彼はまだ将棋を続けているだろうか?・・最後の対局で勝ったのは小笠原だったが、トータルの戦績で言えば僕の方が上回っていたはず。
待てよ、もしかして将棋で負かせ続けたことが、彼の病状悪化に繋がったのではないか・・などというショーモナイ考えが脳裏をよぎる。
いやいや「武士に情けは禁物」と言うではないか・・待てよ「武士の情け」は逆の意味だったか?(笑)
武士に情けは・・
バスに3区間ほど乗って、大学病院へと向かう。結構ボロかった福医大病院とは違い、本格的な大病院に少し気圧される。
内科の受付で病室の場所を聞き、エレベーターに乗る。ナースセンターの前を通り過ぎて、目指す病室に名札が・・あった!
「おい小笠原、覚えてるか?」
「を~を~キシナミじゃないか、よく来てくれた!」
思ったよりずっと顔色は良かった。聞いてみると、治療のかいあってほぼ快癒に近い状態になり、退院も間近だそうだ。よかったな・・本当によかった!
(イメージ)
「俺を忘れないでいてくれたんだな、ありがとう・・」
小笠原の目にうっすらと涙が浮かんだような気がした。
「あったりまえだろ、勝ち逃げは絶対に許さんと言ったじゃないか!」
ぶわっはっはっは!(≧∇≦)
小笠原は腹を抱えて笑い転げた。
「よおし、相手になってやる。ただし今度の勝負はコレだ。ふっふっふ・・」
小笠原は、収納ボックスの蓋を開けて「盤」を取り出した。