東京フィルのこの3会場開催型のチケットには、SS席1万5000円というのがあり、大抵最後まで売れ残っている。私は奮発してS席1万円で我慢(笑)。
キャストは以下の通り。
マクベス(バリトン):セバスティアン・カターナ
マクベス夫人(ソプラノ):ヴィットリア・イェオ
バンクォー(バス):アルベルト・ペーゼンドルファー、マクダフ(テノール):ステファノ・セッコ、マルコム(テノール):小原啓楼、侍女(メゾ・ソプラノ):但馬由香、医者(バス):伊藤貴之、マクベスの従者、刺客、伝令(バス):市川宥一郎
合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平) |
「マクベス」は、ペーター・コンヴィチュニー演出の二期会公演(2013年5月)以来だ。このオペラは海外では、再評価が進み、気鋭の演出家がよく取り上げている。ミョンフンの指揮も久しぶり。
ブルックナーの交響曲第7番などとんでもない駄演に出くわしこともあるが、この指揮者はやはりオペラや劇的な音楽が本領なのだ。
この日の「マクベス」も素晴らしい。とくにマクベス夫人のヴィットリア・イェオは初めて聞くが特筆すべきソプラノだ。
ヴィットリア・イェオ
声楽的な安定度が高く、また演技も上手い。マクベス役のカターナは優柔不断なマクベスを好演。代演のバンクォー役のペーゼンドルファーを筆頭に他の歌手も水準以上。
これを支える東京フィルが本当に素晴らしい。新国立劇場のレジデンスオーケストラとして、最近のレベルアップには目を見張っていたが、今回は定期演奏会ということもあって、それを上回る熱演。
加えて新国立劇場合唱団(指揮冨平恭平)がいつもながら上手い。最後の勝利の合唱は実に感動的だった。
決して音響に恵まれているとは思えないオーチャドホールの11列目右サイド(S席1万円)だったが全く問題はなかった。
この「マクベス」というオペラ、もっと上演されていい。今回演奏会形式でも殆ど不満はなかった。