本日(3月5日土曜日)14時、池袋東京芸術劇場で秋山和慶指揮東京ニューシティ管弦楽団の演奏会を聞いた。
この時間には他に、広上淳一指揮日本フィル(サントリーホール:メインはラフマニノフ交響曲第3番)、高関健指揮東京シティフィル(ティアラこうとう:メインはブラームス交響曲第1番)、鈴木優人指揮東響(めじろパーシモン:メインはベートーヴェン交響曲第7番)、新日フィル:はじめての音楽会2022年(トリフォニーホール)と4つのオーケストラコンサートがあった。
少しはスケジュール調整したらどうかとも思うが、土曜日はそんなに需要があるのだろうか。
外人指揮者、外人独奏者は入国が難しく、この5つのコンサートは全て日本人指揮者、日本人独奏者による演奏会である。
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私がその5つのコンサートの中から、秋山和慶指揮東京ニューシティ管弦楽団の演奏会を選んだ理由は、一にもニにも曲目が良かったから。
最初のリストの交響詩「前奏曲」はともかく、次のブラームスのヴァイオリン協奏曲、後半のバルトーク「オーケストラのための協奏曲」は両曲とも私の偏愛する曲である。
さて、当日開演20分前にに東京芸術劇場に駆けつけ当日券を求めたのだが、2階の良席にありつけた。入りは6割から7割という感じか。
最初の曲のリスト作曲の交響詩「前奏曲」は、昨年山田和樹指揮読響の演奏を聞いているが、かなりの爆演だったが、ともすればウルサイ演奏になりがちなこの曲にしてからが、効果を狙ったアザトさが皆無の埃くさくない佳演だった。これは80歳の名指揮者秋山和慶にして成せる業だろう。ブラヴォーである。
竹澤恭子(55歳、ヴァイオリンは1724年製のアントニオ・ストラディヴァリウス)を独奏者にした前半2曲目のブラームスの協奏曲は、今ひとつ。
30年前は飛ぶ鳥を落とす勢いだった竹澤恭子ももう55歳なんだ!
かなりグラマーな体つきになってスリーブに大きい花を模したフォルムが付いたラメ入りの黒のドレスで登場!
次から次に技巧が完璧な美人若手女性ヴァイオリニストが登場して竹澤恭子もなかなか大変だとは思う(笑)。
本日も、とくに第1楽章は気持ちが入り過ぎてしまってヴァイオリンの鳴りが悪くて美しくなかった。
第2楽章から次第に良くなっていったが、このブラームスのヴァイオリン協奏曲はやはり難曲だ。アンコールのバッハの無伴奏ヴァイオリン組曲は自然体の美演だったのに。
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演奏会後半に入る前には難民を救うNGOの女性が登場してスピーチがあった。
独唱付きでウクライナ国歌が独唱付きで立奏された。この時だけ撮影も許可され、拡散してくれとNGOの女性。
後半のバルトーク作曲の「オケコン」こと「管弦楽のための協奏曲」は、これを完璧に演奏するヴィルトゥオージティには今一歩だったが、なかなか楽しめた。
バルトークの天才的なオーケストラレーションには恐れいる。バルトークをアメリカに亡命させたのはナチだが、アメリカ亡命がなければ、この名曲「オケコン」はまず生まれなかった思うが、人間の運命の不思議を思わずにはいられない。
昨年はこのオーケストラ(飯森範親指揮)でストラヴィンスキーの「春の祭典」を聞いたが、悪くなかった。なにより良い意味でアマチュア的な一生懸命な演奏姿勢に好感がもてるのだ。
ところで、最近N響を筆頭に、在京オーケストラのチケットが値上げされている。この東京ニューシティ管弦楽団でも、SS席1万円なる凄い席が販売されている。(右背景ポスター参照⇒)
なかなか良い音響の席が把握できないこの東京芸術劇場のSS席ってどこなのか尋ねたが、既に売り切れましたとSS席の位置は教えてもらえなかった。たぶん評論家用の席だと思う。
ガラ空きなので、アマチュア評論家ではあるが(笑)、失礼してSS席と思しき2階センター最前列に移動して、聞かせていただいた。
この音響に問題があると言われる東京芸術劇場なのだが、信じられないほど素晴らしい音響だった。これなら1万円出してもいいなあ。
(2022.3.11「岸波通信」配信 by
三浦彰 &葉羽)
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