「windblue」 by MIDIBOX


仕事が早く終わって、晩飯までかなり時間があったので、コンサートを探したが、時間が合わず、 それならMETライブビューイング(オペラ映画)でも見るかということで、東銀座の東劇へ(6月15日)。

 15時から18時15分までプッチーニの「トゥーランドット」。 MET5月7日上演の舞台だ。

 この東劇だけ2週間上演で本日は10時半、15時、18時半の1日3回上映にもかかわらず、6割は埋まっているからなかなかの盛況だ。

舞台は北京。フィナーレの様子

 当初は、世界の歌姫であるロシア人ソプラノのアンナ・ネトレプコがトゥーランドット姫を歌うというので前売りが売れていたのか?それとも演目自体に人気があるのか?あるいはゼフィレッリの豪華絢爛という四字熟語がピッタリの舞台・演出のためなのか。

 いずれしてもこの舞台は凄い!同じ舞台・演出のスカラ座の来日公演(1988年マゼール指揮)を見ているが、全体にもう少し暗くて詩情溢れる舞台だったと記憶しているが、このMETの舞台は極彩色でまさにMET式のエンターテイメントになっている。

 オペラというよりハリウッドの大作映画という感じ。マルコ・アルミリアート指揮のオーケストラ及び合唱がパワー全開で鳴らしまくるから、ストレス解消には最高だ。


第3幕のモナスティルスカとヨンフン・リーの対決

 プーチン系音楽家と見なされて今回ヒロインを下ろされたネトレプコの代役のリュドミラ・モナスティルスカはウクライナ人のドラマチック・ソプラノ。声を張り上げた熱演だが、音楽的にはどうなのだろう。カーテンコールではウクライナ国旗を纏って登場していた。

 カラフ役のヨンフン・リーは美声の韓国人テノールだが、日本人俳優の長塚京三にそっくりで笑えた。

 歌はなかなか聞かせたが、コスチュームが地味でまたアクションが洗練されず、さらに顔面がずーっと苦しげで、ちょっと王子役にはどうなんだろう。しかし韓国人歌手は海外で活躍しているなあ。


ヨンフン・リー、フルラネット、ヤホ

 結局、このオペラではいつも儲け役の女奴隷リュー(アルバニア人ソプラノのエルモネラ・ヤホ)とやはりベテランの貫禄を見せたバスのフェルッチオ・フルラネット(主役カラフの父ティムール役)が好印象を残した。

 なんだかんだ言っても、実に楽しい3時間15分(休憩2回あり)だった。

 日本の新国立劇場では、ゼフィレッリ演出・舞台では「アイーダ」の壮麗さがやはり客に大ウケしているが、この「トゥーランドット 」もやればウケると思うが。

 ちょっと気になったのは入場料。昨シーズンの3200円から、一気に3700円へ値上げ。この500円はなかなかキツイ。

 オーケストラコンサートも10%程度上がっており、急激なインフレがクラシックファンを直撃しているのだ。

(2022.6.24「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

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