これが平安時代になると製紙や竹細工の技法で改良され、安土桃山時代には防水加工技術・開閉技術が開発、江戸時代になると一般庶民に広がるまでになりました。
さてここから、日本における「ビニール傘」の登場にフォーカスします。
現在はコンビニなどで安価に購入できるビニール傘ですが、これは世界で初めて日本のホワイトローズ社が発明したモノなのです。
ホワイトローズ社の会社案内より
ホワイトローズ社の淵源は、武田勝頼の子孫とされる武田長五郎が1721年に創業した煙草商「武田長五郎商店」。
4代目長五郎の時代に、刻み煙草の湿気を防止するために用いていた油紙を活用して雨具(現在のレインコート)を発明し、これが参勤交代にも使われるなど売れに売れて雨具商に転向。明治に入ると和傘の生産にも着手します。
江戸時代の雨具「油引紙衣合羽」
この社が転機を迎えたのが、第二次世界大戦後間もない1949年。当時の布製傘は雨で色落ちする欠点があり、9代目社長の須藤三男は進駐軍が使っていたビニールのテーブルクロスに注目。
傘にビニールを掛けるという「傘カバー」を発明して大ヒット。それがやがてビニールそのもので傘を作ってしまう「ビニール傘」の考案に至り、1953年に「ホワイトローズ株式会社」が開業する。
傘カバー
しかし売れなかった・・何故か? つまり当時のビニールは高級品で、強化したビニールを加工した傘は高価過ぎたのです。
だがそんなことでくじける須藤社長ではなかった。彼は、本拠を上野から銀座に移して積極的なセールスを展開する。そして運命の「TOKYO1964」がやって来る。