いわく、「応益負担という考え方が障害者の負担増につながる」、「自治体間のサービス格差がある」等々・・。
批判する理由は理解できないわけではありません。
また、社会制度が大きく変化することへの不安、これからの生活への不安も当然でしょう。
でも、大石さんが話をされた米国の障害者の意識とはずいぶん違うと感じました。
大石さんが訪れた「CIL(米国の障害者自立支援センター)」は、1972年にカリフォルニア大学を卒業した重度障害者4人によって設立され、ここを拠点にして全米へ拡大して現在では米国の障害者福祉の本拠地となりました。
米国では“障害者の社会的自立”という運動そのものが障害者自身の手によって育てられたものです。
また、国の関与も日本とは全く違います。
米国政府は補助政策に向かうのではなく、社会的自立の障害となっている障害者差別自体を法で禁止する道を選んだのです。
米国社会における障害者への一切の差別を罰則付きで取り除こうとする「ADA法(障害を持つアメリカ人法)」は、まさに画期的な法律と言えます。
この法案への大統領署名にあたり、時のブッシュ大統領(父)は、5000人の障害者をホワイトハウスに招き、以下の様な演説を行いました。
「これまで我々が築いてきた物理的な障壁や我々が容認してきた社会的な障壁を取り除かねばならない。
なぜならば、全ての者が共に繁栄することができなければ、その国は決して繁栄している国家とは言えないからであります。」