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「Freezing Conflagration」(佑樹のMusic-Room
by 岸波(葉羽)【配信2026.6.13】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 このあと
 俺は、死刑囚(カノジョ)と
 結婚する。

 乃木坂太郎原作の漫画『夏目アラタの結婚』を黒島結菜と柳楽優弥の主演で映画化した同名作品(2024年公開)をAmaプラで視聴いたしました。

 男性四人を殺害し死体損壊した獄中の凶悪犯「品川ピエロ」に児童相談所の職員が結婚を申し込むというあり得ない展開のこの作品・・何故?いったいどうして!?

夏目アラタの結婚

(C)乃木坂太郎/小学館 (C)2024映画「夏目アラタの結婚」製作委員会

 実は僕、乃木坂太郎の大ファンでして『医龍-Team Medical Dragon-』や『幽麗塔』を繰り返し読んでいます。

 この『夏目アラタの結婚』は、ビッグコミックスペリオールに連載された作品で、2025年の小学館漫画賞を受賞。単行本は累計230万部を売り上げています。

 

 先の読めない展開、一向に明らかにならない真犯人、それでも黙秘のまま死刑判決を受け入れる異形の被告人「品川ピエロ」。

 さて、事件の真相は?

 

 そのプロポーズは、
 罠か、愛か?

 映画の冒頭は、拘置所らしき建物の俯瞰シーン。そこから3年前の秋、犯行現場に警察官らが乗り込む場面へ。

 異臭の通報を受けた警察官らがアパートの一室に踏み込むと、そこにはバラバラ死体をカバンに詰め込むピエロの格好をした女の姿が。

 彼女は都内を騒がしている連続バラバラ殺人の容疑者、名は品川真珠20歳。

夏目アラタの結婚

(C)乃木坂太郎/小学館 (C)2024映画「夏目アラタの結婚」製作委員会

 室内にあった血痕のDNA鑑定から4人目の被害者が想起されたが結局、身元不明で立件はされなかった。

 3件の被害者は、それぞれ右手・左足・頭部が所在不明。容疑者は裁判で一貫して黙秘を貫き、一審の判決は「死刑」。

  法廷に現れた品川真珠

 以下、作品の概要とあらすじは以下の通り。

◆『夏目アラタの結婚』の概要とあらすじ(映画.comによる)

 乃木坂太郎の同名ベストセラーコミックを堤幸彦監督のメガホンで実写映画化し、死刑囚との獄中結婚から始まる危険な駆け引きの行方を描いたサスペンス映画。

 日本中を震撼させた連続バラバラ殺人事件の犯人で、逮捕時にピエロのメイクをしていたことから「品川ピエロ」の異名で知られる死刑囚・品川真珠。児童相談所職員の夏目アラタはその事件の被害者の子どもに頼まれ、まだ発見されていない被害者の首を探すため真珠に接触を試みる。アラタの前に現れた真珠は、残虐な事件を起こした凶悪犯とは思えない風貌だった。

 

 アラタは真珠から情報を引き出すため、大胆にも彼女に結婚を申し込む。毎日1回20分だけ許される面会の中で、会うたびに変わる真珠の言動に翻弄されるアラタ。やがて真珠はアラタに対し、自分は誰も殺していないと衝撃の告白をする。

  本当は殺ってない・・

 主人公・夏目アラタを柳楽優弥、死刑囚・品川真珠を黒島結菜が演じ、佐藤二朗、中川大志、丸山礼、立川志らく、市村正親が共演。「翔んで埼玉」シリーズの徳永友一が脚本を手がけた。

2024年製作/120分/G/日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2024年9月6日

 まさに謎が謎を呼ぶ展開。真珠は真犯人を知っているようだが明らかにしない。どんでん返しに続くどんでん返し。真相は予測不能に。

 と、この展開を見て、前回レビューした『ミステリー・アリーナ』を思い出さずにいられませんでした。

 『ミステリー・アリーナ』

 「5分に一回、どんでんがえし。」がキャッチフレーズでしたが、その実「どんでん返し」でも何でもなく、単にクイズの出題問題の展開を書き換えていただけ・・という情けない話。

 一体誰が演出をしたのか、またアノ独りよがりの福田雄一か? ・・と思ったら、何と『金田一少年の事件簿(堂本剛版)』や『ケイゾク』、『TRICK』などを演出した名匠堤幸彦。

  堤幸彦監督

 驚くべきは、今回の『夏目アラタの結婚』を演出したのも同じ堤幸彦監督だったのです。うむぅ・・。

 これは監督が悪かったわけではなく、元々「映像化不能」だった叙述トリックのミステリー小説を無理やり映画化させたプロデューサーの責任と思い知ったのであります。

夏目アラタの結婚

(C)乃木坂太郎/小学館 (C)2024映画「夏目アラタの結婚」製作委員会

 もう一つの驚きは、異形の殺人犯品川ピエロ(真珠)を演じた黒島結菜の超絶な演技力。(怖い怖い・・)

 余りにこれまで演じたキャラと違うので、しばらくは『今際の国のアリス』(ネトフリ・連続ドラマ)の土屋太鳳だと思い込んでいました。

 『今際の国のアリス』

 同作における主人公の一人宇佐木柚葉(ウサギ)を演じた土屋太鳳の演技は大迫力。その「怒り」の表情が、今作の品川ピエロの凶悪さに通じるものがあったからです。

 黒島結菜は、この春のTVドラマシリーズ『未解決の女 Season3』で波留に代わってヒロインとなり、その演技力を散々けなされていましたが、尻上がりに評価が上がり、最終的には視聴率でも波留主演の『月夜行路』を上回る数字を残しています。

そもそも「そういう演技が求められるキャラ設定」だったのだと今にして思う。キャラによる演技の激変に刮目せよ。

 『未解決の女 Season3』

 この『夏目アラタの結婚』の品川ピエロ役は、まさに黒島結菜の「代表作」とも言うべき鬼気迫る演技。

 彼女の「演技力」にケチ付けたい人は、是非一度ご照覧あれ!(笑)

凶悪さと可憐さと・・(夏目アラタの結婚)

(C)乃木坂太郎/小学館 (C)2024映画「夏目アラタの結婚」製作委員会

 それにしても『夏目アラタの結婚』のストーリー運びは、さすがに乃木坂太郎の真骨頂。殺人の真相(本当は殺人ではない)、真珠の真相(本当は真珠ではない)など怒涛の展開に目を奪われ息つく暇もありません。

 そして、単に被害者の息子から頼まれて「成りすまし」の面会者であった夏目アラタが口先八丁で申し込んだ結婚が、本当の愛に変化していく心の機微、鮮やかな「伏線の回収」・・どれをとっても一級品のミステリーと言えましょう。

  死刑囚アイテムコレクターの藤田

 しかも、最終版のどんでん返しは誰しも予測不可能。まさか品川真珠の「歯」がボロボロだった理由が「最後の真相」に繋がっていたとは。

 とにもかくにも、ストーリーも演技も演出も絶品。加えて、映画のテーマソング、オリヴィア・ロドリゴの楽曲「ヴァンパイア(vampire)」も実に効果的。

 これ以上は書きません。ああ、いい映画に出会ったなぁ・・最高の時間でした。

 

/// end of the “cinemaアラカルト530「夏目アラタの結婚」”///

 

(追伸)

岸波 映画の進行は(回想シーンを除けば)殆どが、アクリル板一枚を挟んだ被疑者と面会者の会話。これって、名画『羊たちの沈黙』を彷彿させますね。

 『羊たちの沈黙』

 『羊たちの沈黙』でも終盤、囚人ハンニバルが鮮やかなトリックで拘置所を脱出しますが、『夏目アラタの結婚』では「ある真実」が判明して裁判は最初からやり直しに。

 夏目アラタは裁判長に「ならば、現時点で真珠を拘束できる法的根拠はあるか?」と問い質し、「ない」の答えに刑務官の静止を振り切り、バイクで真珠を掻っさらって「最後のドライブ」に出るシーンは激熱。

 これはまるでダスティン・ホフマンの『卒業』で、結婚式場から花嫁を奪って逃げ出す名シーンのよう。

 『卒業』

 そして、映画のラストも非常に印象的。アラタと真珠の「エアー結婚式」(妄想)で幕を閉じるのですが、原作では十数年後、二人が本当に結婚する場面が描かれています。

 そう・・この映画は、全てをひっくり返した超絶な「ハッピーエンド」に終わるのです。爽快感抜群。

 うん・・久しぶりに「激賞」しちゃった(笑)

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

夏目アラタの結婚(ようやく歯を治す)

(C)乃木坂太郎/小学館 (C)2024映画「夏目アラタの結婚」製作委員会

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト531” coming soon!

 

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