こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
知られざる英雄たちの実話、
完全映画化!
Amaプラで高評価の未見作品を漁っていましたら、この映画が目に留まりました・・ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本・主演を務めた『ミケランジェロ・プロジェクト』。
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ミケランジェロ・プロジェクト
(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved. |
五段階評価で「4.5」、評価者数は8,987人。うむ、これなら間違いないということで視聴。
特に気に入ったのが、作品の四つのキーワードが「ドラマ・コメディ・知性に訴える・啓発」であったこと。(僕にピッタリだ!)
さて、その内容は?

芸術はプロ 戦争はド素人
美術品奪還プロジェクト
映画の冒頭、ベルギーの聖バーフ大聖堂の神父たちがカトリック教会の至宝とされる『ヘントの祭壇画』を解体して梱包しどこかに運び出そうとしている。
岸波 『ヘントの祭壇画』は12枚のパネルから成る。
すると、場面が切り替わって1943年のパリ(占領下)。
ヒトラーの側近ゲーリングが美術品を収奪したビルに乗り込んで来て、『ヘントの祭壇画』をはじめ多くの美術品がナチス・ドイツの手に渡ったことを暗示される。
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ミケランジェロ・プロジェクト
(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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一方、アメリカのハーバード大学美術館長のフランク・ストークス(ジョージ・クルーニー)は、ドイツ軍がヒトラーの「総統美術館」建設のため、西欧の美術品を略奪していること、戦火により歴史的絵画・彫刻・建築物が失われていることをフランクリン・ルーズベルト大統領に訴えている。
大統領は理解を示すが「そのための部隊を編成する余裕はない」とし、ストークス館長自身が有力メンバーを糾合して、救出部隊『モニュメンツ・メン』を編成するよう指示する。
以降、映画のあらすじと概要は以下の通り。
◆『ミケランジェロ・プロジェクト』のあらすじと概要(映画.comによる)
ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本・主演を務め、第2次世界大戦中の実話を映画化したサスペンス。
ヨーロッパ各国に侵攻したナチスドイツが歴史的に重要な美術品の略奪を繰り返していた第2次世界大戦下、ルーズベルト大統領から建造物や美術品を保護する任務を託された美術館館長フランク・ストークスは、7人の美術専門家で構成される特殊チーム「モニュメンツ・メン」を結成し、危険な状況下で美術品保護のための作戦を遂行していく。

主演のクルーニーほか、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、ケイト・ブランシェットら豪華キャストが出演。
2014年製作/118分/G/アメリカ
原題または英題:The Monuments Men
配給:プレシディオ
劇場公開日:2015年11月6日 |
このテーマは、博物館の副館長や財団の遺跡調査部長を務めた僕にとっては非常に魅力的。
第二次世界大戦末期に、こうした部隊が活躍して多くの美術品をレスキューしたことは聞いていましたが、それが映画で観れるなんて!
ヘントの祭壇画
そしてまた、制作も務めたジョージ・クルーニーが自身で集めた豪華なキャストまた素晴らしい。
実際のモニュメンツ・メンは20~30人居たとされますが、映画では「8人」に絞られました。(名前も実在の人物とは変えられている)
その隊長を務めるのが美術館長ストークス(クルーニー)、ほか、メトロポリタン美術館のキュレーターのジェームズ・グレンジャー(マット・デイモン)、シカゴの建築家リチャード・キャンベル(ビル・マーレイ)などなど。
学芸員クレール・シモーヌ
さらに、ナチス占領下の美術館で強制的に働かせられながら、密かに美術品の持ち主や輸送先を調べ続けている学芸員クレール・シモーヌにはケイト・ブランシェット。
こうした名優たちの競演を目にするだけでも一見の価値があるでしょう。
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ミケランジェロ・プロジェクト
(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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また、『ヘントの祭壇画』と並んで、ミケランジェロ制作の『聖母子像』の奪還が大きなテーマとなっており、映画の日本語版タイトル『ミケランジェロ・プロジェクト』は、ここから付けられたものと。(原題は『The Monuments Men』)
映画の序盤から中盤にかけては残虐な戦闘シーンもなく、ジョークの効いた会話が散りばめられ、引き込まれて行きます。
ミケランジェロの聖母子像
ところが『聖母子像』の略奪を守ろうとしてモニュメンツ・メンの一人、ドナルド・ジェフリーズ(ヒュー・ボネヴィル)が身を挺して戦死・・この辺りからコメディ・ベースが崩れ始め、アレアレと・・。
岸波 犠牲者は実際の話ですが、映画のトーンが変わってしまう部分に違和感が。
それと、8人がいくつかのチームに分かれて話が進行するので、せっかく名優を揃えたのに人物像の「掘り下げ」が足りず、感情移入がイマイチでした。

また、割と簡単に美術品が発見されてしまうので、プロット的にも盛り上がりを欠く印象でした。
一番の原因は、「ヒトラーが死んだ場合、奪った美術品はすべて破壊・焼却せよ」という『ネロ指令』が実際に発動し、最後まで見つからない『ヘントの祭壇画』と『ミケランジェロの聖母子像』の安否が最大のサスペンスになるはずが、観ている観客視点では歴史的には「安全に回収されている」のが『既知の事実』である点。
そんなこんなで「手に汗握る」ようなことはなく、何となく予定調和で終わってしまったのです。
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ミケランジェロ・プロジェクト
(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.
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自分の感覚がおかしいのかと思って調べると、いつも見ている「Rotten Tomatoes」で批評家支持率は31%、平均点は10点満点の5.2点となっていました。やはりね・・。
テーマ自体は非常に意義あるもので、彼らの命がけの努力が人類の欠け替えない財産を守った事実も啓蒙されるべきでしょう。
仮にNHKの『プロジェクトX』のチームが、このテーマを扱っていたとしたら、映像史に残る一本となっていたかもしれません。惜しい、実に惜しい。
やはり「コメディ」から入ったところが、違っていたかもしれませんね。
/// end of the “cinemaアラカルト499「ミケランジェロ・プロジェクト」”///

(追伸)
岸波
この映画には原作があり、ロバート・M・エドゼルによる書籍『ナチ略奪美術品を救え 特殊部隊「モニュメンツ・メン」の戦争』でした。
脚色の方向を間違うと、こういうことになるのかな・・と思いました。
ただ、北米市場での公開初週末ランキングでは「2位」となり、ジョージ・クルーニー監督映画としては過去最高の初動成績であったそうです。
この点については、「豪華キャストと実話であることを強調した宣伝が功を奏した結果であろう」と論評されています。
もうちょっと期待したんだけどな・・残念です。
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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ミケランジェロ・プロジェクト
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