5月25日の緊急事態宣言解除後には、新規オープン店舗の話題が最近は多いが、アパレルに関しては6月、7月はもう夏物の追い込みとバーゲンで終わってしまうから、大した売り上げにはならないだろう。
本格的な勝負は秋物立ち上がりの8月からだという腹づもりだと思う。
4月7日の緊急事態宣言発令以降、4月、5月のほぼ半減した売り上げのことはきれいさっぱり「無かったこと」にして忘れてしまおうという企業が大半だろう。
しかし、アパレル企業の月次売上高というのを眺めていたら、何かの間違いではないのかという企業があって驚いた。その企業はワークマンである。
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今年に入ってからの前年比は:(カッコ内は既存店ベースの前年比)
1月:127.5%(121.1%)、2月:132.9%(127.3%)、3月:123.4%(117.7%)、4月:107.8%(105.7%)、5月:122.2%(119.4%)
という嘘のような増収が続いているのである。
というか、このワークマンが月次売上高で前年を割り込んだのは、全店売上高でも既存店売上高でも2017年9月(97.1%)まで遡らなければならないのだ。実に先月まで32カ月間連続増収を続けているのである。
5月度については、「新型コロナウイルス感染症対策として、ピーク時に時短営業を565店舗、土日・休日の臨時休業を165店舗で実施するなど感染拡大の防止に努めながら営業した」と注意書きがあるから、さらにその前年比の凄さというのがわかる。
ワークマン本社
いうまでもないがワークマンは群馬県伊勢崎市に本社を置く東証一部市場上場の日本一の作業着メーカーである。
「あぁ、オリンピックがあるから作業着の需要が旺盛なのか」ということももちろんあるが、これほど業績が急伸しているのは、2018年9月5日のららぽーと立川立飛に第1号店をオープンし始めた新業態「ワークマンプラス」が大ブレークしたためである。
もともとスタイリッシュな作業服として開発したアイテムを集めて「ワークマンプラス」として販売したところ、アウトドア、スポーツ、バイク、釣り、雨の日の通勤着などの用途が広がって、今でも「ワークマンプラス」人気が続いている。
ワークマンではもともとフランチャイズチェーンへの卸しをメインにしていたが、「ワークマンプラス」は直営店方式をメインに据えている。新規出店も「ワークマンプラス」に絞っている。
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5月7日に発表された2020年3月期決算は、売上高923億円(37.8%増)、営業利益191億円(41.7%増)、経常利益206億円(40.1%増)、当期純利益133億6900万円(36.3%増)という驚異的な好業績だった。
3月末時点で868店舗中「ワークマンプラス」は175店舗。今期は「ワークマンプラス」が108店舗増加し、283店舗(全店は907店舗)になる見込みだ。
完全にマーケットの隙間に入り込んだ形の「ワークマンプラス」だが、そもそも作業着は高機能性商品であり、定番商品が多いため販売期間が長く利益率の高いビジネスではあったが、それをファッションっぽく見せることで「ユニクロ」「無印良品」には満足しないマイルド・ヤンキー層にジャストフィットしたのではないかと見られている。
思わぬところに大ヒットというのは存在するものである。とにかく爆走する「ワークマンプラス」の勢いはどこまで続くのか、大いに見ものである。
(2020.6.19「岸波通信」配信 by
三浦彰 &葉羽)
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