日曜日(2月27日)のフジテレビのザプライムに登場した安部晋三元首相と橋下徹元大阪府知事の核共有発言一致が波紋を呼んでいるというか、識者からは呆れられている。
これが今回のロシアのウクライナ侵攻の教訓だとしたら、この人達は何も考えていない。
こんな原発大国の小さな国で核武装なんて火に油を注ぐようなもの(youtube「一月万冊」での元朝日新聞記者佐藤章の発言)なのである。
またNATO式の核シェアリングがどういうものなのか(供与は米国で各NATO加盟国が自国領内で戦闘機による侵入敵に対し空中投下で使用)分かっているのだろうか。
結局日本のような国にとって、求められる最善手は、スイスのような永世中立国化が無理なら、NATOに加盟しないでロシアとの均衡体制を構築しているフィンランドやスウェーデンのようなやり方しかない(同佐藤章)というのが今回いろいろな意見の中で最も説得力あった。
ちなみに北欧3国のうちノルウェーはNATO加盟国である。また今回のウクライナ侵攻でフィンランドとスウェーデンがNATO加盟を検討し始めているという噂がある。
第2次世界大戦後のソ連時代は、バルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、東ドイツ、ポーランド、ハンガリー、チェコスロバキア、ユーゴスラビア、ルーマニア、ブルガリアを衛星国にしていたのに、1989年のベルリンの壁崩壊以降には、西側化(民主主義&資本主義)が進みこれらが全て西側に取り込まれ、ついにウクライナまで西側化ということになればロシアの危機感と焦燥はかなりのものだったろう。
最後の砦ウクライナのEU加盟だとかNATO加盟宣言はある意味では、火に油を注ぐことになったわけだ。
ソ連、ロシアの歴史は、支配地域への外部からの侵入者に苛立つ「手負いの熊」の歴史なのだ。
ベルリンの壁崩壊後はジリジリと迫ってくる西側化の境界線に苛立ち、時にその苛立ちが爆発して武力紛争を招いている。「手負いの熊」との付き合い方を学ばないと「暴走」を招くのだ。
今回のウクライナ侵攻は、ソ連時代のハンガリー動乱(1956年)やチェコスロバキア事件=プラハの春(1968年)を思い出させるが、ロシアになってからも、第1次チェチェン紛争(1994年)、エリツィンから引き継いだKGB出身のプーチン時代になってからは、第2次チェチェン紛争(1999年)、グルジア(現在のジョージア)紛争(2008年)、クリミア併合(2014年)ではうまくやったように見えるプーチンが、またまた作戦勝ちするのかどうか。
さすがに今回はそれはないとなると、とんでもないことが起こる可能性もないわけではないのだ。