「美しい国、日本」の伝統的な価値観に“職業に貴賎はない”という考え方があります。
しかし日本の子供たちは、小学校(あるいはそれ以前)から、誰もがたった一つのピラミッドの頂上を目指して競争を強いられています。
そして競争から落ちこぼれるたびに自分の進路目標を下げていき、到達した高さに応じて職業を選択します。
このようにして選んだ職業に「誇り」を感じることは難しいでしょう。
自分では気付かずに、職業というものに対して“貴賎”の意識を持ってしまう可能性さえあります。
ドイツに、モノづくりを中心としたマイスター制度というシステムがあります。
中世の徒弟制度に起源をもち、1953年に職能制度として法制化されたシステムですが、建設から電気・金属、木材加工、食品、健康・保健など94の業種ごとに「マイスター(名人)」の資格が定められ、この資格を取らなければ開業することはできません。
(※EU統合後、ドイツ手工業法が改正され、対象業種数は変更された。)
ドイツにおけるマイスターの社会的地位は非常に高いのです。