いやいや、さすがにコレは不味い。ケーサツに通報? いや、さすがに10分もこれをやってるので、そろそろあきらめて帰るかも?
とりあえず今、壁一枚向こうで大変なことが起きそうな状況を誰かに分かってもらわなければならないと考え、再び福島のケイ子に電話することに。
(当時はケータイが世の中に登場前なので、プッシュホン)
当時はプッシュホン
「ケイ子、いま大変なんだよ!」
「いったい、どうなったの?」
「隣の・・ホラ、さっきの『赤いハイヒール』のトコに来た男が、まだ『出て来~い!』って大騒ぎしてる・・聞こえる?」
「うん、遠いけど聞こえるよ。なんか怒鳴ってるわね」
「やっぱ出てって『アパートに赤ちゃんも居るんで静かにしてください』くらい注意した方がいいかな?」
「なんかアブなそう・・やっぱ関わんない方がいいんじゃない?」
触らぬ神に・・
たしかにそうかもしれないが『一緒に死んでくれ~』まで言ってるし、事が起きる前になんかした方がいいのではないか・・と懊悩する。
男はというと、一向にあきらめて帰る様子もなく、ドアを叩いたりケリを入れたりエスカレートしている。それらを逐次、ケイ子に電話で実況中継だ。