岸波通信その247「宿敵!小笠原①」

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Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その247
「宿敵!小笠原①」

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◆「人生を振り返って」シリーズ#46「宿敵!小笠原①

 高校の時の話だ。その頃の趣味と言えば、中学校から引き続きバンドを組んで歌ったり、出始めた「札幌ラーメン」にハマって食べ歩いたりしていたが、何といっても「映画」だった。

 親父やお袋も映画好きで、モノ心ついたころから「三本立て映画」に連れてかれたので、映画との付き合いは長い。

昔の三本立て映画館

(「横浜東宝会館」の例)

 当時、今ほど幅が広くなかった福島市の国道13号線沿いには「東映」と「大映」の二つの映画館が軒を並べていたのだが、この2軒にはフリーパス(顔パス)で入ることができた。(小学校低学年の頃)

 何故かと言えば、「東映」には母方の叔母、「大映」には父方の叔母が「もぎり嬢」をやっていたからだ。(※もう「時効」なので勘弁してください。)

 「大映」の跡地に建ったジャガービル

 現在では考えられないことだが、福島市にはその2館のほかに駅前の「駅前国際」、仲間町の「東宝」・「日活」・「松竹」、五月町の「国際パール」・「名画座」などがあり、まさに映画文化は福島の「庶民の娯楽」として花開いていたのだ。

葉羽資料を見ると、福島市には最盛期13の映画館があったという。

 「駅前国際」の跡地は立体駐車場に

 僕が高校一年生頃のヒット作をWikiで調べてみると、一位が『続・猿の惑星』、二位がジュリー・アンドリュース主演の『サウンド・オブ・ミュージック(リバイバル)』だった。

 その他トップ10には『女王陛下の007』や『ひまわり』、『シェーン』など懐かしい映画が名を連ねている。(もちろん全部見ている。)

サウンド・オブ・ミュージック

(1970年リバイバル上映)

 そして、映画を見た次の日、学校の放課後には僕の周りに大勢の級友たちが集まるのが常だった。

 何故かと言えば、昨日観てきたばかりの映画の「解説」を滔々と紹介するのが得意だったからだ。

 ←(お前は「弁士」か!)

  放課後の教室

 この頃の僕のあだ名は90分の映画を90分かけて解説する男」。

 そう・・僕の話さえ聞けば、まさに「自分で観てきた」ように映画を堪能できたのだ。

(これが現在の「cinemaアラカルト」に繋がっている?:笑)

 特に忘れられないのが手塚治虫の虫プロが制作した『千夜一夜物語』の「語り」のとき。

 『千夜一夜物語』

 アニメの「絵」は、動きがガタピシの酷い出来だったが、そのストーリーを語るうち終盤の感動が蘇って来た。

 すると、その感情が伝染したのか、場にいる皆が「目に涙を浮かべて」聞き入ったのだ。

 最後は、その場にいる全員が号泣。(今も「弁士」の仕事があれば、やってたかも:笑)

 ところがである!m9っ`Д´)

 ある時、このパターンに異変が起きた・・聴衆が減って来たのである。

「うむむ・・僕の『観た気になれる映画解説』も飽きられたか?」と真剣に悩んだ。

(実際、それはあったろう:笑)

  オーマイガー!(頭を抱える男)

 じゃあ、常連のアイツらはいったいどこへ行ったのか?

 聞いてみることにした。すると・・

友達「実は放課後な、〇組の教室で将棋を指すのが流行ってんだよ。その中でも圧倒的に強いのが居てな・・」

将棋対戦中

(イメージ)

 なるほど、そういうことか!?

 実はこの時「がっかり」と言うより、むしろほくそ笑んだ。

 僕は日曜日の教育テレビで毎週『NHK杯将棋トーナメント』を見ているほどの将棋ファンであったし、早い話「少々腕に覚えがあった」のだ。ふっふっふ・・。

  NHK杯将棋トーナメント@Eテレ 

「で、その会場とやらはどこだ?」

 と案内させ、付いて行った。

 をを~ なるほど、これは盛況だ。教室の中で5組ほどの対局が行われ、将棋好きのヤツラがそれを取り囲んで観戦している。中でも、中央に陣取った対局に人だかりが。

「ホラ、あいつが小笠原。最強の男だよ」

宿敵!小笠原(イメージ)

 え、あいつ・・ウチのクラスのヤツじゃないか。身体がちっこくて余り喋らない目立たない男だった。ほとんど会話したこともない。(こんな才能を隠してやがったのか・・)

 近くに寄って見ると、ちょうど相手が「投了」したところだった。

「よし、次に対戦してもらっていいかい?」と僕。

「あ・・キシナミか、将棋できんの?」と小笠原。(向こうは僕を知ってたようだ)

「ま、中学でちょっとだけやったことがある」と控え目に言う。

 さあ、着座しようか。(フッ)

 こうして、後に「宿命のライバル」となる両雄の最初の対戦が始まった。

(To be Continued⇒)

 

/// end of the “その247「宿敵!小笠原①」” ///

 

《追伸》

 小笠原君は高校の同級生で、やがて病を得て休学し、後々、二年ほど遅れて同じ東北大に進学してきました。

 僕も一時は、東北大の将棋クラブや囲碁クラブに顔を出していたのですが、結局はクラシック・ギター部から勧誘され、「一度だけ」という約束で入部し、合同コンサートに出演しました。

葉羽駅前ビルのイベント会場で、得意曲「アルハンブラの思い出」を演奏。

 何故かと言えば、前にも書きましたが、貧困家庭の僕は「節約」のため、最初の一年間は福島市から仙台市川内の東北大教養部まで電車通勤していたからです。

 行きも帰りも片道3時間、往復6時間・・という事は一日の1/4は通学時間で、その他に福島市で家庭教師をして4人、面倒みていたのです。(とても部活どころではない)

 そんなこともあり、大学進学後は小笠原君とのライバル関係は途切れてしまいましたが、状況が許せば生涯を通した「友」になっていたはず。

 どうして、そういう関係になっていくのか・・「続き」をお楽しみください。

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

宿敵!小笠原

(後に「囲碁」で対決することに)

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To be continued⇒“248”coming soon!

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【岸波通信その247「宿敵!小笠原①」】
2025.12.17配信

 

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