部数が300万台になって危機的と言われる朝日新聞の本日(8月20日火曜日)の第1面。
いくらニュースがないと言っても、アラン・ドロンの死去(8月18日死亡、享年88)が第一面はないだろうよ。
同日の後ろの方の紙面で死亡記事が載っている高石ともや(8月17日死亡、享年82)や田名網敬一(8月9日死亡、享年88)の死去の方が日本人には重要だと思うがね。あきれちゃう。
しかし、このアラン・ドロンは、自分の妻(ナタリー・ドロン)と不倫していたボディガードのマルコヴィッチ殺人事件に関係していた。マルコヴィッチは「俺が殺されたら、アラン・ドロンとその友人のマフィアのマルカントーニが犯人」という手紙を親族に送っていたので間違いないだろうな。
なんか当時のポンピドゥ大統領への嘆願書でドロンはお縄にはならなかったが、ポンピドゥも事件に絡んでいたらしいというから、まさにフランスだよなあ(笑)。
ポンピドゥ大統領
晩年には、事実婚していたヒロミ・ロランと息子・娘たちとのトラブルがあった。息子・娘らはヒロミは家政婦なのにドロンの遺産を狙って好き放題していたと着の身着のままでヒロミを追い出していた。
この息子・娘たちがとんでもない奴らで遺産をめぐって醜い争いを演じていた。実人生でドロンはリア王を演じさせられたということか。なんとも悲劇的な晩年だったようだ。「最愛の犬と一緒に葬られたい」がドロンの遺言だったが、動物愛護団体からストップがかかって、実行されなかった。何から何までケチがついた晩年だったようだ。
かつての美貌は微塵も感じられない晩年
ドロンの人生をwikipediaで読んでみると、いわゆる典型的な「不良」なのだ。その筋との付き合いもかなりあったようだから、とんでもない野郎だったのかもしれない。
並の「不良」や「ワル」と違うのは、やはりその類稀なる美貌だ。いわゆる二枚目のひとつの典型を作ったのだ。
日本では「ダーバン」のスーツのTVコマーシャル(日曜洋画劇場)に1970年代に登場して、大評判 になった。日本のTVコマーシャル史上でも最高傑作だと言われている。
なお「ダーバン」ブランドは辛うじて生き延びているようだがダーバンという会社および吸収したその親会社レナウンも2020年に倒産。
最近破産手続きが完了した。法律上、日本一に君臨したレナウンはこの世から消えた。
あ、私が選ぶアラン・ドロン主演の映画ベスト1というのを書くのを忘れていた。これは簡単だ。
もうこれしかない。「太陽がいっぱい」(1960年 ルネ・クレマン監督 1時間58分)。
結局これが飛び抜けた傑作だと思う。これを超える主演作は結局無かった。それほどの傑作だと思う。
ドロンは、ゲイやバイセクシュアルの映画監督からも人気があって、巨匠ルキノ・ヴィスコンティの「若者のすべて」(1960年)と「山猫」(1963年)で起用された。
ヴィスコンティ映画としては芸術性は薄く、かなりリアリスティックな作品になっている。結局、ギャラで揉めたらしくて、ヴィスコンティとはこの2本だけだった。