岸波通信その211ひと夏のデンジャラス・ストーリー

<Prev | Next>
Present by 葉羽
「SUMMER IN THE ISLAND」 by Music Material
 

岸波通信その211
「ひと夏のデンジャラス・ストーリー⑤」

NAVIGATIONへ

 

◆「人生を振り返って」シリーズ#10 ひと夏のデンジャラス・ストーリー⑤

 飲んで騒いだ後、フラリと立ち寄った開店セール中のサッポロラーメン屋。

 店内はカウンターだけの狭い店。三人並んで腰掛け壁のメニューを見ると「醤油・塩・味噌」三本柱の横に“30分以内に三杯食べたら無料”のキャッチコピーが。

 うん、この言葉は魔法のように魅力的だ。

ラーメン屋の店内

(イメージ)

 よく見ると、チャレンジ成功者の名前がズラリと貼り出してある。今まで5人が成功しているようだ。

「で、三人とも挑戦するの?」と僕。

「いやいやいや、散々飲み喰いした後だ。俺は無理」とキヨタカ。

「代表して一人が挑戦、二人は応援ってのどう?」とノブユキが提案。

 どう・・って誰が?と聞き返すまでもなく、二人の熱い視線が僕に注がれているのが分かった。

  こんな視線(笑)

 たしかにノブユキはそれほど大食漢でもないし、キヨタカは中学校の時、アイスクリーム食べ放題に付き合わせて病院直行だったし(笑)

 ・・うむっ、ここは僕がやるしかないか。

「食べ放題ひとり挑戦!醤油と塩と味噌でお願いします!」

「成功した人のコツは、最初に麺だけ食べ終わって後からスープ呑むのがいいよ」と店の親父がアドバイス。

「30分、死守!」とノブユキ。

 合点承知の助。さあ、矢でも鉄砲でもラーメンでも持って来い・・と数分後に三杯のラーメンが目の前に並ぶ。あらら、中々のボリュームだ。(ダイジョブかな?)

味噌ラーメン

(イメージ)

←こんな感じのラーメン。

 キヨタカとノブユキの前にも一杯ずつのラーメンが着丼し、店主が時計を見てスタートの号令をかける。

 まずは塩から着手、その後、醤油・味噌とだんだん味の濃いのを平らげる作戦だ。

 一口食べた僕は「店主!」と呼びつける。

「何でしょう?」と、恐る恐る店主。

 旨いじゃないか、コレ!٩(ˊᗜˋ*)و  ε=\__〇_ ズコー

  麺リフト

 をを~コレなら行けそうだ。塩をやっつけ、醤油もほぼ平らげた辺りで二人の様子を見ると、まだ半分も食べてない。

 そうだったぁ!・・コイツら『猫舌』だった。(だから挑戦を遠慮したのか、むべなるかな。)

 時間との勝負というのをすっかり忘れ、目の前のラーメンが旨いことにひたすら感動しながら一気呵成に食べまくる。 三杯目の麺を食べ終え、さてスープに取りかかるかという刹那・・

「ちょっと待て、キシナミ!」とキヨタカ。

「何だ、なにか問題が?」

「残り時間は十分にある。ここは一息入れて態勢を立て直すんだ!」

 うむむ、別に参ってはいないが・・と思いつつも、せっかくの友のアドバイス。それでは一服と煙草に火をつける。

 そうやって見ていると、猫舌の二人もようやく食べ終えるところだ。

完食

(イメージ)

「では、いくとしよう!」

 大き目のレンゲで三杯のスープを掬っては呑み掬っては呑み、最後はドンブリを高々と抱え上げて完食。やったぞ、30分なんてかかってないだろ?

「それどこじゃない。まだ11分だ」(笑)

 ええ~! ∑( ̄▽ ̄;)

 そこで店主・・「おめでとうございます!でも惜しかったですね、10分以内なら更にラーメン券10枚だったのに♪」

 ええええ~!? ( ̄[] ̄;) (聞いてねぇ!)_│ ̄|○ オーマイガー!

 確かに壁の“30分以内無料”の下の方を見直すと「※10分以内でラーメン券10枚進呈」と小さく書いてある。(なんてこった!)

「なんであそこで休むかな」とキヨタカ。

「どの口が言うっ!」 m9っ`Д´)

 と、嬉しいんだか悲しいんだか分からない結末となり、僕らはラーメン屋を後にして電車の駅に向かったのでした。

 To Be Continued⇒

 

/// end of the “その211「ひと夏のデンジャラス・ストーリー⑤」” ///

 

《追伸》

 この時行った店は「ラーメン横丁」ではなく、もっと場末の方だったと記憶しています。

 それから40年後、同級会で再会したノブユキに「そう言えば、あの時のラーメン屋にまた行ってみたい」と言ったら・・「あそこは、あの後すぐ潰れたよ」と。(驚愕!)

 たしかにいい場所じゃなかったから、あんなことやってもリピーターが付かなかったのかな。

 なお、ラーメン横丁の方は、就職した後、出張で二度ほど行く機会がありました。

 ということで、次回はこのシリーズ最終回「悲惨な帰路」の巻です。

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

ラーメン横丁

(札幌市)

管理人「葉羽」宛のメールは habane8@ybb.ne.jp まで! 
Give the author your feedback, your comments + thoughts are always greatly appreciated.

To be continued⇒“212”coming soon!

HOMENAVIGATION岸波通信(TOP)INDEX

【岸波通信その211「ひと夏のデンジャラス・ストーリー⑤」】2024.7.3配信

 

PAGE TOP


岸波通信バナー  Copyright(C) Habane. All Rights Reserved.