坂田氏のマネージャーから突然、「写真展中止」の通告があったのです。
開幕の準備を全て終えていた博物館は騒然。告げられた理由は「自分としての『鎮魂』は、あの南相馬の浜辺で完結した」というものでした。
しかし、本人の諒解を得て「鎮魂」の撮影に臨んだのが6月。芸術祭の開幕は10月。その間、何のクレームも無く順調に事が運んでいたのですが…。
実は、坂田さんの演奏の当日、急にテレビカメラのクルーが同行して来ました。
「おそらく、その編集映像の使途との関係で肖像権が問題になったのではないか?」
~そんな事も話題になりましたが、真相は分りません。マネージャーが『本人の意思』という以上、もはやどうすることもできないのです。
セレモニーの方は急遽代替案を講じて間に合わせましたが、落ち込んだのは大和伸一です。
見るものを唸らせるに十分な写真たちでしたし、何と言っても写真家としての再起をかけて挑んだ企画だったからです。
彼の無念の表情…その落胆は測り知れないほどでした。