こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。
大傑作ホラー、5年ぶりの続編
息を殺し続ける98分間を映画館でーー
一月ほど前にAmaプラで鑑賞した『ドント・ブリーズ』の続編、『ドント・ブリーズ2』がリリースされたので視聴しました。
前作はまさに新感覚ホラー・エンターテインメント。Rotten Tomatoesの平均評価も7.3点(10点満点)の好成績。興行的にも大成功した作品でした。
しかし、話は完結したはず。どうして続編が作れるのか??
まさに、その興味一点で観始まったのです。
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ドント・ブリーズ2
(C)2021 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント |
すると驚きの展開が。なんと前作の「殺人鬼」が今作の主人公。しかもヒーロー!?
どゆこと!?
さて、映画の内容はいかに?

この盲目の老人が大切にしているモノ、それは”少女”
映画の冒頭、郊外の家の火事から逃げ出した少女が、力尽きて道路に倒れる。そしてスクリーンに「8年後」と表示される。
焼け落ちる住宅
場面はいきなり転換し、猛犬に追われて森の中を逃げ惑う少女。空き地に出た先に無人の車が停めてあり、座席の荷物から弾の籠った銃を発見。
「やった!」と口にして安堵したその刹那、背後から現れた男に羽交い絞めされる。
え、いったい何が起こってる!?
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ドント・ブリーズ2
(C)2021 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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実はコレ、父親ノーマン(スティーヴン・ラング)が養女フェニックス(マデリン・グレイス)に課しているサバイバル訓練。
ノーマンは米軍の退役軍人でイラク戦争で視力を失い、8年前に起きた住宅火事から救出したフェニックスを養女にし、二人暮らしをしているのだ。(ほかに飼い犬のシャドーも)
盲目の退役軍人ノーマン
ノーマンはフェニックスを学校に行かせず、ほとんど家の中だけで暮らさせている。
生活に必要な物資は軍隊仲間の女性兵士ヘルナンデス(ステファニー・アルシラ)が調達の世話をしている。
街に連れ出すヘルナンデス
ある日、「たまには街の空気も吸わせないとダメ」と、フェルナンデスがフェニックスを買物に連れ出すと、不審な男に付きまとわれる事件が発生。
男は仲間を引き連れて二人の車を尾行し、フェニックスを家に下ろしたフェルナンデスを殺害。駆け付けてきた猛犬シャドーも殺害。(あらららら・・)
侵入者のボス/レイラン
そのまま家に侵入し、フェニックスを連れ去ろうとする。事態を察知したノーマンはフェニックスに隠れるよう指示し、この無法者に闘いを挑むこととなる。
さて、男たちの真の目的とはなにか? そして、盲目のノーマンは屈強な賊たちに勝利できるのか? はたまた、登場してきた賊たちのボスの驚きの正体とは!?
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ドント・ブリーズ2
(C)2021 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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そんな進行ですが、大ヒットした前作についても触れておきましょう。
前作の主人公は、ノーマンの家に強盗しようと侵入した若者たちの方でした。
ノーマンは除隊後、杖替わりに実の娘と暮らしていましたが、交通事故でその娘を失い多額の賠償金を手にします。

彼らの狙いはまさにその「金目当て」で、盲目の老人相手なら簡単に仕事が済むと考えていたのです。
ところがノーマンは、元ネイビーシールズの腕利きの戦闘員。視力を失っても驚異的な聴力を生かした格闘術の天才。
一作目の殺人鬼ノーラン
しかもこの家には「秘密」があり、秘密に触れたかもしれない侵入者を生きて返すことはできないのでした。
その秘密とは、地下室に監禁している「自分の娘を事故で殺した富豪の娘」。
ノーマンは娘の存在を奪った相手を許すことが出来ずに誘拐し、「新たな娘」を得るために妊娠させ監禁状態に置いていたのです。
かくして、脱出を阻まれ、電源を切られた暗闇の中で、青年たちは次々と「狩られて」いきます。(お~コワ!)
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ドント・ブリーズ
(C)2016 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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いやぁ怖い映画でした。殺人鬼と化した盲目の老人は考え方からしてサイコパス。謝罪も説得にも全く応じない。画面に目が釘付けとなりました。
”暗闇の中の闘い”というと思い出されるのがオードリー・ヘプバーンの名画『暗くなるまで待って』。
『暗くなるまで待って』
あの映画では、殺人者に狙われたオードリーの方が「盲目」でした。
暗闇の中、犯人に冷蔵庫を開けられて、オードリーの姿が浮き上がるクライマックスシーンでは、劇場に悲鳴が上がったっけ。(おっと、ネタバレはこのくらいにしておこう)
この『ドント・ブリーズ』も、あの名作を彷彿させるスリルとサスペンス。素晴らしいホラー映画だったのです。
怖っ!!
で、話を戻しますが、その「殺人鬼」が今回の主人公。8年前の事件(『ドント・ブリーズ1』の方)の結末では、主人公の女性一人だけが脱出に成功し、盲目老人ノーマンは「強盗の被害者」として病院に保護され、終わっていました。
巻き添えで死んだ「監禁女性」は死体ごと溶かして処理された。
そのノーマンが、今回は養女を守る正義のヒーロー・・かと言うと、そんな単純な脚本でない事は予想が付きました。

フェニックスを誘拐した賊たちのボスは、8年前に自宅地下室で「違法薬物の精製」に失敗し、爆発炎上させて逮捕・収監されていたフェニックスの「実の父親」。
つまり娘を取り戻すのが目的でした。これを持って「正・悪」が逆転・・かと思うと、そうでもない(笑)
娘を取り戻す目的が、臓器移植を受けないと死期が近い妻を救うため、「適合する娘の臓器」を摘出するという意図だったのです。
(これはもう「鬼・悪魔」としか言いようがない)
娘からの臓器移植を待つ母
長年育てた養女を奪われ、自宅を燃やされ、更には満身創痍となったノーマンは、単身「敵地」に乗り込んで最後の闘いを挑みます。
さあ、その結末や如何に!
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ドント・ブリーズ2
(C)2021 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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殺人鬼をヒーローに換えてまで撮影された『ドント・ブリーズ2』・・これは、そのくらい主演のスティーヴン・ラング(ノーマン役)の演技が素晴らしかったという事でしょう。
スティーヴン・ラング近影
どこかで見た顔だなと思って調べてみると、『アバター(1&2)』の悪役、アメリカ宇宙軍のマイルズ大佐の役者でした。ほかに『移動都市/モータル・エンジン』などにも出演。
現在の実年齢は僕より二つ上の72歳。主に悪役を務めて来た俳優さんが年を取って「いい味」を出すのはよくあること。素晴らしい演技でした。
この年齢で「屋根落ち」とか本当に痛そうなアクションまで!(驚)

ただ、興行収入は一作目の4割にも及ばず、Rotten Tomatoesの平均評価も4.9点(10点満点)と振いませんでした。
やはり、前作そのままのパターンを予想し、期待した人が多かったのでしょうか。
評論家の論評では「この続編のストーリーは彼のキャラクターを前進させる賢明な方法を見いだすのに苦労している」とされています。
僕としては悪くない脚本だと思うのですが。
/// end of the “cinemaアラカルト475「ドント・ブリーズ2」”///

(追伸)
岸波
映画のラストで、今回の主人公ノーマンは敵ボスと相打ちになって死んでしまいます。(と書いている解説サイトが大多数)
ところが、エンドロールの後に挿入されたシーンで、猟犬が倒れたノーマンの死体に近づいて指先を舐める仕草がありました。
その時に、ノーマンの指先が「微妙に動いた」と指摘するサイトが。慌てて見直すと確かに動いた気もする。
やっぱり「続・続編」に向けた伏線張ったかな。しかし興行成績がこれじゃぁ・・?
では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !
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ドント・ブリーズ2
(C)2021 ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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