中学時代の彼は、とてもヤンチャなヤツだった。
何か面白そうなことがあると、真っ先に首を突っ込んで来て、いつしか先頭に立っていた。
そして、やることに度が過ぎて真っ先に叱られるのもやはり彼・・・要するに“悪ガキ”であったのだ。
聞くところによれば、そんな伸一に“人生でどうしても許せない人間”がいるらしい。
それは他でもない中学校時代の恩師だというのだから、事は穏やかでない。
いったい二人に何があったのか?
彼のクラスで、ある日、大事件が持ち上がったらしい。
同級生の持ち物が、教室から忽然と行方不明になった・・・どうやら、誰かがいたずらをして、隠したか盗んだらしいのだ。
しかし、そこは狭い教室内の世界、生徒から話を聞いた担任のE教師は烈火の如く怒りをあらわにした。
早速、教室に生徒全員が集められ、尋問が始まった。
真っ先に、悪ガキである伸一にE教師の疑いがかかった・・・しかし、彼は全くの潔白であった。
誰も犯行を名乗り出る者は現れず、“集会”の後で、伸一は一人だけ職員室に呼び出された。
そして、E教師は、彼に向かってこう言った・・・
「なあ、大和。絶対誰にもナイショにしてやるから、オレにだけ本当の事を言ってくれ。」
・・・完全に犯人と決め付けられている。
伸一は、悔しさを通り越して涙が出そうになった・・・。
伸一は、ヤンチャもするが正義感が強く、決して悪事を働く人間ではない。
そして、反面では、とてもナイーブで他人に優しいところがある。
朱雀RSも、学生時代を通して親友だった伸一の支えがなければ、度重なるアンラッキー・ストーリーに押しつぶされていたかもしれない・・・。
E教師の心無い言動は、傷つきやすい伸一の心に大きな傷を残した。
「E、許すまじ!」・・・以来、E教師は、伸一の“人生の宿敵”になったのである。