「見て見ぬふりをする」ことによって、少年時代のトラウマを負った校長先生が40代になった頃、同級会の案内が舞い込みます。
同級生の誰もが「T子は欠席するだろう」と考えたそうです。
しかし…彼女は美しく成長し、堂々とした態度でみんなの前に現れたのです。
校歌を斉唱し、宴が進むと、一人ひとりの現状紹介がはじまりました。
そして、T子さんの順番となり…
「私の小学校時代は、楽しい思い出はありません。いじめられてばかりいました。
でも、死のうと思ったことは一度もありませんでした。
それは、将来に対する夢があったからです。
この会津を出て、東京で就職し、新しい人生を切り開いていきたいと、ずっと思っていました。
中学校を卒業するとすぐに東京に行き、就職しました。
そして今、結婚した夫と子どもと毎日幸せな日々を送っています。」
~と誇らしげに語り、最後に「父が好きだった歌を、ここで歌わせてください」と、一節太郎の「浪曲子守唄」を歌い始めたのです。
「♪逃げた女房にゃ未練はないが、お乳欲しがるこの子がかわいい…」