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「Glidin'」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2025.11.22】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 三つの決斗に唸る豪剣八相くずし!

 これは先般死去した仲代達矢主演の『切腹』のキャッチコピー。

 今週の当番は、カリスマ彰氏です。

切腹

(C)1962松竹株式会社

 カリスマ彰氏が考える俳優仲代達矢の「マイ・ベスト映画」はこの『切腹』。

 今回も「追悼」並びに「映画感想」の合体版。

 

◆『切腹』(1962年 小林正樹監督 133分)

 雲を呼び風を起こす
 尾羽うち枯らした素浪人津雲半四郎!!
 怒りの刃は”構えあって構なし”
 豪放仲代の必殺十字剣!

カリスマ彰 仲代達矢(1932.12.13~2025.11.8)が92歳で11月8日に肺炎のために死去した。yahoo!ニュースの訃報記事の人物紹介は以下の通り。

◆仲代達矢(なかだい・たつや)1932年(昭7)12月13日、東京都生まれ。

 52年に俳優座養成所に入り、55年に俳優座入団。75年に妻宮崎恭子さんと無名塾を設立。代表作は舞台「リチャード三世」「マクベス」「どん底」など、映画「人間の條件」「切腹」「影武者」「乱」「海辺のリア」、ドラマはNHK大河「新・平家物語」など多数。一人芝居「バリモア」に出演、全国巡業も行った。
07年文化功労者、15年文化勲章。

 演劇の世界のことはよく分からないが、映画の世界で仲代は「人間の條件」(1959年、小林正樹監督、原作は五味川純平の同名小説)の主役抜擢で脚光を浴びた。

(※「人間の條件」は1959年から1961年にかけて公開された三部作。下の画像は1961年のもの↓)

人間の條件

(C)1961松竹株式会社

 「七人の侍」(1954)のオーディションで落ちて頭に来ていたらしく出演依頼を固辞していたのだが、黒澤明から直接出演を要請され、「用心棒」(1961)「椿三十郎」(1962)「天国と地獄」(1963)の脇役(「用心棒」では敵対する一家の用心棒役、「椿三十郎」では陰謀を企む大目付の腹心役、「天国と地獄」では警部役)で出演。主役は三船敏郎で仲代はいずれも脇役である。

「天国と地獄」1963年

 その後、「影武者」(1980)、「乱」(1985)では堂々たる主役として「世界の黒澤」の大看板になっていた。もっとも「影武者」は黒澤と衝突して突然降板した勝新太郎の代役ではあったが。

  私は仲代のちょっと仰々しいセリフ回しがあまり好きではない。映画俳優ではなくて、根っからの演劇人なのだろう。私は「影武者」「乱」よりも黒澤映画としては「用心棒」「椿三十郎」の方が名作だと思う。

「椿三十郎」のラスト。この睨み合いの後、映画史上に残る凄いシーン。三船と仲代のちょうど中間にいるのは加山雄三

 上記の訃報の人物紹介で「用心棒」「椿三十郎」が欠落しているのは映画をよく知らない記者が書いているからだ。

 特に「椿三十郎」は郷里の封切映画館で父母と一緒に見たのを鮮明に覚えている。TVの普及でそろそろ映画に陰りが出たころだが、まだ親子そろって映画館で映画を見るような習慣があったのだ。

  「椿三十郎」には映画史上に名高いラストの決闘シーンがある。私は8歳。噴水のように突如吹き上がるものが何なのか?モノクロ映画のためよく理解できなかったのだ。

「椿三十郎」

 剣道四段の父が終わってから解説してくれた。「あれは血しぶきだよ」。三船演ずる椿三十郎の超高速抜刀の結果だったのである。

 仲代はその切られ役だが実に見事。見ていない方は絶対に見て欲しい。「映画リアリズム」の極致だ。「映画はこんなことができるんだ」とこの映画に影響を受けた映画監督は世界中にいると思う。

  なお仲代は1962年に小林正樹監督の「切腹」という傑作映画で主役を演じている。私はこれこそ仲代の代表作だと思う。仲代の仰々しいセリフ回しが生かされている。

切腹

(C)1962松竹株式会社

 この「切腹」は「HARAKIRI」のタイトルで出品されたカンヌ映画祭で審査員特別賞を受賞している。

 1962年度のキネマ旬報日本映画部門では、「切腹」が3位、「椿三十郎」は5位だった。

 ちなみに同年度の1位は「私は二歳」(市川昆監督、松田道雄の同名育児書によるドキュメンタリー風映画。主演は船越英二と山本富士子)、2位は「キューポラのある街」(浦山桐郎監督、吉永小百合主演)、4位は「破戒」(市川昆監督、島崎藤村原作、主演は市川雷蔵)だった。

 私は3位と5位作品以外は見ていない。

 

/// end of the “cinemaアラカルト500「仲代達矢のマイ・ベスト映画は何か?」”///

 

(追伸)

岸波

 我らが小学校低学年の頃の映画だな。同時代で観ていたのは東映の『次郎長三国志』・『森の石松』とか大映の市川雷蔵の『眠狂四郎』シリーズ(円月殺法!)だったな。

 僕がエンタメ路線だったことが良く分かるが、実は「ある事情」で当時の福島の映画館、東映と大映はいつでも「フリーパス」だったのだよ(笑)

 黒澤明モノとか見たのは「同時代」ではなくずっと後年になってから。深刻なのはあまり好みではなかった。(もちろん『七人の侍』や『隠し砦・・』はOK!)

 だから仲代達矢モノ、特に『切腹』とかはタイトルからして食指が動かないなぁ(残念!)

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

切腹

(C)1962松竹株式会社

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト501” coming soon!

 

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