南青山のコム デ ギャルソン本社で「コム デ ギャルソン」の25-26AW(ウィメンズ)の展示会を取材。
youtubeで予習していたが、音楽がちょっとミニマルな無調音楽みたいなものだったが、これは著作権の関係でやむなく使ったもの。展示会で実際のショーのビデオを見ると、女性の合唱。尋ねると1980年代のブルガリアの労働歌だという。
(※右の背景画像:「コム デ ギャルソン」2025-26AWのファーストルック)⇒
今回のコレクションテーマは「SMALLER IS STRONGER」。川久保玲本人のコメントによると:
「 グローバルなカルチャー、システムといった大きな波に飲み込まれて何も感じなくなる現代。その中にあって、どんなに小さくても新しいことを見つけてやるべきだという思いで服を作った。小さくても光っているものがあり、小さなことにも強い価値があり、力になりうると思う。 今まで作ってきた服の中で、自分の芯の部分、本当に作りたい強いものを作ろうと取り組んだ。
その気持ちをいつもの素材を使用し、あまり大袈裟せずにせず表現しました」。
グローバリズムという「敵」が意識されてテーマの中に書かれるのは初めてかもしれない。
ここでは、何が「敵」で何が「味方」なのかさえ分からない暗闇の中の戦いでもあるのだが。
「コム デ ギャルソン」2025-26AW
たぶんジャーナリストからは、「過去の焼き直しでは?」「ストライプやチェックは使い回し」という声があったのではないか。どうせ紙面や誌面には書けやしない茶飲み話だろうが。
私は川久保玲信者ではないが、同じようなことをやっていても毎回明らかに進化している。とにかくバランスが素晴らしくて、これだけ内容を盛り込んでも美しくさえある。凄い重量になってモデルが可哀そうではあるが(笑)。
「コム デ ギャルソン」2025-26AW
私は「これはファッションのキュビズム」だと思っている。まあブラックの絵だってある意味どれも同じように見えるではないか。83歳のファッションデザイナー(ファッションアーティストという呼び名の方がふさわしいかも)の血を吐くような言葉にさえ思えるのだ。
血を吐くと言っても、全体を支配しているのは静かな雰囲気だ。そういえばミリタリーがテーマの今年1月発表のオムプリュスも拍子抜けするぐらい静かなコレクションだった。この静けさはやはり晩年特有なものだと思う。もしかしたらTESTAMENTのつもりで創作しているのかもしれない。
いつまでもこのTESTAMENTが毎シーズン続くことを願わずにはいられない。