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11月21日(木)、大学のフィールドワークの授業で学生と「メゾン マルタン マルジェラ アーティザナル2024」を見学した。一般大学の学生にはちょっと難しい内容だったかな。

 下は、恵比寿の「メゾン マルジェラ アーティザナル2024」の入り口。その日も予約をしていない30人ほどの入場希望者が並んでいた。なお展覧会は11月24日に終了した。

◆主催者の説明より

 本展は、今年1月に行われた「メゾン マルタン マルジェラ」のオートクチュールコレクション(アーティザナル2024)を様々なアングルから検視するポスト・モーテム(事後解剖)としてクリエイティブ・ディレクター、ジョン・ガリアーノが考案した展示形式。発案の初期段階よりインスピレーションとなったものから、実験的なテクニックの使われ方、ルックを通して語られるストーリーまで、コレクションを多角的に考察。来場者は、ジョン・ガリアーノ自身が着想源やテクニックについて語るオーディオガイドを聴きながら展示を鑑賞できる。

 1階は「メゾン マルジェラ」のショップだが、今回の「アーティザナル展」は、同じビルの3階。2024年1月にパリのセーヌ川河畔で行われた「メゾン マルジェラ アーティザナル2024」が展示されている。

 

 会場にはセーヌ川の波音や船体が岸にあたる音などが流されて、1月のショーを彷彿とさせる。このショーの裏テーマは1888年のロンドンでの5人の娼婦連続殺人の切り裂きジャックだろう。

 

 3階の入り口に不気味に飾らせていたが、伝説の娼婦マダム・ビジュが今回コレクションのイメージだという。男娼なのか?

 

 バッスルやコルセットを現代に甦らせている。

 

 下は肥満体のマダム・ビジュをモロにイメージしたウレタンとレースによる作品

 

 繊細なテクニックが随所に披瀝されている。

 ビルの2階では2024年1月の「メゾン マルジェラ アーティザナル」のショーの映画上映。

 「アーティザナル」はマルタン・マルジェラとジョン・ガリアーノという2人の天才が合体したヨーロッパの服飾史の奇跡のような存在であることが理解できるのだ。

 正確には、ガリアーノの比率が80%かな(笑)。

 

 入場者に配られた会場見取図(裏)の表。ちなみに入場は無料だった。

 今回の「アーティザナル展」に合わせてか、今年9月に日本公開された「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー」のDVDを展示会の後に再視聴した。

 これらはファッションの極北であろう。「DIOR」をクビになったガリアーノは素晴らしい居場所を見つけたようだ。

ジョン・ガリアーノ(本人)

 ちょっと時系列的にこの29年をまとめてみた。

・1988年「メゾン マルタン マルジェラ」ブランド誕生

・2002年マルタン・マルジェラ社は、「ディーゼル」「マルニ」「ヴィクター&ロルフ」を擁するOTB(オンザブレイブ)グループ傘下に入る

・2008年創業デザイナーのマルタン・マルジェラ(1957年ベルギー生まれ)引退

・2011年9月「DIOR」のアーティスティック・ディレクターだったジョン・ガリアーノ(1960年英国領ジブラルタル生まれ)が反ユダヤ主義的暴言をパリのカフェで吐いて人種差別的侮辱罪で逮捕され、1995年以来雇われていたLVMHから解雇される。

・2014年「マルタン マルジェラ」のクリエイティブ・ディレクター就任。2015年からブランド名も「メゾン マルジェラ」に変わる。

 今回のアーティザナル展を見て、この先停滞している現在のファッションはどこに行くのだろうとぼんやり考えたのだった。

(2024.11.29「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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