Our Way
of Ra-a-men 外伝8
岸波 皆さん、今日もおいしいラーメン喰ってますか~!
退かぬ!! 媚びぬ!! 省みぬ!!
“愛ゆえにラーメンを捨てられない男”が、またやって参りました。
ラーメン屋なら、“麺”にこだわって欲しいと考える岸波です。
・・と書き出した旧ラーメン道「複合食感麺」をようやくリニューアル・アップすることにいたしました。
この「複合食感麺」は、岸波通信ラーメン道が初めて他サイトに採り上げられてブレイクするきっかけとなった記念すべき作品でした。
ただ、今となっては少々問題もありまして、“刀削麺を食べたいのに店が無いから自作した”という話なのに、既にご承知のように白石刀削麺と福島刀削麺の話を先にアップしてしまったのです。
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海鮮刀削麺
(西安刀削麺) |
そんなワケで、時系列的に辻褄の合わない記述となる部分もありますが、そこはご勘弁願いたいと思います。
・・・ということで、
「この世にはもっと素晴らしい麺があるんやないやろか?
まだ誰もみたことがないような素晴らしい麺が・・・」
と、山口伊太郎さんの名言を再びパクらせていただいて、麺の食感について考えます。
あはー、またもムリヤリな導入!
1 ビラビラ感の官能
僕は大の“ワンタン麺”好き。
県庁の10階勤務になって、馴染みの「もみぢ食堂」から少々距離が開きましたが、お昼時になると、結局、あのワンタン麺が恋しくて足を運んでしまうんです。
というのも、ワンタン麺というのは、あのワンタンのニュルニュル感というかビラビラ感というか、その食感がとても楽しいのです。
ところが世の中には不思議な人もいるもので、「ワンタンだけは、どーしてもユルセないっ!」と力説するのがA参事。
A参事 たっ、頼む。お願いだからオレの前でワンタンの話だけはしないでくれ。
daddy あっはっはっは、コワイもの知らずのAさんがそんなこと言うなんて…だって、美味しいじゃないですか?
おれはワンタンのあのプニプニ、ニュルニュルするところが苦手なんだよぉ。
ナニ言ってんのさ。そのニュルニュル、ビラビラ、ほにょほにょがオイシーんじゃない!
うわーっ、言わないでくれ、オレが悪かった。もうしないからユルシテ!(涙目)
・・・(ありゃ、マジ?) でも、何でそんなに気持ち悪いのかなぁ?
だってさ・・・スープの中に、くしゃくしゃにしたティッシュ・ペーパーを放り込んだような、あんな食べ物って・・・
きっと、この世のものじゃないよねぇ!
(ははーん。きっと小さい時に、相当なトラウマを受けたんだね。)・・・ヨシヨシ。(もう泣かないのね。)
しかし、フツーの人にとっては、ワンタンの繊細な食感は官能をくすぐる喜び。
これがワンタン麺ともなれば、こともあろうにチジレ麺のズルズル感までもが加わってしまう。
この複合食感の快楽!
とどのつまり、麺類の楽しさというのは、スープの味わいもさることながら、ビラビラ、ズルズル、ニュルニュル、モチモチというような“麺の食感”に負うところがかなり大きいのではないか・・・?
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ワンタンメン
(もみぢ食堂) |
昔、作家で漫画家の東海林さだお氏がエッセイの中で同じようなことを書いていました。
探究心旺盛な彼は、そこにとどまらず、意外なことまで考えてしまう・・・。
「ワンタンとラーメンを一緒に食べて美味しいなら、きしめんとソーメンを一緒に食べてもいいじゃないか?」
「いや、きしめんとソーメンを一緒に食べていいなら、きしめんとソーメンとうどんと冷麦を一緒に食べたっていいじゃないか?」
「なんか文句あっか!」
・・・と、こういうことで、これまで一度も一同に会したことがない和麺の群雄たちが、東海林さだお氏の厨房で、同じドンブリの中、あいまみえることになったのです。
果たして、その顛末は・・・?
この前人未到、人類史上初の大プロジェクトは、大失敗だったそうであります。
何のことは無い、こうした混成チームの中では、結局、大きいものに軍配が上がる。
ソーメンも冷麦もうどんも、最も質感があるきしめんの歯ざわりの陰に隠れてしまい、オールスターかけうどんは、単なる「きしめんかけうどん」になってしまったのです。
やはり、いろいろな麺の食感を、同時に味うというのは無理なのか?
でも、その方法が・・・
あったんですヨ。しかも、たった一種類の麺で!
2 刀削麺
この新・ラーメン道になってからは既に何回かご紹介しましたが、その麺こそ「刀削麺(タオシャオメン)」。
殆どの麺は、切ったり伸ばしたり押し出したりして作るのに、この麺だけは、小麦粉の塊からいきなり麺を“削り出す”という荒業を使います。
テレビなどで、実演の様子を見かけることがありますが、調理人は左手に小麦粉を練った塊を構え、右手に持った湾曲した刃物で素早くカンナのように削るのです。
削られた麺は、ヒラリヒラリと空中を舞って、1メートルほど向こうにあるグラグラと湧き立つ鍋の中に放り込まれる・・・見ていてうっとりするような華麗な職人芸です。
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刀削麺の実演
←あらら、この人ギッチョでした! |
ところで、この刀削麺で、どうして“複合食感”を体感できるのか??
刀削麺の断面は、実はクサビのような三角形になっていて、幅一センチほどの麺の片側は厚さが3ミリほど、これが反対側に向かってどんどん薄くなっています。
しかも、長い方の断面も切り出す手前が厚く、向こう側が薄くなっていく。
つまり、全体の形状はきしめんのような幅広麺だけれども、一番太い右手前の部分はうどん地帯、そこから、左先にかけて途中から冷麦になり、ソーメンになり、やがて先っちょの部分でビラビラのワンタン風になるんです。
たった一本の麺でかもし出す複合食感・・・さすが、中国四千年の食文化は奥が深いですねぇ!
台湾に居た頃のJUNが言います・・・。
JUN
昨日6日に高雄、台中の出張から帰り、夜はタクシーで10分ほどの店に行って、やっと念願の刀削麺(タオシャオミェン)を食べた。
台北事務所近くにも、最近まで刀削麺を食べさせる店が在ったそうだけど、今は看板だけ残ってて店はなくなっている。
きしめんを太く短くやや厚めにした感じで、思ったよりコシはあったけど期待ほどではなかった。
唐辛子とラー油が効いたスープはなかなかだったけどね。
むしろ一緒に頼んだ牛肉餡餅(餃子風ミートパイと言ったところ。肉汁がいっぱいで火傷しそう)が美味しかった。
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牛肉刀削麺
(朱記餡餅粥店/台北)
←JUNの食べたのがココかどうかは分からない。 |
なくなったと言えば、大学の頃福島に帰るとよく行っていた県庁近くにあった「なかまち食堂」というラーメン屋がある日(20年以上前か)突然なくなっていたんだけど夜逃げでもしたんだろうか。
何か知ってる?
高校時代によく行った「石狩ラーメン」も最近店を閉めたようだね。サッポロラーメンの店から中華料理店になっていたけど。
ずいぶん昔にオヤジさん(兄のほう?)が司法試験に受かったとか新聞に載っていたような・・・
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daddy
福島市は、ニューウェーブ・ラーメン屋の出店ラッシュで、旧タイプのラーメン屋は次々閉店に追い込まれているんだ。
なかまち食堂が消えたのは、もう随分昔の話だな。
長いこと値上げしないで頑張っていた、あの「神田軒」もホラ、このとおりサ。
(←神田軒に、長く掲げられたままの貼紙。
2004.5.26撮影) |
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そっかー、ついに食べたか刀削麺!
僕も食べてみたい・・・究極の複合食感麺。でも、なかなか食べられない。
そこで、なんとか自分でも刀削面を作れないものかと実験してみようと・・・。
ところがぎっちょん、そんなに世の中甘くない。
削り出すのに丁度いい麺の固さというのはかなり難しい。それに、小さなナイフではやっぱり駄目で、どうしても湾曲した専用の刃物がないとうまくいかないようです。(エグれない・・・涙)
というわけで、刀削麺については断念せざるを得なかったのですが、思わぬきっかけで、別の手段を用いて複合食感麺を自作することになったのです!
3 手巻きラーメン
ねぇ、なっちさん。このビルの一階にふるさと特産品展示コーナーがありますよね。
なっちヤン あ、“天狗の面”があるとこですね? (どうして福島特産なんだか・・・?)
あそこに「手巻きラーメン」ってヘンなのあるじゃないですか?
あれは喜多方の河京が考案したヤツらしいですよ。自分で好きな太さに切ってから麺を茹でるんです。
あれは、スゴイ発明ですねぇ。自分の好みでどんな形にしてもいいし。きっと、旨いだろうなぁ。
なんだ、ちょうど今日、喜多方に帰りますから、買ってきてみましょうか。
そ、そうですかぁ・・・じゃ、是非お願いしますっ!
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手巻きラーメン
(喜多方市の河京製麺製)
←これが、入手した手巻きラーメン。 |
ということで、なっちヤンのご厚意で入手できた“手巻きラーメン”(特製スープ付き、しょうゆ味)は、喜多方河京製麺が考案したアイディア商品。
伸ばして整形した麺帯を、切らずにくるくる巻いた状態で三人前が入っていました。
そして、化粧箱の表面にはこんな文字が・・・
「切り立てが旨い。
好みの太さの麺と一番おいしい麺の状態「切り立て」が味わえる、麺通に贈る一品です。」
なぁるほど!
やってくれるじゃありませんか。
しかもさりげなく「福島県知事賞受賞」の文字も刻印されている。
はやる心を抑えきれず、箱を開ける手ももどかしい・・・。
一本目の封を切ってマナ板に広げてみる・・・おっ!キレイな長方形だぁ。
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広げた状態
(手巻きラーメン)
←キレイな長方形。 |
あること(複合食感麺)を心に期しながら再び丸め、包丁を入れようとして、また思い直し、もう一本も追加する。ムフフ・・・。
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ラーメン棒を二本並べる
←まずは、これを幅広に切っていく。 |
さて、いよいよ、プロジェクトの第一ステップ・・・これを“超幅広麺”に切っていくのだ。
タンタンタンタンターンと、あっという間に切り終える。
こういうところは思い切りが大切だ。
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切り終えたラーメン
←まだ、丸まったまま。ヘンな形。 |
さーて、ココからがお立会い。まずは丁寧に揉み込んで縮れを付けるのだ。
ちょっと片手で揉みながら写真を撮り、次に両手を使ってしっかり揉み込む。
なぁるほど、超幅広麺に縮れを付けたワケですね。
ユーリ 揉みながら写真撮るのって大変でしたね。
でもってね、ここがポイントとばかりに、今度は両手を使ってね、こういうふうに、ムフフ・・・。
ドミニク なんかその手つきがヤラシイんですけど・・・。
うっ・・・!!
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揉んで縮れを付ける
←ちょっと、ヤラシイ手つきになっちゃう。
人前で手マネをするのは控えましょう! |
さぁて、いよいよ大詰めだが、最後のポイントが肝心。
揉みあがった麺を、今度はランダムに叩き潰す。
・・・そう、この工程で、刀削麺のビラビラ部分が出来上がるのだ!
削らなくても、ビラビラ食感が味わえる究極の秘儀!
後はイッキに茹でるだけ。
苦節30分(←軽いな)、遂に複合食感麺の完成です!
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複合食感麺の完成
←今回は大成功!
準備が無かったので、
海苔と 揚げ玉を載せてみた。 |
で、上の写真がその完成品。コレを食べてみると・・・
おーーっ、予想通りっ!
すばらしい食感・・・モチモチ、フルフル、ピロピロの唇震わす官能のオーケストラ!
やっぱり、ラーメンは太麺に限るなぁ。
なっち様には大感謝。
ということで、実験大成功の余韻に浸りながら、感動の夜は更け行くのでありました・・・。(謝謝!)
/// end of the“外伝8「複合食感麺」” ///
《追伸》
何度も書いていることですが、僕はとにかく太麺好き。
そしてもう一つ許せる麺は、中太麺までで黄色が鮮やかなくらいの玉子麺。
そんな訳ですから、細麺が中心のラーメン屋さんは、独断と偏見でバッサリ切って捨てることになります。
だから、僕が「マズイ」と書いても、そういう向きが好きな方にとっては大変美味しいラーメンかも知れません。
また、このラーメン道は決して「ラーメン評論」ではなく、ラーメンに関連して本当にあったドタバタ・エピソードを書いている“読み物”(読めば判りますね!)ですから、突っ込みは無しということでお願いします。
それにしても・・・
最近は、やれ魚介系ダブルスープだ、香味油だ、背脂チャッチャだ、ブシ粉まぶしだと、様々な趣向を凝らしたラーメンは数々あれど、“麺”自体が旨いと思えるラーメン屋は少ないのです。
そんな中で、僕が市内の店で“これはっ!”と思う店が二軒あります。
一つは、「味の時計台」、もう一つは最近味噌ラーメンの「どさんこ」の跡地に開店した川俣しゃもラーメンの「ラーメン甲子園」です。
うち、甲子園は、飲んだ後で2度しか食べていないので、まだ評価が定まりません(というか、酔っ払っていて正当な評価かどうか自信がない)ので、いずれレポートしますが、時計台の麺は固めに茹でた玉子麺で、まさに僕の好みにぴったり。
さらに、隅々まで清潔に気を配った店の中と従業員の接客の確かさ。
スープはやや塩から目で、ウチの親父は「しょっぱいな」と言っていたけれど、固めに茹でた麺と実によくマッチしています。
ただし、昔風ラーメン・・・あれはいけませんね。
ようするに、チープなラーメンというだけのものとしか思えません。
やはり、サッポロラーメンの王道の“味噌”がいいようです。
では、また「新・僕達のラーメン道」で・・・See
you again !
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味噌ラーメン
(味の時計台/福島市)
←ザ・札幌ラーメンという風格。
少しスープは塩辛目。 |
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