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「Freezing Conflagration」(佑樹のMusic-Room
by 岸波(葉羽)【配信2025.11.29】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 逃れられない、命懸けの【生放送】(ショウタイム)

 本年2月に劇場公開された阿部寛主演の『ショウタイムセブン』がAmaプラでリリースされたので鑑賞しました。

 原案は2013年製作の韓国映画「テロ,ライブ」で、これを日本に舞台を移しアレンジを加えたリメイク作品。

ショウタイムセブン

(C)2025「ショウタイムセブン」製作委員会

 視聴者評価は五段階評価の「3.0」、評価者数は449人。うむぅ・・あまり高いとは言えない。

 ならば「どの辺がダメなのか」を見ればいいと考え、ポチった次第。

 さて、その内容は?

 

 全国民がこの事件を【リアルタイム】で目撃する。

 映画の冒頭、活気にあふれたTVのニュースショー「ショウタイムセブン」のオープニング間近の現場。

 一方、かつてこの「ショウタイムセブン」の人気キャスターでありながら、突然系列ラジオ局に左遷された折本眞之輔(阿部寛)が、リスナー相手に「本日のお題」を告げる場面。

「さて、本日のテーマは『あなたは犬派?それとも猫派?』です」(あらららら・・)

ショウタイムセブン

(C)2025「ショウタイムセブン」製作委員会

 しかし、この緩い場面は、たちまち緊張に包まれる。

 最初の電話参加リスナー『ウスバカゲロウ』が「東京湾岸の火力発電所に爆弾を仕掛けた。間もなく爆破させる」と通告したのだ。

 冗談だと思い、電話を切ろうとする折本。だがその刹那、スタジオの窓から見える対岸の火力発電所で本当に爆発が起きる。

  現場から中継です(井川遥)

 以降、映画のあらすじと概要は以下の通り。

◆『ショウタイムセブン』のあらすじと概要(映画.comによる)

 阿部寛が主演を務め、テレビの生放送中に爆弾犯との命がけの交渉に挑むキャスターの姿をリアルタイム進行で描くサスペンス。2013年製作の韓国映画「テロ,ライブ」を原作に、「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」の渡辺一貴が監督を務め、オリジナル展開を盛り込みながら緊張感たっぷりに活写する。

 午後7時、ラジオ局に1本の電話が入り、その直後に発電所で爆破事件が起こる。電話をかけてきた謎の男は交渉人として、ラジオ局に左遷された国民的ニュース番組「ショウタイム7」の元キャスター・折本眞之輔を指名。これを番組復帰のチャンスと考えた折本は生放送中の「ショウタイム7」に乗り込み、自らキャスターを務めて犯人との生中継を強行する。

 

 しかしそのスタジオにも、すでにどこかに爆弾が設置されていた。自身のすべての発言が生死を分ける極限状態に追い込まれた折本の姿は、リアルタイムで国民に拡散されていく。

「ショウタイム7」の現役キャスター・安積を竜星涼、新人アナウンサー・結城を生見愛瑠、折本の過去の盟友である記者・伊東を井川遥、視聴率第一主義のプロデューサー・東海林を吉田鋼太郎が演じる。

2025年製作/98分/G/日本
配給:松竹、アスミック・エース
劇場公開日:2025年2月7日

 映画の「つかみ」はバッチリ。急転した場面にたちまち引き込まれました。犯人の目的はいったい何か? 何故、折本のラジオ番組に連絡を入れてきたのか?

 しかし折本は警察に通報しようとするスタッフを静止し、古巣の「ショウタイムセブン」のプロデューサー東海林剛史(吉田鋼太郎)に連絡を入れる。

「テロ犯人から電話があった。俺をショウタイムセブンに出演させるなら『独占生中継』ができるがどうか?」と。

  折本と交代しろ! ええ~?

 犯人とのやり取りを生中継する中で、犯人は6年前の大和電力城東火力発電所の拡張工事事故で命を落とした建設作業員の息子であることが判明。

 犯人の要求はただ一つ「大和電力の社長をTV局に召喚し、カメラの前で事故の隠ぺいを『謝罪』すること」だと言う。

 6年前の拡張工事は、千葉県で開催される「G20サミット」のために行われたもので、作業員に不眠不休の無理な勤務体制を強いたことが遠因となっていたが、サミットへの影響を懸念し、大和電力と時の政府は事件を隠蔽していたのだ。

  混乱するスタジオ

 犯人の要求は次第にエスカレートし、2時間以内に総理大臣水橋孝蔵(佐野史郎)をTVカメラの前で謝罪させよと言い、それを「無理な要求だ」と撥ねつけると、ならば「お前たちのTV局を爆発させるとして、女性アナウンサー結城千晴(生見愛瑠)の目の前のマイクが爆発する。

 さらに「逃げようとすれば、スタジオのお前たち全員を爆殺する」とも。

 用意周到すぎる犯人の行動。いったい彼の真の目的は何か?はたまた、自身のイヤホンを外そうとすれば「まずお前を殺す」と告げられた折本の運命や如何に!?

ショウタイムセブン

(C)2025「ショウタイムセブン」製作委員会

 そんな進行ですが、犯人の要求・行動が常軌を逸してきて、さすがに「引き」ました。

 また、折本(阿部寛)のキャラも「事件を視聴率稼ぎ」に利用する思惑が前に出すぎて、さっぱり「感情移入」できません。(ダークヒーローでさえ無い)

 感情移入できる登場人物が居ないというのは致命的ではないでしょうか。

  視聴率第一の折本(阿部寛)

 また「演技」という点だけ見れば、さすがベテランの阿部寛、そしてプロデューサー役の吉田鋼太郎はしっかりしています。

 しかし、キャスターの席を奪われて嫉妬に狂う現キャスターの安積征哉(竜星涼)が(演出のせいなのか)大声上げて折本を追及する側に廻ったり、台詞そのものが聞いていられないくらい酷い女性アナウンサー役の生見愛瑠など、稚拙なキャスティングや演出が目立ちます。

  安積征哉(竜星涼)犯人側かよ!

 これは脚本そのものがダメダメだなと感じましたが、もしかすると原案となった韓国映画『テロ,ライブ』自体がそうなのかも。(観てませんが)

 ただ、荒唐無稽な進行であっても、火力発電所の追加爆破や犯人を説得するために現れた高校恩師が、スタジオで爆殺されるなど、派手なシーンが次々と出て来るので、最後まで見てしまった(笑)

  マイクを爆破される女子

 ラストでは、折本自身が過去に追及していた隠ぺい事件や新薬開発に関する厚労省のデータ改ざん事件に関して、政府、企業、TV局上層部に篭絡され、それに加担することでキャスターの地位を得ていた事実が明らかにされ、全国放送されていまいます。

 しかし折本はそこで、「自分は生きるべきか死ぬべきか」を視聴者アンケートするという信じられない行動に出、集計結果が画面に出る前(本人は見た)に、爆弾付のイヤホンを嵌めなおして爆破スイッチを押します。

ショウタイムセブン

(C)2025「ショウタイムセブン」製作委員会

 いやぁ・・この脚本、もう付いていけません。

 しかも、しかもですよ。折本の爆破シーンまでは画面に出ませんが、これだけ大変な事件が起きているのに、各TV局は、ロンドンで発生した同時多発テロ事件やパフュームの新曲披露に画面を切り替えて、事件を「済んだこと」にしてしまう・・この脚本・演出はさすがに酷い。

 制作者は「ニュースを消費するマスコミ」に皮肉を効かせたつもりかもしれませんが、浅薄すぎて「へそが茶を沸かす」わ!(若い人、知らないかな、コレ?)

 ということで、『絶対に観てはいけない映画』に堂々の殿堂入りです。(笑)

 

/// end of the “cinemaアラカルト501「ショウタイムセブン」”///

 

(追伸)

岸波

 折本が爆破スイッチを押すシーンの後でスタジオの爆破シーンが無く、ロンドンで爆破事件が起きるニュースが飛び込みました。

 このタイミングについて、一部の鑑賞者から「爆破スイッチは折本の爆弾ではなく、G20にも参加していたイギリス政府を狙ったもの」という指摘が上がっています。

 いやいやいや・・それはぶっ飛び過ぎだろうと思いましたら、この映画をノベライスした『小説 ショウタイムセブン/ひずき 優』の巻末インタビューで、 渡辺一貴監督が「読んだ方に想像力を羽ばたかせてもらえたら」と述べていました。

 ええ~ じゃあナニかい?「ご想像にお任せします」ってことなんだ?

 こういう読者・観客に「深読み」を促すやり方って「あざとい」ですよね。

 あと「犬派?猫派?」から始まってラストの「Live?death?」は韻を踏んだつもりかもしれないが、これも「あざとい」。

 ドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズの脚本・監督だけれど、一気に「大嫌い」になりました。今度はちゃんと監督名を見てから作品を見ることにしましょう(笑)

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

ショウタイムセブン(何でだよ!)

(C)2025「ショウタイムセブン」製作委員会

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト502” coming soon!

 

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