Luna
Rainbow
こんにちは。「ロマンサイエンスの夢先案内人」岸波です。
貴方をまたも“the roman science of the cosmos”の世界へご案内します。
微細な水滴と太陽の光が織り成す奇跡・・・それを人は“虹”と呼びます。
でも、昔、ハワイには虹が無かったのだそうです。
そこで、カウアイ島に住んでいた小人族のメネフネたちはキレイな虹(アヌエヌエ)を作ろうと、山や谷から緑の葉を、近くの村から黄色いバナナを、宮殿から王家の赤い羽根を、オレンジ色のイリマの花を、海からは青い水を調達しました。
そして最後に、女王様のパープルのドレスを拝借して虹の色を揃え、弓矢の先端に塗って雲に打ち込みました。
それ以来、雨上がりの空には、キレイな虹の橋が見えるようになっというのが、ハワイの「メネフネ伝説」です。
気付かれたでしょうか、ハワイでは虹は六色なのです。
ところで、岸波通信その107「人類の叡智に学ぶ3」で、虹の七色を発見したのはアイザック・ニュートンであること、虹の七色の波長はドレミファソラシドに対応していること、さらに、半円でなく丸い虹を見ることもできることを紹介しました。
ところが・・・
さらに不思議な虹がたくさん存在していることを最近知りました。
ということで、今回のanother
world.は「虹」がテーマです。
1 虹は何色
メネフネ伝説のとおりハワイの虹は6色ですが、そもそも虹が7色と認識されたのは18世紀以降の話で、それ以前は様々な数え方がされていました。
ローマ時代のセネカは赤・黄・白の3色と記述していますし、16世紀のマウロリコはサフラン色・緑・青・赤紫の4色と観測しました。
また、通信another
world.Episode2「シリウス・ミステリー」で紹介したアフリカのドゴン族も4色と考えていましたが、その4色は黒・赤・黄・緑でした。
さらに中国では5色とされていましたし、欧米圏では6色と見るのが普通でしたから、昔から7色とされていた地域は、インドや日本などむしろ少数派のようです。
実際に虹をよく見ると分かりますが、何色に区別するかはかなり難しい問題で、特に識別が難しいのが青と紫の間の藍色の部分だと思います。
古代インドで7色とされていたのは、仏教の「七天」の世界観に基づいていると言われ、日本もこの仏教の影響を受けているのかも知れません。
また、虹にはオスとメスがあるということをご存知でしょうか?
中国唐代の「候鯖録」に出ている話ですが、詩人の李白が時の宰相に巨大なスッポンを釣り上げる方法を問われ、「虹ゲイ」の糸を用いればいいと答えたのです。
「虹(コウ)」というのは太陽の高度角に対して42度の位置に現れるはっきりした虹のことで、「ゲイ(虫偏に睨の右側を書く文字)」というのは51度の位置に見える薄い虹のことです。
気象学では、42度の虹を「主虹」と呼び、51度の薄い虹を「副虹」と呼びます。
虹は、もともと中国の言い伝えで龍の一種とされていましたが、主虹が雄の龍で、副虹が雌の龍に見立てられていたのです。
李白は、巨大なスッポンの怪物を捕らえるならば、オス・メス二匹の虹の龍が必要だと答えたわけですが、何と当意即妙な答えでしょう。
まるで「屏風の虎を捕らえよ」と言われて「捕まえるから追い出してくれ」と答えた一休法師のようでもあります。
もしかすると、パクったのは一休さんの方かもしれませんが。
こうした話から、主虹と副虹は「夫婦虹」と呼ばれることもあるのです。
2 丸い虹
岸波通信「人類の叡智に学ぶ3」にも書きましたが、虹が半円なのは下半分が地平線に隠れて見えないためなのです。
だから、太陽の反対側に地平線の無い飛行機から見ると、条件さえよければ真円の虹を見ることができます。
そして、僕自身がそうやって丸い虹を目撃したわけですが、そうした体験を写真に撮っていた人がいました。
次の写真がそうです。
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飛行機から見える丸い虹
(房総半島上空から撮影された写真) |
この現象は学術的には「光輪」と呼ばれるもので、実は、ある条件が整えば地上でも見ることが可能です。
例えば高い山の頂上に立ち、背後に太陽が位置している時に前面眼下に霧があるような場合です。
・・・と言うとピンと来るかもしれませんが、有名な「ブロッケンの妖怪」という現象ががまさしくこれなのです。
もちろん同じ条件さえあればブロッケン山以外でも見ることは可能で、次の写真は南アルプスの駒ケ岳で撮影された「ブロッケンの妖怪」です。
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ブロッケンの妖怪
(南アルプス甲斐駒ケ岳)
←霧に巨大な人影(自分の影)が映っている。 |
ところで、丸い虹の通信を読んだシドニーのYasukoが「オーストラリア通信」NO.1で、こんな事を書きました。
話、ぶっ飛びですが、そういえば私も「丸い虹」見た事あるよ!
オペラハウスの所で、それも2個ダブって、、、、。
周りが海なので反射していたのかも?
こうした太陽の側に見える虹は、実は「光環」と呼ばれる現象で、「光輪」とは別の原理だそうです。
光環は、太陽や月の光が直接水滴に回折して目に飛び込む現象で、内側が青、外側が赤い輪になり、これが場合によっては、Yasukoが見たように繰り返されます。
下の写真が同じ現象のものですが、外側の二つ目の輪も確認できるでしょうか?
3 さらに不思議な虹たち
さて、「丸い虹」を見たことを自慢していたら、世の中には何と「直線の虹」を見たという人もいるのですから驚きです。
では、論より証拠。
この現象は「環水平アーク」と呼ばれるもので、普通の虹とは逆向きのゆるやかなカーブを描いていて、色の配列も上部が赤とやはり逆になっています。
ほぼ直線に見えるかもしれません。
これは、上空に雪のような平たい六角形の結晶が水平方向を向けて存在する時に、太陽光が回折して現れる虹だそうです。
位置は太陽から46度ほど下方向に出るため、太陽高度が58度以上ある必要があるので、残念ながら緯度の高い地域では見ることができません。
さて、こうした平たい氷の結晶が地平線の夕日の近くにあると、さらに驚くべき現象を目にすることができます。
太陽の光が氷の結晶に反射すると、あたかも太陽が縦に伸びたようになるのです。
この現象を「太陽柱」といい、実は既に、岸波通信その41「民族の共生と言語」の中で、さりげなくご紹介していたのがこれです。
太陽柱は、光が屈折ではなく連続反射する現象なので、虹の七色に分かれず白色光のままとなります。
さて、こうした「光柱」現象の対象はなにも太陽だけとは限りません。
満月の場合は「月柱」と呼ばれ、さらに金星でも同じ現象が観測されたというのが次の写真です。
「満月柱」の場合は、「月への階段」とはサカサマになりますね。
では「垂直の虹」はどうなのか?・・・実は、これも写真を見つけました。
原理はよく分かりませんが、これはどうやらアフリカで撮影されたもののようです。
もしかすると、大きな虹の一部を望遠すれば、このように撮影できるのかもしれません。
また、雲そのものが虹色に染まることもあります。
これは「彩雲」と呼ばれ、太陽光が雲の水滴に回折して雲自体を七色に見せるのです。
いかがでしょう?
微妙な色合いが分かるでしょうか。
4 ルナ・レインボー
さて、今までは全て「昼の虹」の話でしたが、実は「夜の虹」もあると聞いてびっくりしました。
ネタ元は、またもカミサンのケイコでした・・・。
ねえ、アナタ。 夜の虹ってあるの知ってた?
ええー! だって第一、太陽がないだろうが・・。
満月でもだいじょぶなのよ。 (テレビで見たの)
だけど、雨上がりじゃ「月」自体、見えないんじゃないの?
それが雨じゃぁないのよ。滝なの。
おおーっ! なるほど。で、どこにあるの?
アフリカのビクトリア・フォールよ。 (一回、調べてみ)
ということで、早速調べて見つけたのが次の写真です。
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ルナ・レインボー(ビクトリア・フォール) |
何と神秘的な光景でしょうか!
滝の飛沫が満月の光を受けて虹を現出させているのです。
星空のまたたきと虹の七色が相俟って、とてもロマンチックな風情をかもし出しているではありませんか。
こんなところに恋人と一緒に来たならば・・・たちまちゴールインできそうですね!
/// end of the “Episode24 「ルナ・レインボー」” ///
《追伸》
アフリカのビクトリア・フォールのように、赤道付近で月の高度が高く光が強い場所なら、こうした月の虹をみることが出来るようです。
ということで、このページの背景写真に掲げたのは、ハワイで撮影されたルナ・レインボーです。
必ずしも滝でなくとも、背面(月側)が晴れ渡り前面に霧など水滴が浮かんでいれば見ることができるのですね。
ところで、最後のおまけに、もっと不思議な虹をご紹介したいと思います。
これはアラスカで目撃された「三つの太陽」で、太陽を中心として大きな円環状の虹がかかり、左右対称の位置に「幻日」と呼ばれる太陽のカゲが現れています。
まさに神秘の光景ではないでしょうか。
では、また次回のanother
world.で・・・See
you again !
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