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「Glidin'」(TAM Music Factory)
by 岸波(葉羽)【配信2025.11.8】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 いま、あなた自身に鮮やかな衝撃

 これは先日死去した女優ダイアン・キートンの代表作『ミスター・グッドバーを探して』のキャッチコピー。

 今週の当番は、カリスマ彰氏です。

ミスター・グッドバーを探して

(C)1978パラマウント=CIC

 今回は、ダイアン・キートンの逝去に伴う追悼と、カリスマ彰氏が彼女の代表作と考える『ミスター・グッドバーを探して』の感想記事二本の合体版です

 

◆『ミスターグッドバーを探して』(1977年 リチャード・ブルックス監督 135分)

 マンハッタンでひとり
 見知らぬ夜に抱かれて
 性にさすらうテレサ…

カリスマ彰 ダイアン・キートンが10 月11日に79歳で死去。死因は皮膚癌から転移した癌のようだが、死の目前はやせ細っていたという。

 キャリアの最初期に舞台に立ちたいなら痩せろと演出家から言われたのが原因で罹患した拒食症は晩年まで続いていたのだろうか。

 いずれにしても悩み多き、恋多き人生だったようだ。

  晩年のダイアン・キートン

 それにWikipediaで見ると彼女は映画監督、脚本家としても活動していたようだ。 今回死亡記事で引用される映画は「ゴッドファーザーPARTⅡ」「アニー・ホール」ばかり。

 「アニー・ホール」はともかく、「ゴッドファーザーPARTⅡ」はどうなの?知らない記者が書いているのではないだろうか。

 「ゴッドファーザーPARTⅡ」

 無理もない。同時代人として彼女の映画を見た人間でないとちゃんとした死亡記事・追悼記事は書けないものだ。

 私は「ミスター・グッドバーを探して」がダントツ彼女の代表作だと思うが。

ミスター・グッドバーを探して

(C)1978パラマウント=CIC

 3年前ぐらいに小生が書いた記事が以下。

◆『ダイアン・キートンを名女優にした社会派映画「ミスター・グッドバーを探して」』・・・カリスマ彰

 TV放映された映画「ミスター・グッドバーを探して」(1977年 リチャード・ブルックス監督 2時間15分)を録画して見た。見た記憶があったが、予告編を見て見た気になっていただけのようだ。

 実際にあった事件をもとにジュディス・ロスナーが小説化してベストセラーになったものを映画化した映画で、自立した女たちのライフスタイルのダークサイドを実に見事に描いている。

 聾唖学校教師をしている女性(ダイアン・キートン)が一人暮らししているアパート近隣のバーで男漁りをして自宅に引き入れSEXを楽しんでいる生態をかなり克明に描写。45年前の作品だが、結局こうしたジキル&ハイド的人間存在の二重性は永遠のテーマだということが分かる。

 

 聾唖学校のこんなに生徒思いの立派な先生が、こんな自堕落な生活をするなんて脚本が不自然だと言っても、「実際にあった話」なんだからという反論には逆らえない。

 ダイアン・キートンはウッディ・アレンのアイロニカルなコメディ作品への出演が多かったので、違和感がないでもないがやはり一種の寂寥感を漂わせた見事な演技と言えるだろう。

 
 酒場で言いよる男役にリチャード・ギア

 さらに主人公の姉(チューズデイ・ウェルド)の奔放なセックスライフは、1970年代後半のパワフルなフリーセックスの時代を表現しているが、これが1980年代のエイズの跳梁跋扈に繋がっているのではないか。  

 
 当時31歳のダイアン・キートンがヌードもいとわぬ体当たり演技を見せた

  キートンは、1977年ウッディ・アレン監督の「アニー・ホール」でアカデミー賞主演女優賞を受賞、この「ミスター・グッドバーを探して」のシリアスな社会派作品の演技と合わせて完全に名女優の地位を確定した。

 

 この映画公開の20年後の1997年、渋谷の円山町で東電OL殺人事件があった。慶大経済学部を卒業したエリートOLが夜は売春婦をしていて殺された事件だが、まさに「ミスター・グッドバーを探して」の日本版の事件でネパール人が逮捕され懲役判決を受けて刑務所に収監されたが、後に冤罪の認定を受け無罪釈放された。

 いろいろな意味で、「ミスター・グッドバーを探して」は、アメリカのサブカルチャー史においては重要なマイルストーンになった作品と言えるのではないだろうか。

 蛇足だが追悼記事の末尾に「冥福を祈る」という語句を安易に書いている日本人が多いが、この「冥土」というのはあの世。あの世の存在を信じている方だけが使って欲しいものだ。

 好きな女優だった。セクハラ事件ですっかり評判を下げたが1970年代後半にウッディ・アレンが評価され始めた頃の映画には欠かせない女優だった。

「時代と寝た」女優と言っていいかもしれない。こういう女優が少なくなった。合掌。

 

/// end of the “cinemaアラカルト498「ダイアン・キートンが79歳で死去。
私が選ぶ彼女のベスト映画は?
」”///

 

(追伸)

岸波

 映画の内容より、最後の方のコメント「冥福を祈る」という語句を安易に書いている日本人が多いの部分で焦った。

 あまり意識せずに書いていたかもしれないな。(汗)

 これからは、日本人に対してだけ使うようにしよう。

 ←(いや、日本人も仏教徒とは限らないか。う~むぅ・・)

 

 ともあれ、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

ミスター・グッドバーを探して

(C)1978パラマウント=CIC

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト499” coming soon!

 

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