なんかこの映画、見たことなかったかなと思いつつTV放映(NHKBS)を録画してしまった。
映画「ウエスタン」(1968年 セルジオ・レオーネ監督 165分)のことだが、確かに見たことはあったが、その時は寝てしまったのか、途中で見るのをやめたのか。
確かに、この映画は恐ろしいスローペース展開。とにかく顔の表情を平気で15秒撮り続けたりする。役者は大変だったろうなあ。これはまず間違いなく寝ますな。
この「ウエスタン」の日本初公開は1969年だが、実に50年後の2019年には、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト」というタイトルでオリジナル版(165分)が再公開されている。
今回は「ウエスタン」のタイトルだが、このオリジナル版が放映されたようだ。 評価が分かれている作品だ。
タランティーノが大絶賛しているのを始め、映画監督などプロにウケはいいが、「冗長」という一般の評価は多い。とにかく寝てしまうのだ。
2時間45分もあるのに、編集が悪いのかなかなか分かりづらいストーリー展開なのだ。ウトウトしてくる。よほど気合いが入って十分な睡眠の後なら名作という評価になるかもしれない(笑)。
一応ハーモニカが上手い謎の男役のチャールズ・ブロンソンが主人公なのだろうが、なんかいつものブロンソンではなくてイマイチなのだ。かなりジェイスン・ロバーズ(下写真の右)に喰われている感じだ。
むしろ登場後早々と夫を殺されてしまったクラウディア・カルディナーレが主人公なのかもしれない。
3人の男と複雑な関係を演じる難しい役を演じている。なんともセクシーな女優だ。
この他、ヘンリー・フォンダが悪役で登場する。やはり悪役は似合わず、むしろお馴染みの「脇悪役」のジャック・イーラム、ウディ・ストロードなんかの方が楽しめるのだ。
この有名なバイプレーヤー2人は映画冒頭でブロンソンにサッサとやられる3人のうちの2人なのだ(最初↑の「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト」のポスター参照)。
前者の蝿との戯れシーン、後者の水滴との戯れシーンは映画史に残る名演技ではなかろうか。さすがにレオーネである。まあ、玄人好みの映画かな。
ジャック・イーラム ウディ・ストロード なかなかの映画ではあるけれども、2時間45分はやはり長いなあ。
心臓発作により60歳で早死にしたセルジオ・レオーネ(1929〜1989)監督には、大ヒットした「ドル箱三部作」(「荒野の用心棒」1964「夕陽のガンマン」1965「続・夕陽のガンマン」1966)に対して、彼が本当に作りたかったという「ワンス・アポン・ア・タイム三部作」(「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウエスト」1968「夕陽のギャングたち」1971「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」1984)がある。
後者三部作は興行的にはもうひとつだったが、娯楽性を排して中味が濃いと言われているが、同意しかねる。
私的には、これは明らかにドル箱三部作の圧勝である。やはりクリント・イーストウッドの魅力が圧倒的なのだ。
ジャック・イーラム
ウディ・ストロード
レオーネ監督の最大の功績は燻っていたイーストウッドを映画の表舞台に引っ張り出したことだろうなあ。これは皮肉ではない。「ワンス・アポン」三部作は悪くはないのだがやはり冗長なのだ。
今回録画していたために、2回寝てしまった部分をじっくり見直して、結局4時間半ほどかかって映画「ウエスタン」を見終わったのであった。
長い‼️
(2020.7.10「岸波通信」配信 by
三浦彰 &葉羽)
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