2023年に見た映画は60本余りあった。
その中には再視聴した映画も20本ほどあったが、その中には若気の至りで、過剰な高評価をしていた映画がかなりあった。
60本余りの中からベスト10を選んでみた。
◆1.「ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」(1975)
4年に一度、世界の映画批評家と研究家によって選出される「オールタイムベスト」で2022年にナンバーワンに選ばれた映画だ。
と思っていたら、なんとイオセリアーニは2023年12月17日に89歳で亡くなってしまった。
「皆さま、ごきげんよう」は、最晩年に発表した得意の群像劇で、人生讃歌になっている。また追悼の特集がありそうだ。
◆3.「ビッグ・リボウスキ」(1998)
コーエン兄弟の映画もTVで特集があって録画してかなり見た。独特のセンスで味付けしたナンセンス映画の魅力にはなかなか抗し難い。
◆4.「お葬式」(1984)
伊丹十三監督(1933〜1997)の生誕90周年だったので、かなりの作品がTV放映され、全作品を見たが、この実質的な処女作が結局最高傑作のように思えた。
◆5.「ソナチネ」(1993)
北野武監督の映画「首」の公開記念で過去の北野作品をTV放映された。その中ではキタノ・ブルーを印象付けたこの4作目が素晴らしい出来栄え。
◆6.「カラビニエ」(1963)
昨年死んだゴダールを追悼する小特集が散発的にTVで放映されたが、40年以上ぶりに改めて見てやっと意味が分かる作品ばかり。
「カラビニエ」はカービン銃を持つ兵士たちという意味。
ゴダールと喧嘩別れした盟友トリュフォーの映画もTVで何本か見たが、映画に及ぼした影響ではゴダールとはレベチだと思った。
◆7.「ゴーストライター」(2010)
ポランスキー監督作品。やはりこの映画監督が只者ではないことを分からせる渋い政治サスペンス映画だ。
◆8.「ファイト・クラブ」(1999)
デイヴィッド・フィンチャー監督も一筋縄ではいかないが、この映画は今の「時代」も見事に描いている。
◆9.「ファーザー」(2020)
認知症の恐怖を見事に描いた傑作映画。アンソニー・ポプキンスが鬼気迫る名演。私もいずれこんなになってしまうのだろうかと思うと恐怖すら覚える。
◆10.「日の名残り」(1993)
ノーベル文学賞作家カズオ・イシグロの小説の映画化。アンソニー・ポプキンスが古き良き時代のイギリスの執事を見事に演じている。
次点「愛の渦」(2014):三浦大輔監督による最近の日本映画で面白いアイデアの映画だが尻すぼみの感は否めず。