岸波通信その228「ミステリアス下級生のお願い②」

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Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その228
「ミステリアス下級生のお願い②」

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◆「人生を振り返って」シリーズ#27ミステリアス下級生のお願い

 一年生のサユリからのたってのお願いで、演劇同好会の発表会でBGM演奏を担当することになった僕だが、まずは劇の概要について説明を受ける。

 話としては有名な舞台劇『夕鶴』をベースに、サユリが脚本を書き換えた創作劇らしい。

 ・・ってゆーか、元ネタがあるにしても脚本一本まとめ上げた恐るべき中学一年生の才能に舌を巻いた。さすが影の大番長高原由紀である。←(違うって言ってんだろ~!)

影の大番長 高原由紀

(「愛と誠」より)

「んで何故、原作を書き換える必要があったの?」と僕。

「だって私たちの同好会、女子しか居ないんですよ」とサユリ。

 ええええ~!

 ってことは、女子ばかりの中に僕ひとりだけ加わって練習に付き合う事になるのか・・嬉しいような不安なような嬉しいような。←(結局「嬉しい」が多いんかい!)

  女子ばかり・・

 でも、よく考えてみると、そういうシチュエーションは慣れっこだったことに気付く。

 というのも、我が家はオフクロの指導の下、アパレルメーカーをやっていて、自宅の半分くらいに若い女性の縫い子さんたちがひしめいていたからだ。

  当時の我が家はアパレルメーカー

 中学生の頃だと、郷野目から方木田に自宅兼工場を移転して20人くらい居たと思う。 毎年の社員旅行には僕も同行して、お姉さん方に可愛がられていたのだ。

 なおこの後、「女の中にひとり」というシチュエーションは、不思議に何度も繰り返されることになる。

 高校時代に習っていた生田流筝曲の社中でも僕以外はすべて女性だったし、大学時代も付き合っていた彼女の関係で7人くらいの女性友人たちと一緒に行動していたし。

県庁の職場でもあったっけ・・不思議な巡り合わせです。

男子ひとり生田流筝曲社中

(左/僕、中央/Reiちゃん・・のイメージ:笑)

 話は戻るが、演劇同好会はサユリが仕切り、一年生ばかりでなく二年生の女子も参加していた。

 記憶の限り三年生の参加はなかったので、一年・二年の女子7~8人がメンバーだったはず。

 劇の練習は放課後の下級生教室や体育館のステージ、サユリの家などで行っていたが、僕が参加したのは発表会直前のタイミングなので、会場となる腰浜町の教育会館での実地練習を見ながら、BGMの構想を巡らした。

  発表会場の福島県教育会館

 いま考えれば、各シーンに合わせた演奏や効果音を録音しておいて、スピーカーからオン・オフで流せばよかったのだが、何故かリアル演奏することになり、調子に乗ってアドリブも入れた気がする(笑)

 その曲目だが、日常的なシーンはスリフィンガー・ピッキングのコード進行や効果音で、緊迫シーンではスペイン舞曲やマラゲニアスの変奏を挿入したりした。

  曲目はフラメンコ(イメージ)

 原作はかなり書き換えられて前衛的になっていたので、こうした意外な組み合わせが結構マッチしていて後から評判になった。(と思う。笑)

TV時代劇の「必殺仕掛人」の音響にフラメンコギターが使われたのは、この三年ほど後。僕らがその先駆けだった訳です。

連続TV時代劇「必殺仕掛人」

(1972年)

 さて、あっという間に発表会当日となった。

 発表会自体、我ら附属中学校の単独公演であったか、それとも他校などとの合同公演であったのか覚えていないが、会場の教育会館は大勢の観客で埋まっていた。(録音にすればよかったと後悔したが後の祭り。)

 サユリ自身は出演せず脚本・演出だったので、彼女と僕だけ観客から見えない場所にいて、進行に合わせ演奏を入れて行った。

  コレなら楽だったのに・・

 いきなりフラメンコから入ったので、観客はビックリしたはずだ。(狙い通り。笑)

 劇は途中暗転などを入れながらツツがなく進行し、一世一代のイカサマBGMも完演。

「うん先輩、助かったヨ。ありがとうございます」とサユリ。

「いやぁ、それほどでも・・あったけど!(笑)

 正直、無事大役を終えてホッとしていたが、後輩のために「やってあげた」と言うより、カリスマ演出家から「褒められた」気分になり、嬉しさがこみあげて来た。

  劇終演(イメージ)

「ところで先輩・・」

「ん、ナニ?」

「秋の文化祭でも別な劇を発表する予定なんです」

「ほぅほぅ・・ヨカッタね、またBGMをやってくれと?」

「いえ、今度は出演してくれません?」

 ええええ~ いきなりそんな! 無茶振りやん!

「・・いや、無理でしょ、やったことないし」

「でも、今度の劇はどうしても男子が必要なんです」

 ん? 女性ばかりの出演者の中に男性がひとり・・いったい何の劇なんだろ?そんな劇、あったかな。それともまたサユリの創作劇か?

「今度の演目は四姉妹の『若草物語』なんです」

若草物語

(2019年公開/エマ・ワトソン主演)

 ええええ~ じゃ「ローリー」かよ! ∑(・д・ノ)ノ

 一難去ってまた一難。

 成り行きとはいえ、今度は出演することになってしまった僕。

 さあ、明日はどっちだ!?

(To be Continued⇒)

 

/// end of the “その228「ミステリアス下級生のお願い②」” ///

 

《追伸》

 たしかに『若草物語』なら次女ジョーの同級生で想いを寄せている隣人のローリーは必須だし、いきなり頼まれても出演してくれるヤツなんか、まず居ないでしょう。

 で、この劇で一緒に出演した二年生女子ですが、(違うかもしれないけど)十数年後のウチの娘のヴァイオリンの先生だったような(笑)

 世の中、どこで繋がって来るか分からない。悪い事はできませんね。

 いや、してない、してない!! (>_< )( >_<)ブンブン

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

先輩、お願いがあるんですけど・・

(サユリ/イメージ:生成画像)

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To be continued⇒“229”coming soon!

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【岸波通信その228「ミステリアス下級生のお願い②」】
2025.3.11配信

 

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