岸波通信その169「復興の狼煙」

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Present by 葉羽
「November Girl」 by Blue Piano Man
 

岸波通信その169
「復興の狼煙」

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  Welcome & Farewell speech 【2017.9.2改稿】(2011.5.20配信)

「私自身、この震災と並行して身辺に立て続けに良くないことが起きましたから、こういう言葉に触れると、胸がえぐられるような…負けてはいられないという思いにさせられました。」
  ・・・本文あいさつより

 皆さんこんにちは。

 あの東日本大震災で人事異動も凍結になったため、3月末でお辞めになった皆さんの送別会もできませんでしたし、新たに4月に採用になった方の歓迎会もできませんでした。

 大変申し訳ない想いでいっぱいでした。

 でもようやく異動の内示があり、遅ればせながらもう一度お集まりいただいて、今日の歓送迎会を迎えることができたのでホッとしています。

 まずは転出された皆さん、お世話になりました。そして新採用の皆さん、いらっしゃいませ。

 本県の原発事故はまだ収束の見通しが不透明ですけれど、被災地に向けたいろいろな応援プロジェクトが動きだしています。

 そうした中からとても感動したものがあったので、ご紹介したいと思います。

「復興の狼煙」
ポスタープロジェクト

 それは、大津波で壊滅した釜石市の「復興の狼煙」ポスタープロジェクトです。

 ガレキの中で復興に汗を流している普通の市民の姿をポスターにして、そこに一言、決意の言葉を加えたものです。

 十数枚のシリーズになっていまして、これが大変評判になっている。

 その売り上げは復興資金になるわけですが、全国から“是非欲しい”という声が殺到しているそうであります。

 何故、そんなに人気があるのか。

 見ただけで心が熱くなるメッセージがあるからです。

 例えば…

『しおれてちゃ男がすたる。』

「復興の狼煙」
ポスタープロジェクト

 そして…

『埃も泥も、思い出にする。』

 自分達が今こうやってガレキの中で頑張っているのは、仕方なく汚れ仕事をしているんじゃない。

 大変な被災の中、幸運にも命をながらえ、世の中のために一生懸命汗を流している。

 この経験は自分の宝物だ。だから、その記憶を捨て去らない。

『埃も泥も、思い出にする。』

 どうです、熱いでしょう?

「復興の狼煙」
ポスタープロジェクト

 そして、私が一番お気に入りのポスターが今日持ってきたこれです。

 壊滅した町の中でしっかりと立ち上がっている男性…

『心まで壊されてたまるか。』

 なんかもう、ぐっと来ます。

 私自身、この震災と並行して身辺に立て続けに良くないことが起きましたから、こういう言葉に触れると、胸がえぐられるような…負けてはいられないという思いにさせられました。

「復興の狼煙」
ポスタープロジェクト

 そして、これらのポスターの右側には、こんなことが書いてありました。

「一緒に悲しむことよりも、あなたの仕事を一生懸命やってほしい。

 それが沿岸を、岩手を元気にする力になると思うから。」

 …そういうことだったんですね。

 もちろん、被災地のことを思い遣ることは大切。

 だけど、一緒に泣いているだけじゃだめだ。

 一人ひとりが、自分の仕事を一生懸命にやる…それこそ大切なことなんですね。

 私たちの中にも被災者は何人もいます。

 自宅が、故郷が、壊滅した方もいます。

 だけれども、どんなところにも花はまた咲きます。咲かせることができます。

 新しく来られた方、別の道に進まれた方、それぞれに…

『置かれた場所で咲きましょう。』

 …この言葉を、歓迎と餞の言葉にさせていただきます。

 

 皆様、本日は本当にありがとうございました。

 

/// end of the その169 「復興の狼煙」” ///

 

《追伸》

 5月18日、二ヶ月近く遅れて職場の歓送迎会がありました。

 先週、足を怪我したため、杖を突きながら足を引きずっての参加となりましたorz…

 その翌日は、政府の復興構想会議のメンバーにもなっている赤坂憲男館長が来館し、「木曜の広場」の講演がありました。

 「木曜の広場」では、二ヵ年かけて“遠野物語を読む”をテーマにしているのですが、当日は急遽演題を変更し、大震災に関する話になりました。

 館長とともに参加している当館の名物学芸員、佐々木専門員は南相馬の人で、大津波のために7戸を残して故郷の集落が壊滅いたしました。

 南相馬の状況をスライドで説明する中で、佐々木さんは前日の私のスピーチを取り上げ、「心まで壊されてたまるか。」の言葉に深く感動したという話をご紹介くださいました。

 南相馬に自宅・実家を持つ職員はほかにも二名。

 中通りで地震のために家が全壊した職員、親族を亡くした職員が数名…

 震災は我が博物館にも大きな傷跡を残したのです。

 でも、負けてはいられません。

『心まで壊されてたまるか。』

 命を守り生活を守ると同じくらいに「心」や地域文化、誇りを守ることは大切です。

 今こそ、博物館の出番。

 決意を新たに取り組んで行きたいと考えています。

 

 では、また次の通信で・・・See you again !

「復興の狼煙」
ポスタープロジェクト

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To be continued⇒“170”coming soon!

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【岸波通信その169「復興の狼煙」】2017.9.2改稿

 

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