今回の『黎明期の群像』では医学者を中心に22人の先人たちに焦点を当てたが、紹介しきれなかった人物やエピソードも多々ある。
例えば、二本松少年隊の生き残りで苦難の人生を辿りながら福島県の初代医師会長となった南二郎。伊達郡出身で草創期の軍医制度を確立した石黒忠悳(ただのり)。
軍医制度を作った石黒忠悳
ドイツの医学者クリストフ・ヴィルヘルム・フーフェラントが残した『医戒』の精神を体現し、日本医科大学の開学の精神「克己殉公」を定めた小此木新六郎。
そして、女性が医師となることが困難だった時代に、医師としてハンセン病の患者救済に生涯を捧げた須賀川出身の服部けさ、「吉田肉腫」の発見により世界のがん研究の先駆者となった石川郡出身の吉田富三などもそうだ。
世界のがん研究の先駆者吉田富三
さらには、後藤象二郎や岩崎弥太郎らを教育したジョン万次郎の息子で、後に東京市初代医師会長となる中濱東一郎は福島医学校の初代校長であったこと。
“東洋のシンドラー”と呼ばれる外交官杉原千畝がロシア語を学んだのは、後藤新平が日露協会学校創立委員長として設立に関わったハルピン学院であった事実も発掘された。
ジョン万次郎の息子中濱東一郎
こうした書ききれなかった数々のドラマも、いつか補稿できる日が来ればと思う。