次女孫の雛祭りに会津の里に招かれた。「近所の皆さんから村一番の良い嫁さんを貰ったねともてはやされ嬉しいですと…」一緒に暮らせば欠点ばかりが目に付くのに、実直で飾り気のない言葉が胸に響く。
東山温泉に一泊招待され、帰途、野口英世博士の生家と記念館を訪れる。
野口博士が座右の銘とした「忍耐」の文字が庭先の記念碑に刻まれてある。
愛した娘よ、一人娘の幸子よ。会津の生んだ世界の野口博士のあの言葉を忘れるな!
父もこの二文字に、あの戦争三年とシベリヤ抑留五年の歳月を極寒の中に耐え忍んで来た。
あんたには、いたわりあう優しい家族がある。会津人の血を受け継ぐ素晴らしい会津の人となれ。
娘よ、女は幸せを造るのが命だ。その名あんたは幸子よ。
いついつまでも夫婦仲睦まじくと、幸せ一杯の彼方、会津の空を見る。 |