岸波通信その227「ミステリアス下級生のお願い①」

<Prev | Next>
Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その227
「ミステリアス下級生のお願い①」

NAVIGATIONへ

 

◆「人生を振り返って」シリーズ#26ミステリアス下級生のお願い①」

 中学三年生の時分の話である。

 当時はバレーボール部のアタッカーを務める傍ら、キヨタカ・ムラジュン(+時々テツロ―)とフォークバンドを組み、かと思えば小説同人誌『EVE』を主宰するなど八面六臂の生活に明け暮れていた。

当時の中学バレーは「9人制」でポジション固定だった。

9人制バレーボール

(ポジション固定)

 そんなある日、一年生のサユリ(※仮名:以下同)が三年四組の僕の教室にやって来た。

「あの~先輩、お話があるんですけど」

「えっナニ?」

 下級生の・・それも女子となれば、たいていこの先の進行は予想が付く。

  先輩、お願いがあるんですけど・・

「いやぁ僕、もう付き合ってる人が居るんだけどな」←ホントは居ない。

「なにバカを言ってるんですか。そんなんじゃありません」(きっぱり)

 違うの~!?(しまった・・恥ずい!)

「放課後、説明しますから一緒に来てください。迎えに来ますので」

 「告り」じゃないとすると、いったい何だ? 考えを巡らしたが見当も付かない。

 とりあえず校門のところで待ち合わせすることになった。

  校門で待ち合わせ

 このサユリ氏、中学一年生にしては非常に大人びた人物で、ショートカットでキャシャで細面。

 当時、少年マガジンで連載されていた「愛と誠」に出て来る影の大番長・高原由紀に面影が似ていた。

 その貫禄たるやとても年下とは思えず、いったいどんな育ち方をすればこうなると思わせるくらい同級生の女子には見当たらないミステリアスなタイプだった。

影の大番長 高原由紀

(「愛と誠」より)

「ココが私の家です。お茶でもご馳走しますから、お話はその時に」

 と案内されたサユリの家は後のMIZO画伯の実家の料亭の近く。

「お邪魔しま~す」と入ったが家人は不在のようで返事はない。応接間に案内され・・

「お茶の用意をしますからちょっと待っててください」

「らじゃー (‘’◇’’)ゞ」

 ソファーに座り、壁一面の大きな書棚を見て驚いた。そこには何と大量の美術書や哲学書がギッシリ並んでいる。

  壁一面に・・

 今でも覚えているのはコントの『実証哲学講義』やスペンサーの『社会組織論』があったこと。

 星新一や小松左京のSF小説、定期購読の『スクリーン』・『少年マガジン』しか読んでない僕にとって衝撃のラインナップだった。

  コッチが当時の我が家(恥かしい・・)

 やがて紅茶を抱えたサユリが部屋に戻って来る。

「凄いね~この蔵書。まさかキミんじゃないよね?」

「はい、父のですが、私も全部読んでいます」(きっぱり)

 ・・・・・! ( ̄◇ ̄;) ←(驚き過ぎて声も出ない)

 急に居辛くなって、ソワソワしてきた。(え~と、出口は向こうだったな・・)

「先輩、ギター弾けるんですよね?」

  ギター弾けるんですよね?

 なんだ、一曲歌って欲しかったのか。それとも僕らのバンドに入りたかったのか・・自分のフィールドに入って来たので少し安心する。

「私たちの演劇の音楽演出をお願いしたいんですけど」

 ・・・・・! ( ̄[] ̄;) ←(再び声も出ない)

 はて、ウチの学校、演劇部なんてあったっけ?

演劇部?

(イメージ)

 話を聞けば、友達を集めて演劇同好会を作ったとのこと。間もなく教育会館のステージで発表会を行う予定だが、BGMや効果音に納得がいかないので、僕がギターを使って「音」関係を担ってくれとのことだ。

 それにしても凄い行動力、さすが影の大番長・高原由紀だ。←(いや、違うし!)

 だけど、ギター一本か・・得意の「アルハンブラの思い出」や激しい「アストリアス」やちょっといい加減なフラメンコ演奏を組み合わせれば行けそうだ。

  クラシックギター

「で、出しモノは何? 劇のテーマは?」

「みんなよく知ってる『夕鶴』ですよ♪」(脚本(ホン)は書き直しましたけど・・)

 う”っ・・中身は普通の演劇ということで安心したが、持ち合わせのレパートリーでは似つかわしくない。仕方ない、創るしかないか。(うむむむむ・・)

 しかし、何で僕なんだ? 劇とか(フォークじゃなくて)フツーの楽曲に造詣が深いヤツなら他にも居そうだが。もしかして・・

 惚れたか!d(´∀`*) ←(違うって言ってんだろ~!)

 さて、公演まであと三週間しかないと言う。こんなギリのタイミングで間に合うのか?

 ええい、可愛い後輩のたっての頼み、やらいでか!(だけど、もっと早く言ってくれ~泣)

(To be Continued⇒)

 

/// end of the “その227「ミステリアス下級生のお願い①」” ///

 

《追伸》

 この話、「夕鶴」は導入で、その後に自分で出演(主演?)することになる「若草物語」がメインストーリーになります。

 さらに、連続する「驚異の中国大魔術!」も続ける予定ですが、そちらはタイトルを改めたいと思います。

 ただ問題は(劇中で)ファーストキスをすることになってしまう相手役の女子が思い出せないんですよね。←(な、な、ナント!)

 ま、逆に思い出せない方がいいか(笑)

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

現在の福大附属中学校

(現在、孫のカナト君が通学中)

管理人「葉羽」宛のメールは habane8@yahoo.co.jp まで! 
Give the author your feedback, your comments + thoughts are always greatly appreciated.

To be continued⇒“228”coming soon!

HOMENAVIGATION岸波通信(TOP)INDEX

【岸波通信その227「ミステリアス下級生のお願い①」】
2025.2.25配信

 

PAGE TOP


岸波通信バナー  Copyright(C) Habane. All Rights Reserved.