岸波通信その212ひと夏のデンジャラス・ストーリー

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Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その212
「ひと夏のデンジャラス・ストーリー⑥」

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◆「人生を振り返って」シリーズ#11 ひと夏のデンジャラス・ストーリー⑥

 三人の不注意でラーメン券10枚を逃してしまったあくる朝、その日は福島に帰る予定の日だ。朝起きると、何故かキヨタカの表情がすぐれない。

「どうしたキヨタカ?」

「実は、いつの間にか帰りの旅費が足りなくなってる・・」

「ええ~!」・・そもそも金を持たずに出立した僕は、費用はキヨタカ頼みだったのだ。

足りねぇ!(汗)

(イメージ)

「よし、今あるオレのありったけを持っていけ。あと二日凌げば、実家から仕送りが届くはずだ」とノブユキ。

 地獄に仏、何たる義侠心。持つべきものはトモダチだな。とにもかくにもノブユキの犠牲的精神で何とか帰路に付けることになる。

 早朝、ノブユキの愛車カローラで室蘭港の連絡船船着場へ。これで数日間の北海道デンジャラスストーリーはお終いだ。

  当時の室蘭港船着場

 とはいえ腹減ったな。もちろん朝食も摂らずにココまで来ている。

「なんとか立ち食いソバくらいは食べられそうだ・・一杯だけ」

 一杯かよ!? ・・まさに実録版「一杯のかけそば」だ。

一杯のかけそば

(イメージ)

 僕らは朝・昼を“一杯のかけそば”を分け合って凌ぎ、福島に帰ってから栄養を摂ればいい。なんとかなるだろ。

 僕らは「無料」の刻み葱をこれでもかという程ぶっかけ、二人で分け合った。(昨夜、ラーメン三杯食べといてヨカッタ:笑)

 しかし、青森駅に着いて僕らは驚愕することになる。帰りの特急料金が季節変動で値上がりしていたのだ。

 これには参った。福島まで二人分の切符は買えない・・。

  券売所(現在の写真)

「仕方ない、僕は仙台で降りるよ。帰省してない友達が誰か居るだろ。向かえに来てもらって仙台のアパートに戻る」と僕が言う。

「グッジョブ!」とキヨタカ。

 電車が仙台駅に着いたのは夕暮れ迫る時刻。キヨタカに別れと感謝を告げ、無けなしの10円玉を公衆電話に投入・・居た!!

公衆電話

(イメージ)

 もし居なかったら、北山のアパートまで5キロほど歩くハメになっていたはずだ。持つべきものはトモダチだな。

 その夜は友人にお世話になって仙台泊まり。翌朝、福島のキヨタカに電話して無事帰着したかどうかを確認。

「や~無事帰ったか、ヨカッタ。なんだかんだとお世話になった。出してもらった費用はいつか返すからな」と互いの安否確認。(ホッ)

 あれからハヤ50年。未だにあの時の費用は返していない(爆)

 (※このシリーズ・完)
 

/// end of the “その212「ひと夏のデンジャラス・ストーリー⑥」” ///

 

《追伸》

 当時は、大学の夏休み期間でもバイトを続けて帰省しない学生も多くおり、誰かしら居るだろうとタカをくくっていました。(で、青森から市外通話するのを控えた。時間も無かったが。)

 とはいえ、手元に残された十円玉は4~5枚のみ。ヒットしなければそれこそ悲惨なことに。

 医学部のカメヤマなら、車も持ってるし・・と思いましたがハズレ。(やばい!)

 焦りましたね、この時は。十円玉を握りしめる手がグッショリと(笑) 

 アパートには食糧も残して来たし、最終的になんとかなったワケですが、今考えると本当に無茶苦茶な冒険でした。

 そこで痛い目に遭っていれば、行き当たりばったりの僕の性格も、もっと早く矯正できていたのかもしれません。

 それにしてもあの”一杯のかけそば”、旨かった~(大笑)

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

サイロ展望台

(洞爺湖)

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To be continued⇒“213”coming soon!

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【岸波通信その212「ひと夏のデンジャラス・ストーリー⑥」】2024.7.17配信

 

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