岸波通信その225「わが青春の『ハレンチ・コネクション』⑨」

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Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その225「わが青春の『ハレンチ・コネクション』⑨」

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◆「人生を振り返って」シリーズ#24 わが青春の『ハレンチ・コネクション』

 いよいよ撮影もラスト・シチュエーションを残すのみとなった。

 彰のシナリオでは、秘密刑務所からの脱走にまんまと成功し(←笑)、最後の決戦を挑むための「果たし状」をこの僕に送り付けた‥という設定だ。

 最終決戦場は市内松川にかかる川寒橋(がざぶばし)。ここで定刻に落ち合って対決だ。

最終決戦場

←川寒橋から松川・阿武隈山系を望む

「んで、どんなふうにして待ってればいい?」と僕。

「いや、フツーに橋の上で待っててもらえばOK」と彰。

 まさかお前、大軍団を引き連れて来るとか、秘密兵器を携えて来るとか卑怯な手を考えてるんじゃないよな?

 いずれにせよ、これまでの経緯(いきさつ)から瞬殺されるのがオチだろう。

「だーっはっは!そんな卑怯な手は使わん・・意表を突くだけだ」

 意表を突くというと、巌流島の武蔵みたいに遅れてやってくるとか、でかい舟の櫂を武器にするとかだろうか?

  武蔵と小次郎の像@巌流島

「橋で待つ・・と言えば、誰でも道から来ると思うだろ? ところがオレは松川の中を遡って橋まで来るんだ」 ( ̄▽ ̄)

「いやいやいや、バチャバチャやってれば誰でも気づくだろ?」

「あ・・」

  ←こんな感じ?(気づくよな・・)

「だけど、お前はまたオモチャの刀持って来るんだろ? 僕の武器はどうするんだ、徒手空拳か?」(それでも負ける気はしないが)

「お前の武器はマリアに持たせてある。それが何か・・その場になってのお楽しみだな」(ふっ)

 なんか、訳の分からんことになってきたな。

「それともう一つ・・橋の上で、お前とマリアは別れ話のやり取りをする」

「ええ~ 別に付き合ってる気もしなかったが」

  この日のマリアちゃん(イメージ)

「そうそう! 付き合ってるというのはマリアの一方的な思い込みで、最初から眼中に無かった。それを聞いて、やはり俺の方が大事だという自分の真実に気づくんだ」

 ほぉ~ 純愛路線をぶち込んで来たか。

乙骨憂太の名セリフ

(劇場版「呪術廻戦 0」)

「その後の進行は、演技しながら指示する」(成り行きでナ・・)

 ふむ・・ともあれ撮影開始だ。まずはマリアと二人で橋の上、「別れ話」を切り出すか。

 どうせトーキー(無声映画)なので、何を言っても言わなくても関係ないが、この際、気分を出すためにテキトーに台詞を言ってみるか。

  橋の上で(雰囲気出して)

「あのねマリアちゃん、誤解してるかもしれないが、僕には昔から好きな人がいるんだ」

「え! そっ、そんな・・誰なの!?」

 具体的に聞くんかい? (-ω-;)

「え~とぉ、その・・例えばホラ、同級生のチエコとかクミコとかテルヨちゃんとか・・」

「多いな!」

  同級生の思い出・・

 そんな冗談を言っていると、彰が例の多治見要蔵の扮装で川下からバチャバチャやって来る。

「ぅわっとお~!」(ノ_ _)ノズコーッ

 驚いて見てみると、どうやら流れに足を取られてズッコケたらしい。これ、全然「意表」をついてないんだけど(笑)

 それでもなんとか起き上がり、コケつまろびつ橋の近くまでやって来た。

(アレ、僕の武器はどうなってるんだっけ? なんか預かってる?)小声

 するとマリア、大きな紙袋から出して来たのはライフル(のオモチャ)だ。

 ええ~! これじゃ瞬殺じゃん!

おもちゃのライフル

(ペッタンスナイパーライフル)

 そして彰が叫ぶ。

「マリア、お前を本当に幸せにできるのは俺だけだ。そんなヤツはこの俺がたたっ切ったる!」

「違うの、私の勘違いだったみたい。ヤメテ~! この人が好きなのはチエコちゃんとクミコちゃんと・・」

 いや、ソコは言わんでイイ!m9っ`Д´)

 えっと、僕はどうしたらいい? この流れだから、切られ役になった方が良さそうだな・・。

「マリアを泣かせるなんて、ユルスァ~ん!!」ヽ(`Д´#)ノ

  ←こんな感じ

 既にズブ濡れの彰が、川から上がってこようとする。よし今だ、僕を斬れ!

 一世一代の「斬られ悶絶シーン」を演じて見せる!

 すると彰は口パクして何かを小声で言う・・(オレを撃て!)

 ええ~ そんな進行!?ヽ(´Д`;≡;´Д`)

 仕方ないので、ゴルゴ13のように見様見真似で構え、一発ズドーン!(と口で言う)

  ゴルゴ13・・のように

 うんぎゃ~! (꒪ꇴ꒪〣)

  彰は、もんどりうって再び川の中へ。そのまま流されていく・・。

 (いいの? ホントにこの終りでいいの?)

 いったんカットが入り、ラストはすすり泣くマリアの肩を僕が抱いて去っていく後ろ姿を撮影し、そこにエンディング・クレジットを入れるということだった。

去って行く二人

(エンディングシーン)

「撮影終了! お・つ・か・れ・さん!」とずぶ濡れの彰。

 うむぅ・・コレは「悲恋」の話だったのか。フツーはあそこで誤解が解けてメデタシメデタシとなるんじゃないか?

「な、意表を突いたラストだろ?」

「いや、確かに意外性はあるけども・・」

 どうやらコメディ・アクションサスペンスの路線を走りながら、フランス映画のような「不条理の愛」も盛り込みたかったらしい。 ←(盛りすぎ~!)

 なにはともあれ、後の編集はお任せ。僕はバンドの練習があるから行くぞ。

 さて、来週はいよいよ文化祭本番での上映、そして演奏が二つ(琴とバンド)。どうなりますことやら・・。

(次回、最終話「文化祭本番」:To be Continued⇒)

 

/// end of the “その225「わが青春の『ハレンチ・コネクション』⑨」” ///

 

《追伸》

 ひたすらドタバタ路線で進んで来た撮影ですが、最後にビミョーな要素が入ってきました。

 冷静に考えれば「彰とマリアの純愛は、すれ違ったまま悲劇を迎える」という事になるのでしょうか。

 彰は文芸部だったから、どうしてもそういうの入れたかったんでしょうね。だけど、トーキー(無声映画)だから観客には伝わらないと思う(笑)

(いやいや、トーキーじゃないと困る。ヘンなコト言っちゃってるし。)

 ということで、次回は後日談も含めたマトメを・・。

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

すれ違いカップル

←それがテーマだったのか?

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To be continued⇒“226”coming soon!

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【岸波通信その225「わが青春の『ハレンチ・コネクション』⑨」】
2025.1.14配信

 

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