「見当もつきません。」
・・・正直な気持ちを返した。
「確かに僕は、会津大学でITを専門とする先生方と一緒に仕事をさせていただきました。
多少のノウハウは知っているつもりです。
しかしコンピュータは、“2000年問題”でもあれほど世間を騒がせたじゃないですか?
こんな不安な技術を行政に応用してもいいんですか?」
・・・ネットに対する不安がよぎった。
「いや、確かに現時点では、ネットワーク社会は脆弱なものかも知れない。
また、今は過渡期だから、技術的あるいは法制的な課題も多いだろう・・・。
しかし、そのことを恐れてこの素晴らしい技術を過小評価すべきでない。
ITは、初めて時間や空間さえ凌駕できるコミュニケーションの可能性を我々人類に提示したんだ。」
「そうなのでしょうか・・・?」
「行政も変わるべきだろう。いや、変わらなくちゃいけない。
この“素晴らしい可能性”を政策に昇華させて、この福島に住む全ての県民が、年齢や性別や障害の有る無しや様々な壁を乗り越えて、いつでもどこでもあまねく社会の発展に貢献できる、そんな社会のビジョンを一緒に創りたいんだ。」