このオーケストラはもともとは東京ニューシティフィルハーモニーだったが、2022年4月から「カラオケの鉄人」を上場させたことで知られる日野洋一氏が経営をすることになって、飯森範親を音楽監督にして楽団名も変えて再出発した。

 ところが、2024年3月に突如団員16人が退団。凄まじいリストラ策が提示されたためだ。その後組合ができて混乱はひと段落しようだが、簡単に経営がよくなるとは思えず、どうなっているのかという興味もあった。

 3大交響曲の演奏会だが、私は今まで聞いたこともない練馬文化センターで聞くというのも一興かと思った次第。最近、群響の演奏会(マーラー交響曲第9番)で飯森の実力をあらためて知ったばかりだし、これはいい機会。

 他にアマチュア・オーケストラの演奏会も2つほどあったが、5400円のシルバーS席を買って練馬までやってきた。駅から3分。駅近というのはこういう時にいいものだ。二階席のセンターよりの最前列の大ホールの音響は悪くなかった。

 今更通俗名曲を聞かなくともと思うのだが、これが実に新鮮だった。未完成はこの曲の深淵を十分に表現。運命は第1楽章こそちょっとミスがあったが、その後の高揚は見事なもの。

 4月29日火曜日にアマチュア・オーケストラの豊島区管弦楽団で運命を聞いたばかりだったが、やはりフォルテの総奏の美しさがまるで違う。プロとアマの違いを思い知った。

 このオーケストラ、木管の女性陣がなかなかの高レベル。ホルンもトロンボーンもほぼノーミス。15分の休憩後の新世界も後半はやや集中力が途切れたようだが、それでも高水準。

 なにか思うところがあったのだろうか。実に気合が入った演奏。加えてアマチュア・オーケストラ的な真摯さも感じられて大満足だった。いやそれ以上に感動した。

 編成は10-10-8-6-6、新世界こそホルン4管、トロンボーン3管だが、基本は2管。新世界のイングリッシュホルンはオーボエ奏者の持ち替えだったが、見事な演奏だった。

 音楽監督の飯森も最後まで笑みがなくて、楽団の厳しい状況を感じたが、思い過ごしだろうか。

 飯森の実力はよく分っているつもりだ。もっとビッグなポストを得てもと思っている。パシフィックフィルには頑張ってほしいものだ。

(2025.5.24「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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