卒業後の進路など全く考えていない能天気な僕と違い、青山君は「建設省(現在の国土交通省)」を目指して勉学に励んでいた。
何故「建設省」なのかと聞くと、「他の省庁を受ける道もあるが、工学部出身で「次官」になれる可能性があるのは建設省だけなんだ」と言う。
現在の国土交通省
深謀遠慮というか、自分の人生の先々まで見通して計画している彼の考え方・生き方に触れて、たいそう驚いた。
僕が、自分の将来について突き詰めて考えたことがないのは、たとえどんな仕事に就いても、長男である自分はいずれ実家の家業(アパレル)を継がなくてはならないだろうと思うところがあったからだ。
←(ハイ、実に投げやりで、ちゃらんぽらん)
実家のアパレルを・・
しかし「失恋」の話に、何で「仕事」の話が絡んでくるのかと訝っていると・・
「付き合ってたのは、同級生のA子なんだよ」と。
え、なに? A子って確か大きな「華道流派」の娘だよな!? ・・それで合点がいった。
上級職で建設省に入省すれば、ほぼ2~3年ごとに全国津々浦々の事務所や整備局、さらに都道府県への出向など「旅ガラス」で一生を過ごす事になる。(本省の局長・次官は別にして)
片や、大きな「生け花」流派を継いでいくとすれば、ずっと拠点の福島から離れることはできなくなる・・そういう事か?
ってか、そんな事まで話し合って「別れる」ことにしたんかい!?(若いのに!)