これを実験的に施したのが、商船インダストリー号。同船の画像はありませんが、同様にダズル迷彩を行った上の「USSウェストマホメット号」でも分かる通り、一見、船の形を認識できず混乱は必定。
当時、潜水艦が敵艦を発見した時に距離を測る光学測距儀は、二つのレンズから入射した画像を調整して一枚に合わせることで測定を行っていましたが、この「ダズル迷彩」を施しますと、画像を一致させた瞬間でも乱れて見えるのでした。
距離が測れなければ船体の大きさも分からず、さらに距離ばかりでなく艦首の向きも認識しずらいことから、いったいどの方向にどのくらいの速度で航行しているか悩ませるのです。
(ニセの艦首波が描かれることもある。)
ま、奇妙キテレツなこの理論。実戦的効果は未知数でしたが、意外な副作用が。この鮮烈なデザインを見た乗組員、そして民衆までもが拍手喝采し、戦意高揚に大いに貢献したのです。
ということで、イギリス海軍本部は「ダズル迷彩」そのものの有効性には判断を控えながらも乗組員の士気向上効果は認めざるを得ず、アラン・ライン北大西洋航路定期客船であったアルセイシャンを皮切りに正式採用されることになりました。
さて以下は、その後にイギリスを超えて各国に採用されていった「ダズル迷彩」の艦船画像。