岸波通信その259「喜多方生活の思い出⑦」

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Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その259
「喜多方生活の思い出⑦」

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◆「人生を振り返って」シリーズ#58喜多方生活の思い出⑦

 カリスマ彰から「ミヤシタ死す」という衝撃の電話を受けて、最後にミヤシタと会った時のことを思い出した。

 あれは一年ほど前、僕は毎月、母から任されていた福島市内のブティックの仕入れに浅草橋のエトワール海渡に上京しており、在京の色々な友人たちのアパートに2~3日、逗留させてもらうのが常だった。

アパレル総合卸問屋
「エトワール海渡」

(浅草橋)

 その月は、彰のアパートを予約しており、仕入れ品の発送を終えた後、都内で落ち合うと彼は言った。

「今晩はミヤシタたちと集まって呑み明かすつもりだ。一緒にいかないか?」と。

 向かった先は武蔵小杉の駅だった。そこが彰のアパートだったか、別の友人のアパートだったか記憶に無いが、集まっていたのは(多分だが)カノマタとヤベとミヤシタ。そこへ僕らが加わった。

  武蔵小杉の駅前商店街

 みんな小学校以来の同級生で、カノマタやヤベとはそれほど親しく付き合ったことはなかったが、ミヤシタは中三の時の学級委員長だったので旧知の仲だ。

 しかし、そのミヤシタの風貌の変わりように驚いた。委員長だった頃の颯爽とした気概は失われ、人生に深く悩んでいるような荒んだ顔をしていた。

 いったい何が彼を変えてしまったのか。聞けば太宰治に心酔しているとのことだった。 

  文学者:太宰治

 彰もまた文学好きで色々な小説を読んでいた(カノマタもそうだった)が、「娯楽」と割り切って楽しむことができるタイプだった。

 だが、根っから生真面目なミヤシタは、太宰のある意味「自虐的な世界」にドップリのめり込んでしまったのではないか。

 彼が語る「社会観」や「人生観」はひたすらに暗く、どこか投げやりなところが感じられた。

太宰治著作集

 その時、僕は彼に自分の「結婚問題」のことを話した。親から「勘当」されたこと。その大元の原因は、生まれながらにして下半身不随でずっと施設で育ってきた「彼女の妹」の存在であったことも。

(僕の両親は、この結婚によって妹を一生面倒見て行く責務・・つまり僕を「養子」に取られることを危惧したのだ。)

 ミヤシタは驚いたような眼をして言った・・「圧倒的だ!」と。

 彼が感じた「圧倒的」の意味は未だに分からない。僕の境遇の事か、あるいは妹の人生の事か。

 ただしその時、ミヤシタが大きなショックを受けていたのは分かった。

  頭を抱える男(イメージ)

 いま思うに、彼の「苦悩」はあくまでも何不自由なく生まれ育った「健常者」としての自分自身の「精神世界」のことであって、生きようとしても「普通に生きられない人々」に思いが至っていなかったのではないだろうか。

 自分自身の「甘え」に気づいた・・そんな顔をしていた。

 その後の彼に何が起こったのかは分からないが、荒川河口に浮かんだ彼は、警察によって「自死」と判定された。

  葬儀(イメージ)

 ミヤシタの葬儀には、彰と一緒に参列することになった。

 その時のミヤシタの御母堂の苦しそうな顔が、今でも脳裏に焼き付いている。

 子に先立たれた母の哀しみは、これほどに深いものか・・と思わずには居られなかった。

幼子を抱いた母親の記憶

(イメージ)

 先日、時節外れの「墓参り」にカリスマ彰が福島を訪れた際に、ミヤシタの事でトンデモない話が出た。

 二人は、福島市内で殴り合いの大喧嘩になり、それが「新聞沙汰」になったと言うのだ。記事の見出しはこうだ・・酔っぱらいが絡んだ『夜の早慶戦』!()

  酔っぱらいが・・(イメージ)

 聞けばその夜、彰が車を運転して市内森合地内を走行中、突然、酔っぱらいが車の前に飛び出してきたとのこと。

 すんでのところで車を停めて、「何やってんだ!m9っ`Д´)」と怒鳴ると、その酔っぱらいが、まさかの同級生ミヤシタだったのだ。 

  キエーッ!(宙を飛ぶミヤシタのイメージ)

 その場で二人は取っ組み合いの喧嘩となり、おそらく警察も出動したのだろう。そしてそれが新聞記事になる。

 そう・・彰は「慶応」の大学生、ミヤシタは「早稲田」だったので、面白おかしく記事にされたのだ。まったく懲りない奴らである。

 話は、再び喜多方での僕の話に戻る。

 秋に予定される僕らの結婚披露宴の前に、同じ保健所内でもう一つ結婚話が持ち上がった。20代半ばの女性Aさんだ。

 だが、その結婚話は大波乱の展開となる。いったい何が!?

(To be Continued⇒)

 

/// end of the “その259「喜多方生活の思い出⑦」” ///

 

《追伸》

 思い起こすと、本当に喜多方ではいろんな出来事がありました。

 ネタの備忘のために書いておくと・・僕と橋本先輩が薬務監視中に大量の違法ケシ栽培を摘発した事件、車を運転中に自然気胸を発症し九死に一生を得た事件、へき地巡回診療で大岩の下敷きになりそうになった事件、喜多方の熊出現事件、昭和53年の記録的大雪での事件、館内出張中に竹下景子のドラマ撮影現場に出くわしたこと、24歳で同僚の(実質的)仲人をしたこと、そして宮城県沖地震と義妹の壮絶な死などなど・・。

 まあ、喜多方編が余りに長くなるのもアレなので、全てを一気に書くことはないと思いますが。

 こうして考えると、よく自分は無事に生きてこれたと思います。(喜多方編ではないが、公務中に三度「銃」を向けられたこともあるし:笑)

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

「ほがらか食堂」の中華そば

(喜多方ラーメンの名店)

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To be continued⇒“260”coming soon!

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【岸波通信その259「喜多方生活の思い出⑦」】
2026.6.3配信

 

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