岸波通信その217「わが青春の『ハレンチ・コネクション』①」

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Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その217「わが青春の『ハレンチ・コネクション』①」

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◆「人生を振り返って」シリーズ#16 わが青春の『ハレンチ・コネクション』①

 高校3年の文化祭の話である。我らが母校福島高校の秋の文化祭「梅苑祭」は対外公開するのは2年に一度とされていて、僕らの学年は1年次に続き二度目の公開文化祭だった。

 公開開催と学内開催ではモチベーションに「天地と地」の開きがあり、市内の女子高生(あるいは後輩の女子中生)に見てもらえるかどうかは、男子校にとって死活問題と言ってもいい。

 考えてみれば、在学中に一度しか公開文化祭が経験できない年次の男子は可哀そうである(笑)

梅苑祭2023受付

(現在は男女共学)

 そして企画については、クラスごとに行うものの他、個人・グループで行うものも許されており、僕は二つの「出し物」に関与した。

 その一つは、高校1年次から始めていた生田流筝曲の個人演奏。ただし、曲目の白眉は、同級生でヴァイオリンを弾く小野富士(ひさし)とのコラボで演奏する宮城道夫の「春の海」だった。

尺八パートを富士(ひさし)のヴァイオリンに替えたのである。

  筝曲演奏

 富士(ひさし)は当時の県出納長の息子で、三歳からヴァイオリンの英才教育を受けていたという。

 卒業後は東京芸大を経て東京フィルに入団(ヴィオラ奏者)、その後N響に移って世界的名声を得たその人である。(引退後は、東京芸大で後進の育成に励んだ。)

  N響:小野富士(ひさし)

 そして、もう一つの出し物は、キヨタカ、ムラジュンと組んだバンド演奏である。

 キヨタカは、あの『ひと夏のデンジャラス・ストーリー』で北海道に同行した彼であり、ムラジュンは、後年、福島県を代表するシンガーソングライターの一人、片平里菜の父となる人物だ。

片平里菜

(シンガーソングライター)

 コンサートは学校の体育館を貸し切りにし、いくつかのグループが出場したが、その中には、通信204「バンドで頑張っていた頃」に出てきた応援団員(当時は応援団長か?)で、後に氷室京介らと「BOØWY」を結成し一世を風靡する高橋マコトもいた。

 高橋マコトは同級生の渡辺マコトと「マコ・マコ」コンビで出場し、多分、僕の作詞・作曲した「悲しみ」なども演奏したと思う。

 「BOØWY」※二人目がマコト

 今になって振り返ってみれば、凄い同級生メンバーと活動を共にしていたものだが、とにもかくにも、僕はこれら二つの出し物を成功させるべく陰で必死に練習していた。

"頑張ってる姿"は他人に見せない主義(笑)

 しかあしっ!! そんな最中の僕を、中学以来の友人である三浦彰(現在のカリスマ彰)が訪ねてきた。

「なあキシナミ、今度の文化祭なんだけど・・」と彰。

「ああ、そのせいでオレは大忙しだ。なにせ二つもビッグ・イベントを抱えちゃったからな」

 「春の海」演奏:宮城道夫と ルネ・シュメー

「いや、ソレなんだけど・・」

「なんだ、聴きに来てくれるのか?」

「いやいや、もう一つ付き合わないか? 映画を自主制作したいんだけど」

 ええええ~!?

 とんでもないヤツだ。応援するどころか、この期に及んで難題を吹っ掛けようとするのか?

 詳しく聞いてみると、彰とは犬猿の仲だけれど才能はあるカノマタが、当時流行りだした8ミリ・ビデオカメラを使った自主上映を計画していて、それに触発されたらしい。

8ミリ・フィルムカメラ

(当時は最新鋭機)

 問題は作ろうとしている映画の中身だが、彰自身が脚本を書き演出も手がけると言う。

「で、主人公はオマエな・・てか、オレもだけど」

「何だそりゃ?」

 要するに二人の男が主人公で、何かにつけては対抗するが必ず片方が負ける。しかし負けた方は決して諦めず、次々と新たなバトルを仕掛け続ける・・という筋書きらしい。

  男の対決?

 むむっ、アクション映画か?それにコメディ要素もありそうだ。なんか心が動いて来たぞ。

「で、タイトルは決めたのか?」

「今、ジーン・ハックマンとロイ・シャイダーの『フレンチ・コネクション』が大人気だろ? あれに対抗するんだ」

 『フレンチ・コネクション』

「対抗・・って、向こうはアカデミー賞級の映画じゃないか。で、こっちのタイトルは?」

「聞いて驚くな・・『ハレンチ・コレクション~男は男である~』だ!」

 ええええ~!!!

 さて、この無謀な計画の行方や如何に!?

 はたまた、三つ同時のビッグ・イベントは成功するのであろうか?

(To be Continued⇒)
 

/// end of the “その217「わが青春の『ハレンチ・コネクション』①」” ///

 

《追伸》

 この自主制作8ミリ映画の撮影は困難を極めました。だって、彰のシナリオがメチャクチャなんですもの(笑)

 後から出てきますが、二階のベランダから落げ落とされたり、川の中で流されそうになりながら演技したり、実際の刑務所に侵入して撮影したりとやりたい放題・・ってゆーか、今なら全国版のニュースになるか「お縄」になりそうなことを散々やりましたから。

 今も「岸波通信」の片腕に近い存在の彰との付き合いは、中学時代の「同人誌」以来。実はその話も面白いので、また別に書きますが、こんな長い付き合いになるとは思っても見ませんでした。

 彼は卒業後、野村証券に入社。そこから転職してハナエ・モリの秘書役をやり、その縁でファッション雑誌のカリスマ・インタビュアーとなり、遂には編集長や役員を経て現在は大学の先生という生々流転の人生。

 まあ、僕の友達と言うのは、凄いと言うかヘンな奴がたくさん居るのです(笑)

 かく言う僕も、こんな事をしながら、福島県の医学の歴史を研究して福島県立医大の学史の再構築に繋がる『黎明期の群像』(福島民友新聞社刊/発売即・2万部完売)の執筆・コーディネイターをやったりする変人なのではありますが。

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

WWD JAPAN

(カリスマ彰氏が編集長・編集委員を
務めていたファッション誌)

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To be continued⇒“218”coming soon!

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【岸波通信その217「わが青春の『ハレンチ・コネクション』①」】
2024.9.24配信

 

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