「windblue」 by MIDIBOX


NHKEテレのクラシック音楽館を見ていたら、長髪のヤサ男がバッハを弾いたりフォーレのレクイエムのピアノ編曲を弾いたり、ドビュッシー、ラヴェル、ストラヴィンスキーの名曲をグランドピアノ、プリペアードピアノ、シンセサイザーで弾いている。

角野隼人の演奏会(NHKEテレから)

 これがCateenこと角野隼人(すみのはやと)だった。サントリーホールの今年2月22日のコンサートを収録した番組だ。観客はほとんどが女性客のようだ。

「ブラヴォー!」なんていうオヤジの蛮声は聞こえないが、それでも感極まった女声は聞こえる。角野も「写真撮影OKです」と笑みも見せずにハンドマイクでアナウンスする。こんな音楽家いるんだ。

  角野隼人

 角野は重苦しいピークドラペルのダブルの黒いスーツを着ている。背中を見ると4つの白い糸。取り忘れた仕付け糸ではない。

 ファッション好きには「常識」とも言える「メゾン マルジェラ」のロゴマークである。しかし、コンサートで「メゾン マルジェラ」着ているピアニストっどうなの。

 角野は1995年7月14日年千葉県八千代市生まれ。開成中学、開成高校を経て現役で東京大学工学部入学。2018年東京大学工学部卒業。2020年同大学院情報理工学系研究科修士課程卒業。音大ではなく東大に進学。

 本人によるとピアノを毎日何時間も練習するのは無理でしたが、数学の問題を解くのは長時間でも平気だったので、東大にしたのだという。なんか凄い経歴にたじろいでしまう。

 尊敬する音楽家は、ショパン、リスト、ラフマニノフというので笑ってしまう。

 こういう男はどんな人生を歩むのだろう。

 そう言えば、先日の東京春音楽祭の目玉とも言うべき演奏会形式によるワーグナーの楽劇「パルジファル」でN響のコンサートマスターの郷古廉(ごうこすなお)の黒靴の底が見える瞬間があった(3月30日)。

 こんなこと滅多にないのだが、かなり踏ん張って弾いたためではないのだろうか。これがなんと真っ赤!

 ファッション好きならこれも「常識」だが、この赤い靴底の靴は「クリスチャン ルブタン」というパリのブランドだ。

 
「クリスチャン  ルブタン」のメンズシューズ

 しかし舞台神聖祝典劇とも言われる「パルジファル」の演奏をするときにルブタンの底赤の革靴を履くのかなあ。ちょっと私には理解不能なのだけれども。

 今年3月末に退任したN響の名コンサートマスターだったマロこと篠崎史紀はこんなことを郷古に教えなかったのだろうか。

(2025.4.11「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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