岸波通信その245「赤いハイヒールの女②」

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Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その245「赤いハイヒールの女②」

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◆「人生を振り返って」シリーズ#44赤いハイヒールの女②

 さて前回は、赤いハイヒールを履いた隣人の顔も知らぬまま2年が経過したところまでだった。

 会津大学への転勤によって彼女の出勤時間とほぼ重なるようになり、「コツコツコツ」が聞こえると「少しだけ時間をずらして」階下へ降りることにしていた。

 よって、相変わらず「互いの姿を知らない間柄」のままであった。

コツコツコツ・・

(イメージ)

 だが、その日僕は早朝業務の関係で、いつもより早くアパートを出る必要があった。

 玄関で靴を履いていると、ドアの外をハイヒールの音が通り過ぎた。

 自分自身に・・「そもそも関係ない間柄なのだから意識し過ぎるのもおかしい」と言い聞かせて玄関を出た。すると彼女が階段を下りていく後ろ姿が垣間見えた。

 長い髪をきっちりとまとめ、暗い色の服に身を包んだシックな装いだ。

  きっちりと髪をまとめ・・

「なるほど、典型的なOLの姿なんだナ・・」

 彼女の車が先に出庫し、僕が追う形になった。信号待ちの時にルームミラーに彼女の「目」が映る。

 あ、コッチを見てる・・アワワワ、慌てて目をそらす。(いったい何やってんだろ、オレ!?)

  アワワワワ!

 そのままいつもの通勤経路に従い、博物館前を東へ向かって千石通り(会津若松裏磐梯線)に出る。何故か彼女の車はずっと僕の前を走っている。

 え、何?僕と同じ方向に向かってる??まさか会津大学までこのまま行ったら焦るな。いや、うちの大学にはあんな感じの女子職員も先生も、まして学生も居ないはず・・。

千石通り

(会津若松裏磐梯線)

 まさか同じ道を通勤していたとはつゆ知らず、いろいろな「?」が頭の中を駆け巡る。

 と、ふいに彼女の車は信号から道を外れる。やっぱりウチの大学の関係者ではなかったな。そもそも一般OLふうであったし。

 でも、この先にある企業と言えば・・たしか全国レベルの有名企業の支社があったはず。(憶測なので詳しいことは伏せる)

  大企業の支社(イメージ)

 彼女の雰囲気からすると受付嬢か重役秘書・・そんなところだろう。この日の「赤いハイヒールの女」探索はここまでだった。

 そして数日後、いよいよ「事件」が起きる。

 その日の僕は、馴染みのカラオケスナックで「オキニ」のドロシー嬢(僕の付けた仇名、奄美大島出身)とデュエットなどして上機嫌だった。

 代行を呼んでアパートに帰ったのは夜中の10時くらいだったろう。

  奄美大島(いいトコですね~♪)

 彼女の車は既に帰着しているのを確認し、代行運転者にその隣に駐車してもらい、階段を昇って自分の部屋へ。

 そして、寝る前のいつもの習慣で福島のケイ子に電話し、今日一日の出来事などを話する。酔って上機嫌なので長電話となった。

 するとその時、階段をけたたましく駆け上がって来る足音が。

階段を駆け上がって来る足音

(イメージ)

「あれ?お隣の夫婦は居たし、ハイヒールの彼女も部屋にいるはず。誰だ?3階の住人か?」

 ~と思ったが、足音は僕の部屋の前を通り過ぎる。この先には「ハイヒール」の部屋しか無い。

 その「足取り」は男性のようであるし、勢いが付き過ぎているので酔っているのかもしれない。もしかして(今までそんなことは無かったが)、「ハイヒール」の彼氏なのか?

 しかし次の瞬間、猛烈な勢いで「ハイヒール」の部屋のドアを叩き始める。まるで映画「卒業」のダスティン・ホフマンが結婚式場に乱入して二階から「エレ~ン!」(両手でガンガンガン)とやるような勢いだ。

  エレ~ン!(ガンガンガン)@「卒業」

 ちょ、ちょっと待て。なんだコイツ!?

「ぅお~い、出てこ~い!ここを開けろ~!」(ガンガンガン)

「ケイ子、何だか隣で大変なことになってるぞ」

「聞こえてるよ、関わらない方がいいと思うわ。眠いからもう切るね、じゃ・・」

 ケイ子は、あまり興味が無かったようだ。

 しかし、こんな夜中に独り身の女性の部屋に来て落花狼藉とはふてぇヤツだ。

  ここを開けろ!

 しかもそのドアの場所は、僕が今電話している寝室の「壁一枚」挟んだ外側の廊下なのだ。おそらく2メートル向こう側に居る。

 男はドアを叩き続けるが、「ハイヒール」は無視して返事もしない。こりゃきっと「痴話喧嘩」だな。

 返事が無いのであきらめるかと思ったが、男はしつこく居座って「ガンガンガン」を止めない。たった2メートル向こうで。しかも、もう5分以上もやっている。

出て来~い!

(イメージ)

 そのうち、決定的な言葉が出る。

「ぅお~い、俺と一緒に死んでくれ!」

 えええええ~!Σ( ̄□ ̄;)

 男は遂に号泣を始めた。いったいこの先どーなる!!?

(To be Continued⇒)

 

/// end of the “その245「赤いハイヒールの女②」” ///

 

《追伸》

 僕は、壁一枚挟んで向こう側で起きている大惨事に進退窮まります。これはケーサツとかに通報すべきか?それとも・・? 頭の中がぐるんぐるん廻ります。(酔ってるし:笑)

 しかし、その結末は「予想を遥か斜め上」に超えたものとなるのです。

 次回、衝撃の結末をお待ちください!!

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

赤いハイヒールの女

(さて、その正体は?)

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To be continued⇒“246”coming soon!

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【岸波通信その245「赤いハイヒールの女②」】
2025.11.5配信

 

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