Staircase
to the Moon
こんにちは。「ロマンサイエンスの夢先案内人」岸波です。
貴方をまたも“the roman science of the cosmos”の世界へご案内します。
この地球上には、気の遠くなるような年月をかけて自然が生み出した不可思議な光景が存在します。
北米大陸のグランド・キャニオンやガラパゴスの奇妙な生物たち、アマゾンの原生林、そして岸波通信その59「風に立つライオン」でご紹介したビクトリア湖の二百万羽のフラミンゴ、さらにはepisode12「宇宙(そら)に近い場所」でご紹介した重力異常の特異点であるインド洋の椀状海面など。
・・・この地球に生まれたからには、一度は目にしたい場所ばかりです。
インド洋のモルディブ諸島沖には、100mも周囲の海面より歪んで低い海域があるのです。
ということで、今回のanother
world.は、地球が生み出した奇跡の風景をご案内することにいたしましょう。
1 地球が生んだ奇跡の風景
まず最初は、アルゼンチンのペリトモレノ氷河。
fujikoエンジェルさんの詩「輪廻」の背景にも用いた真っ青な氷河です。
氷河が青く見えるのは、氷の透明度が高いために、青以外の光が全部吸収されてしまうためだそうです。
この水面上に見えている部分は、全体の1/8程度で、水面下の部分はもっと青いのです。
そして次は、お馴染み中国・桂林の不思議な形をした山々。
今にも孫悟空や猪八戒たちが現れそうではありませんか。
下の写真は、2004年3月に南極の昭和基地で撮影されたオーロラの画像です。
これがユラユラと夜空を覆う風景には息を呑んだに違いありません。
さて次は、「地球のへそ」とも呼ばれるオーストラリアのエアーズロックです。
今から6~7億年も前の先カンブリア時代に形成されたと言われる世界最大級の単一岩石(モノリス)です。
写真では、その大きさが実感できにくいですが、周囲が9.4キロメートル、地表から上の部分の高さが348メートルもあり、何と東京タワーよりも高いのです。
その巨大さに改めて畏怖のような気持ちが湧いてきます。
次は、南米ベネズエラのギアナ高地にある世界最大の滝、エンジェル・フォールです。
これも写真だけでは想像しずらいですが、滝の高低差は何と978メートルもあるのです。
これだけ高い場所に、絶え間なく流れ落ちる水量があること自体、不思議な感じがいたします。
エンジェル・フォールというのは、天使が注いでいるイメージのようですが、実は発見者の名前だそうです。
1937年に、金鉱山を探しながら飛行していたミズーリ州のアメリカ人、ジミー・エンジェルがこの台地の上に着陸し、再離陸できなくなって、そこから歩いて降りるハメになったのです。
彼にとっては難儀なことですが、世界最長の滝に名を残すことができたのですから、結果として良かったのかもしれません。
さて、それでは今回の本題です・・・。
2 月への階段
ここまで紹介してきた“奇跡の風景”は、世界的にも名の知られたものばかりですが、エアーズロックのあるオーストラリアで、もう一つの不思議な風景が話題になっています。
すでにページの背景に掲げてありますが、これが話題の“月への階段”です。
この奇妙な現象が見られるのは、西オーストラリア州にあるブルームという街。
この街は、かつて明治時代に真珠を採取する日本人たちが活躍した所で、今でも毎年9月になると「Shinju-Maturi(真珠祭)」というフェスティバルが開催されるほど、日本人やその子孫たちが多く居住しています。
“月への階段(Staircase
to the Moon)”が見られるのは、熱帯性気候の雨期が明けた3月から10月までの満月の夜。
この神秘的な情景は、水平線から昇る満月の光が干潮になった遠浅の汐だまりに次々と映り、あたかも月から手前の海岸まで階段が降りて来るように見えることから名付けられました。
遠くの部分は、海面に映ったものです。
なぜ、このような現象が見られるかと言いますと、このオーストラリア西部地区は、満潮と干潮の高低差が12メートルにもなる特異な場所で、干潮になると遥か彼方まで海底が露出し、取り残された汐だまりが遠々と連なって月明りを映し出すのです。
満干差の大きさは地球上で一様ではなく、海流や湾岸の形状など様々な要因によって変化しますが、この地区は、地球上でカナダ東部のファンディ湾(高低差16メートル)に次いで満干差の大きな場所なのです。
日本で干満差が最大なのは、有明海の6メートルです。
また、コバルト・ブルーに輝くインド洋に臨むここブルームのケーブル・ビーチには、南北22キロメートルにわたって白砂の海岸が続いていますが、その南端のガンシューム・ポイントでは、干潮になると1億3000年前の恐竜の足跡が海底から姿を現すそうです。
さて、“月への階段”が現れるのは、満月の昇り始めるほんの数分間。
ベスト・ポイントであるリューバック・ベイを見下ろすホテルのテラスは開放され、人々はお酒を飲みながら、奇跡が起きる瞬間を待ちます。
いよいよという頃になると、全ての明かりが消され、アボリジニの伝統楽器ディジュリジュがエキゾチックなメロディを奏で始めるのです。
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昇り始める満月
←昇りゆく赤い月から、
階段が徐々に伸びてくる。 |
この現象が有名になった近年では、“月への階段”を一目見ようと世界各国から観光客が訪れ、湾を見下ろせるホテルでは予約が取れないほど混雑するとのこと。
また、見所となるテラスは早い者勝ちなので、後ろの方になると人垣に隠れて見ることはできません。
ということで、この上なく神秘的でロマンチックな風景なのですが、心穏やかに楽しむのは難しいかもしれませんね・・・。
/// end of the “Episode23 「月への階段」” ///
《追伸》
この通信「月への階段」は、全然、another
world.じゃないんじゃないかと思ったアナタ・・・そう、そこのアナタ。
すいません。本当は、これ全体がモチーフで、この後、もっと壮大な宇宙の話に発展する予定なのです。
でも、あれこれ風景写真を入れていたら長くなってしまったので、本論は次回に譲ろうと思います。
ところで、このオーストラリア西海岸のブルームですが、明治時代から日本のパール・ハンターたちが入植していたという日本との不思議な縁・・・。
一般には知られていない日本ゆかりの地というものは、意外と世界各地にあるのなのかも知れません。
では、また次回のanother
world.で・・・See
you again !
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バングル・バングル
(西オーストラリア)
←ブルームの東、
バヌルル国立公園の奇石群。
蜂の巣状のこの地形もまた
奇跡の風景でしょう。 |
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