そう察した僕は、大袈裟な手の上げ下げを加えて『ボレロ』風の高音部メロディを刻む。
すると彰は、その旋律とリズムを「ぶっ壊す」感じで、不穏な低音部演奏を叩きつける。
ムンクの「叫び」
「今か!」と感じた僕は、ムンクの「叫び」のポーズをとった後、最高音から一気に(彰の指を乗り越えて)再低音までの流し弾き。でやーっ!
そう・・ココで「原爆投下」だ。
原爆投下!?
さて、ここからが阿鼻叫喚の激烈なインチキ演奏の始まり。時に立ち上がってクルリとひと廻り、天を指さし、「顔芸」も加え、狂乱の2分間。
彰は突如、「ぅをををを~!」という獣のような雄たけびを上げると、遂に出ました「エルボードロップ」、グワッシャーン!!
プロレスに転向した曙のエルボードロップ
(おまえ、勢い強すぎるって。ピアノ壊れちまうだろ!)と焦る僕の懸念をヨソに、彰は両肘で鍵盤をガシャガシャ殴り始める。
ついでに見事な「顔芸」も加わるので、会場から哄笑が巻き起こる。
「なんだこりゃー!」
「なにやってんだ、バカヤロー!」
「クニで母ちゃんが泣いてるぞー!」(カツ丼喰うか~!)
と、訳の分からない「声援(?)」が止めどなく湧き上がる。
それも意に介せず、遂に出ました彰の「ヒップドロップ」、ドッギャーン!!