昨夜(9月12日木曜日19時)、雑司ヶ谷の東京音大100周年記念ホールでヴェルディのオペラ「アッティラ」の演奏会形式の上演を聞いた。
リッカルド・ムーティが行っているイタリア・オペラ・アカデミーin東京の第4弾だ。
指揮者はムーティ(83歳)ではなく、今回のアカデミーでムーティに学んだ4人の若い指揮者。
指揮:ミシェル・ブシュコヴァ(第2幕)、シャオボー・フー(第3幕)、岡本 陸(第1幕)、ウィリアム・ガーフィールド・ウォーカー(プロローグ)
アッティラ:北川辰彦
エツィオ:上江隼人
オダベッラ:土屋優子
フォレスト:濱松孝行
ウルディーノ:大槻孝志
レオーネ:水島正樹
管弦楽:東京春祭オーケストラ(コンサートマスター:長原幸太)
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:仲田淳也
会場:東京音大池袋校舎100周年記念ホール(定員806人)、全席指定:5,000円(税込) |
このムーティによるイタリア・オペラ・アカデミーin 東京も4回目を迎えたが、「リゴレット」(2019年)、「マクベス」(2021年)、「仮面舞踏会」(2024年)の前3回は3月〜4月に開催されていたが、今回は4月に「アイーダ」の演奏会形式が上演されたので、9月開催になったようだ。察するに「アッティラ」では、集客を危惧したのではないか?
今夜の東京音大100周年ホールは収容人員は806人。1階席しかないが、私は11列目だったが、独唱、コーラス、オーケストラともにフォルティシモでは耳が痛くなるほどビンビンに攻めてくる。4人の若手指揮者は、若き日のリッカルド・ムーティを思い出させるような指揮ぶりで、ちょっとニンマリ。
現在83歳のムーティはこんな演奏はしないだろうな。
この「アッティラ」は、28あるヴェルディのオペラの9作目にあたる。出世作と言われる「ナブッコ」は3作目、10作目は「マクベス」(初版)、17作目は中期の入口「リゴレット」である。
今回の予習で2019年12月7日スカラ座開幕の公演(シャイー指揮)の録画を見ていたが、もうこれは完全にヴェルディのスタイルになったオペラだ。なかなかの傑作と言ってもいいかもしれない。特にムーティが盛んに上演していた理由が分かった。こういうヴェルディのオペラをもう少し見てみたい。
今回の歌手の中では、エツィオ役の上江隼人が実に見事な歌唱を聞かせた。ムーティの薫陶か。アッティラの北川辰彦にはもう少し威厳がほしかった。土屋優子はなかなか荒々しいオダベッラを好演していたが、高音は喉から出ていて苦しそう。
総じて十分に楽しめた。何せ1週間以上付きっきりでコーチしたムーティが最前列で聞いているのだから、全力を尽くした歌唱だった思う。
9月14、16日には、模範としてムーティが指揮しアッティラ(アブドラザコフ)、フォレスト(メーリ)などのスター外人歌手を配した公演がある。
(※右の背景画像⇒)
S席29500円しか残っていなくて、チョン指揮東京フィルの「マクベス」も重なり断念した次第。残念至極。