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「Freezing Conflagration」(佑樹のMusic-Room
by 岸波(葉羽)【配信2026.9.5】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 心神喪失の2時間。
『ゲットアウト』『アス』のスタジオが贈る
 狂気のサイコサスペンス

 このところTverでTVドラマしか観ていなかったので、何かネタはないかとAmaプラで”ドラマの映画で第2位”となっているガル・ガドット主演『ザ・ランナー』を観ていたら途中で寝落ち(涙)

 目が覚めた時には、自動継続で『透明人間』が始まったところでした(笑)

透明人間

(C)2020 Universal Pictures

 随分古いテーマじゃないかと切ろうとしたところ、これがもの凄く面白い・・というか怖い。(ホラーなので)

 ちなみに、H.G.ウエルズの原作を映画化した1933年の『透明人間』を全く新しい発想でリブートした2020年公開の作品でした。(Amaプラの視聴者評価は4.4/5)

 さて、その内容は?

 

 見えるのは、殺意だけ。

 映画の冒頭、波音が聞こえる海辺の豪邸の夜、ベッドで寝ていたセシリア(エリザベス・モス)は傍らの男エイドリアン(オリヴァー・ジャクソン=コーエン)の手をそっとのけて部屋を出る。

 彼女は急いで身繕いすると身の周りのものだけ持って屋敷を逃げ出そうとする。車庫まで行くと、突然現れた飼い犬の姿に驚いて車の防犯サイレンを鳴らしてしまう。

 国道まで逃げたところで妹が車で救援に。ところがエイドリアンが狂ったように追いかけて来る。助手席の窓を叩き割られたところで車は急発進。二人は逃げ切れるのか?

透明人間

(C)2020 Universal Pictures

 以下、映画の概要とあらすじは以下の通り。

◆『透明人間』の概要とあらすじ(映画.comによる)

 「ソウ」シリーズの脚本家リー・ワネルが監督・脚本を手がけ、透明人間の恐怖をサスペンスフルに描いたサイコスリラー。

 富豪の天才科学者エイドリアンに束縛される生活を送るセシリアは、ある夜、計画的に脱出を図る。悲しみに暮れるエイドリアンは手首を切って自殺し、莫大な財産の一部を彼女に残す。しかし、セシリアは彼の死を疑っていた。

 

 やがて彼女の周囲で不可解な出来事が次々と起こり、命まで脅かされるように。見えない何かに襲われていることを証明しようとするセシリアだったが……。主演は、テレビドラマ「ハンドメイズ・テイル 侍女の物語」のエリザベス・モス。

2020年製作/122分/PG12/アメリカ
原題または英題:The Invisible Man
配給:東宝東和
劇場公開日:2020年7月10日

 このエイドリアンという男は、異常にセシリアに執着しているサイコパスのDV男で、彼女を監禁し精神的な支配下に置こうとする。

 でも本当に恐ろしいのは、自殺したはずのエイドリアンが「透明人間」となってどこまでも追いかけて来るところ。

 

 こういう怖いキャラ、『JOJO』のスタンドにも居ました。死ぬことが条件で出現するスタンドで決して追跡を止めない。(第5部に登場するノトーリアス・B・I・G)

  ノトーリアス・B・I・G

 エイドリアンの異常性格を知っているセシリアは彼の死を信じようとせず、何らかの方法で「透明化」していると主張するも、周りから彼女の「妄想」と一蹴され、どんどん孤立化する。

 これは僕ら「観客」も一緒で、セシリアはトラウマのあまり狂い始めているとしか思えない。

 

 セシリアが銃を持ち出して怨霊(透明人間)に乱射まで始めると、「早く誰か病院に連れてってやれよ」と祈るような気持ちに。このセシリアの狂気がとても怖い。

 しかあしっ!! ・・実は彼女だけが「真実」を見ていたのです。

透明人間

(C)2020 Universal Pictures

 H.G.ウエルズの原作『透明人間』は、全身を包帯でぐるぐる巻きし、トレンチコートにサングラスをかけた異様な人物が主人公として登場します。

 若い時に科学師範学校に通っていたウエルズは科学考証を重要視し「生物を構成する物体の屈折率を空気と同等にすることで肉眼には見えなくさせる」という設定をしていましたが、これは後にアーサー・C・クラークらにより、この設定では「眼の水晶体がレンズの働きをしないので盲目となる」と指摘を受けたのは有名な話。

  H.G.ウエルズの原作『透明人間』

 この点、2020年制作の今作では、どのような解釈をしたか?

 何と「光学迷彩」機能のある全身ステルススーツをまとうことで解決したのです。

 なるほどなぁ・・これなら別途「葉羽のコーヒーブレイク」でも実用化されているのを紹介したし、『007』にも光学迷彩のアストンマーチンが登場しました。

 『007/ダイ・アナザー・デイ』

岸波 これとは別に、ウクライナの戦場ではドローンに対して姿を「透明化」する「熱迷彩マント」が実用化されています。

 また、この作品について「大きな音で怖がらせるから、それが苦手な自分は映画館ではなくDVDで鑑賞した」という人が居ました。

 いやいやいや、それ全くのミスリード。

「カメラが誰もいない部屋の隅をじっと映し続けるだけで、背筋が凍る」という口コミがありましたが、こちらの方が正確で「静寂」と「長回し」が恐怖を増幅させるのです。

  DV男エイドリアン

 そしてまた、単なる「モンスター映画」ではなく、リアルなDV、ストーキング、モラハラ、ガスライティング(精神支配)がこの映画の「恐怖の本質」だと言えましょう。

透明人間

(C)2020 Universal Pictures

 さて、ストーリーですが、「透明人間」となったエイドリアン(死は偽装だった)に妹を殺され「透明化スーツ」の存在に気づいたセシリアは単身で反撃を始めます。

 しかし、サイコパスであるエイドリアンの目的は逃げたセシリアに報復することではない。

 彼女を救えるのは自分だけ、どうか自分の所へ戻ってきて欲しい。そのためには何人殺しても仕方ない・・怖いですねぇ、こういう人。どんな結末を迎えるのか予断を許しません。

 そしてラストシーン・・これホントに怖いんですよ、あの一言が!

 最後まで目が離せないホラー映画の秀作でした。

 

/// end of the “cinemaアラカルト542「透明人間」”///

 

(追伸)

岸波 H.G.ウエルズの『透明人間』は名作だけあって、日本語訳が7回、児童書への翻案が20回も行われています。

 また直接の映画化は、1933年ジェイムズ・ホエール監督の『透明人間』と今作の二回ですが、同じモチーフを使って1954年の日本映画『透明人間』(小田基義監督)、2000年の『インビジブル』(ポール・バーホーベン監督)、1992年のアメリカ映画『透明人間』(ジョン・カーペンター監督)が制作されています。

 僕も児童書で読んだほか、1954年の『透明人間』のリバイバルは観ました。

 それだけ魅力的な素材を創り出したH.G.ウエルズはエライですね。

 なお、今作のエンディングについてはネタバレを書きません。だって、モッタイなさ過ぎるんですもの(笑)

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

透明人間

(C)2020 Universal Pictures

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト543” coming soon!

 

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