二作目の「アリア」に関しては、奥会津三島町在住の遠藤由美子さん(奥会津書房編集長)が、毎日新聞にハーメルン紹介のために投稿した文章の中に記述があるので引用します。
「・・・(前略)・・・エンディングロールが静かに流れるころ、気がつくと涙が流れていた。
それはとても不思議な、詩情あふれる美しい映画だった。
映像は時にモノクロームかと錯覚するような静けさを湛えて、美しいものが必然のように孕む哀しみに裏打ちされて鮮烈だった。
それは、坪川監督の視座の透明感、対象に向き合う誠実さの証明でもある。
映画の本当の主人公は、「時間」や「記憶」なのかもしれない。
周囲が時折イコンのように感じられる不思議な奥行きと独特の様式には、どこかヨーロッパの雰囲気も漂っていた。
説明的な台詞をギリギリまで省いた勇気は、観客の感性を信じてくれているからなのだろう。
ロシアの夭折した映画監督アンドレイ・タルコフスキーを思い出していた。
何年ぶりかで、もしかしたら十何年ぶりかで出会えた、魂を揺さぶられるような静かな感動の余韻は今も続いている。」