岸波通信その252「宿敵!小笠原(完)」

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Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その252
「宿敵!小笠原(完)」

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◆「人生を振り返って」シリーズ#51「宿敵!小笠原(完)

 医学部に進んだ旧友カメヤマからの情報で、東北大学病院に小笠原がまだ入院中である情報がもたらされた。 

 彼が急性肝炎で福医大附属病院に入院したのは高1の春。あれから3年もの長きにわたり入院生活が続いていたことに驚いた。どれだけ苦難と失意の中にあったかは想像に難くない。

 何はともあれ、午後「休講」があったタイミングで、彼が居ると言う病院へ見舞いに行くことにした。

東北大学病院

(仙台市青葉区星陵町)

 彼はまだ将棋を続けているだろうか?・・最後の対局で勝ったのは小笠原だったが、トータルの戦績で言えば僕の方が上回っていたはず。

 待てよ、もしかして将棋で負かせ続けたことが、彼の病状悪化に繋がったのではないか・・などというショーモナイ考えが脳裏をよぎる。

 いやいや「武士に情けは禁物」と言うではないか・・待てよ「武士の情け」は逆の意味だったか?()

  武士に情けは・・

 バスに3区間ほど乗って、大学病院へと向かう。結構ボロかった福医大病院とは違い、本格的な大病院に少し気圧される。

 内科の受付で病室の場所を聞き、エレベーターに乗る。ナースセンターの前を通り過ぎて、目指す病室に名札が・・あった!

「おい小笠原、覚えてるか?」

「を~を~キシナミじゃないか、よく来てくれた!」

 思ったよりずっと顔色は良かった。聞いてみると、治療のかいあってほぼ快癒に近い状態になり、退院も間近だそうだ。よかったな・・本当によかった!

 (イメージ)

「俺を忘れないでいてくれたんだな、ありがとう・・」

 小笠原の目にうっすらと涙が浮かんだような気がした。

「あったりまえだろ、勝ち逃げは絶対に許さんと言ったじゃないか!」

 ぶわっはっはっは!(≧∇≦)

 小笠原は腹を抱えて笑い転げた。

「よおし、相手になってやる。ただし今度の勝負はコレだ。ふっふっふ・・」

 小笠原は、収納ボックスの蓋を開けて「盤」を取り出した。

収納ボックス

(イメージ)

「な、なんだコレは!こんなマス目の多い将棋盤は反則だ!」m9っ`Д´)

 もちろんそれは将棋盤ではなかった。

 折り畳みを広げると19×19路の碁盤だった。

「最近はもっぱらコレなんだよ」と小笠原。

  マス目の多い将棋盤(笑)

 そんなことを言われても僕は「囲碁」を知らない。「囲めば取れる」という簡単なルールを教えてもらったが、そんなんで勝負になるはずもない。

 その日から僕は「碁」を猛勉強し、再び小笠原の病室に通う日々が始まる。

「星目(九子)ハンデ戦」から始まり、六子、四子とハンデを減らしたころ、小笠原が言った。

  星目(置き碁のハンデ戦)

「キシナミ、もうすぐ退院して仙台の高校に復学できそうなんだ。そうしたら猛勉強して、俺もお前の東北大学を目指したいんだ」

 静かな決意のまなざしだった。なんだか胸が熱くなった。

「ああ、きっとお前ならやれる。待ってるぞ・・」

対局中

(イメージ)

 それから一年後・・小笠原は約束をたがわず東北大に合格したという便りがきた。

 その頃の僕は、福島で4人の家庭教師を担い、二人が受験生だったため小笠原に会える時間は激減していた。(相変わらずの往復6時間通学も継続)

 それにもかかわらず、小笠原は僕への報告を忘れなかった。頑張ったな、本当におめでとう小笠原、俺は・・(うっうっ)。

  合格発表(イメージ)

 それからの僕らは、お互いの新しい友達との生活に明け暮れ、いつしか会う事も無くなっていった。

 そして互いに社会人となって十年が過ぎたある日、ふと彼を思い出した僕は、彼に向けた詩を書いた。葉羽詩集にも載せた『宿敵!小笠原』だ。

 『宿敵!小笠原』(※「葉羽詩集」より抜粋)

 あれから時は ずいぶん流れたけれど
 僕は今でも 日曜の囲碁番組を見ている
 そんな時 ふと君の顔が浮かんで
 時間旅行をすることがある

 君は今頃 どの空の下で
 同じ番組を見てるのだろうか
 あいかわらず 元気でやってるのだろうか
 ありがとう小笠原 永遠のライバル
 僕は君に感謝しているよ・・

 いつの日かまた 出会えることがあったなら
 昔話に花を咲かそうじゃないか
 あのなつかしい 青春の思い出
 僕らの闘いは 永遠に不滅だよ・・

(このシリーズ完)

 

/// end of the “その252「宿敵!小笠原(完)」” ///

 

《追伸》

 思えば、何人もの友人との別れがありました。(死別もあった。Dreamさん、ピカイチ君、楽翁師匠・・)

 音信不通となったのは小笠原、高校で一緒に勉強を励んだカオルとオータケ、カタヒラ、僕に読んでくれと変な私小説を書いてきたトモアキ、一緒にバンドをやっていたキヨタカ、そして、彼女でもなく不思議な関係だったサユリ・・etc. 

 でも、別れがあったからこそ、また新しい出会いが生まれてきたのかもしれません。

 そんなわけで、明日付けの葉羽詩集には、サユリのことを書いた『忘れ得ぬ君へ』を書いてみました。

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

宿敵!小笠原

←この右側の後ろ姿が本人にそっくり!

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To be continued⇒“253”coming soon!

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【岸波通信その251「宿敵!小笠原(完)」】
2026.2.26配信

 

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