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「Freezing Conflagration」(佑樹のMusic-Room
by 岸波(葉羽)【配信2025.5.31】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 僕を信じてほしい
 最後のお願いだ

 5月21日の水曜日、『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の先行上映会に参加して来ました。

 4億ドルという巨額の製作費を投じ、1996年の第一作『ミッション:インポッシブル』から30年、今回で8作にわたるシリーズの総決算となる本作、見逃すわけにはいきますまい。

 しかぁしっ!!

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング

(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

 シリーズ初めての「前・後編二部作」の完結編となる『ファイナル・レコニング』ですが、2023年に公開された前編『デッド・レコニングPART ONE』に引き続き公開される予定だったのが、コロナ禍や俳優組合のストライキ等で伸びに伸び、今回の封切りとなったもの。ずいぶん待たされました。

本来は前・後編とも2022年に公開される計画だった。タイトルは当初予定の『PART TWO』から変更された。

 また。今回のアクションも力が入っていました。白眉はロシアの沈没潜水艦に乗り込むシーンと複葉機上の闘いでしょうか・・こんなのが169分、もうお腹いっぱいです。

 さて、実際の映画の内容はいかに?

 

 すべての不可能がここにつながる――
 トム・クルーズが挑む、
 "最後(ファイナル)"のミッション

 今作は、イーサン(トム・クルーズ)が自我を持ったAI「エンティティ」を制御するための「鍵」を入手し逃亡してから2か月後の世界。

 彼は、もしこの「鍵」をアメリカ政府に渡せば、エンティティ(人類滅亡を企てている人工知能)を使った世界征服に繋がるのではないかと危惧して逃亡を続けている。

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング

(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

 しかし一方では、エンティティが各国の核ミサイル発射システムの乗っ取りを進めており、残ったロシア・中国・米国が傘下に入るのも時間の問題。

 さらにエンティティは情報操作により世界の分断を図っており、各地で生まれたエンティティ信者が世界の終りを叫ぶカオスな状況が到来していた。

 アメリカ大統領のエリカ・スローン(6作目ではCIA長官)は、事態打開の最後の希みはイーサンしか居ないと考え、エンティティの破壊を依頼することに。

  エリカ大統領の決断

 ミッションを引き受けたイーサンは仲間のルーサー、ベンジーと合流。さらに、エンティティの代理人として策動していたガブリエル(イーサイ・モラレス)の元部下パリス(ポム・クレメンティエフ)を仲間に引き入れるため、収監中の刑務所へ潜入。

  収監中の殺し屋パリス

 見事、作戦に成功したイーサンは、パリスから「ガブリエルがロンドンで開催されるパーティに出席する」という情報を得て、仲間の女スリ・グレース(ヘイリー・アトウェル)を伴ってロンドンへ。

 しかし二人は、ガブリエルの罠に嵌って捕縛されてしまう。

 さて、イーサンはガブリエルとエンティティの陰謀を阻止することができるのか? その鍵となる「ラビットフット」の正体とは? はたまた世界の運命や如何に!?

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング

(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

 という進行ですが、映画の概略は以下のとおり。

◆『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(2025年)の概略 (映画.comより)

 トム・クルーズの代表作で、1996年の第1作から約30年にわたり人気を博してきた大ヒットスパイアクション「ミッション:インポッシブル」シリーズの第8作。前作「ミッション:インポッシブル デッドレコニング」とあわせて2部作として製作され、「デッドレコニング」から続く物語が展開。前作のラストで世界の命運を握る鍵を手にしたイーサン・ハントと、その鍵によって導かれていくイーサンの運命が描かれる。また、これまでほとんど語られてこなかったイーサンの過去などが明かされる。シリーズおなじみとなったトム・クルーズ本人によるスタントシーンも健在で、今作では飛び回る小型プロペラ機にしがみつく空中スタントなどが見どころとなる。

 

 スパイ組織「IMF」に所属する主人公イーサン・ハント役のトム・クルーズ、「M:i:III」で登場して以降、イーサンの盟友となっているベンジー・ダン役のサイモン・ペッグ、シリーズ全作に登場しているルーサー・スティッケル役のビング・レイムスらおなじみのメンバーはもちろん、前作「デッドレコニング」から登場したグレース役のヘイリー・アトウェル、パリス役のポム・クレメンティエフ、ガブリエル役のイーサイ・モラレスも続投。トム・クルーズ主演作で監督や脚本、製作を数多く担ってきたクリストファー・マッカリーが、今作でもメガホンをとった。

 今回のストーリーは非常に複雑で、様々な敵味方が登場するので、うっかり気を抜くと関係性を見失ってしまいます。

 まず、イーサン&女スリ・グレースのパーティとベンジー率いる別動隊は別行動するので、別々のストーリーが行き来します。

 

 そして、本来の敵は人工知能の「エンティティ」ですが、前編でその「代理人」となっていたガブリエルは前回の任務の失敗でAIに見限られ、逆にエンティティを支配するための制御プログラム「ラビットフット」の行方を探しています。

  宿敵ガブリエル

 また、イーサンのチームはエリカ大統領から直々に依頼されたミッションのため活動していますが、イーサンに私怨を持つCIAの上級捜査官ジャスパー・ブリッグスのチームが悉く邪魔をして来ます。(アメリカ海軍は味方、CIAは敵)

  CIAのジャスパー・チーム

 さらに、「ラビットフット」は北極海近くの海底に沈没したロシア潜水艦の中にあるため、これを入手しようとするロシア軍も動いてきます。

 要するに、こうした敵味方入り乱れる乱戦が延々と続くのです。(169分間!)

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング

(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

 もう一つの複雑さの原因は、現在進行中のミッション以外に、第一作『ミッション:インポッシブル』から脈々と続いて来た過去作との因縁が説明され、過去作のフラッシュバックや回想シーンが入ること。

 これはコアなファンにはたまらないサービスかもしれませんが、ちょっと過剰な気もいたします。

 例えば、イーサンと敵対するCIAのジャスパーは、第一作でチームを裏切って最終的にイーサンに殺害される元IMFリーダー、ジム・フェルプス(ジョン・ヴォイト)の息子であったこと。(なので、私怨でイーサンを付け狙っている)

  第一作のジム・フェルプス(右)

そう言えば、前編『デッド・レコニング』に登場した武器商人ホワイト・ウィドウは、第一作の武器商人マックス(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)の「娘」だったという設定もありました。

 また、ロシアの沈没潜水艦セヴァストポリの位置を知るCIA職員ダンロー(ロルフ・サクソン)は、一作目でイーサンがCIA本部に潜入し、天井から宙吊りになってコンピュータからデータを盗むシーンで、データの保守管理していた人物でした。

  第一作のCIA職員ダンロー

 さらに、過去作でイーサンの相手役を務めたヒロインたちも、漏れなく「回想」に登場して来ます。

今回登場した「エンティティ」の制御プログラム「ラビットフット」は、第三作『M:i:III』で入手ミッションがあったものの、最後まで正体不明だったものです。

 うむぅ・・総決算の最終作として頑張ってみたのは分かるのですが、「伏線回収」と言うより、無理やり関係性を「後付け」した感がある。

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング

(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

 そもそも一作目から四作目までは、 ブライアン・デ・パルマ、ジョン・ウー、J・J・エイブラムス、ブラッド・バードなど別監督・別脚本家が独自色を出しながら撮った作品で、今回の「伏線」を引いたワケではないのです。

 オマージュくらいなら許せますがそれが「テンコ盛り」・・程度の問題だと思いますが、その辺どうだったか?

ただでさえ、ストーリーの進行が複雑なので。

 

 あと、細かいアラは幾つか目に付きます。終盤の複葉機上の対決でガブリエルは炎上した飛行機から「どうだ、俺はパラシュートを付けてるが、オマエの分はないぞ」と言って飛び降りたのに、いつの間にかイーサンもパラシュートで着地してたり。

 今回、新メンバーに加わったパリスやテオ・ドガに個人的な「見せ場」が無く、単なる「モブ」の役割であったこと。(必要だった?)

 

 エンティティをネットワークから引き出して、オフラインの「箱」に閉じ込めるシーンで、女スリのグレースが「0.1秒の早業」でネット回線を遮断するシーンでは「エンティティって光りの速さで動いてるのに勝てるの?」という疑問とか。

ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング

(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

 いずれにしても、還暦を過ぎたトム・クルーズのスタント無しのアクションは大したものでした。

 まだまだ続けて欲しい気もしますが、第一作から出演している無二のチームメイト、ルーサー(ヴィング・レイムス)が死んでしまったし、自我を持ったAIというこの上ない敵が登場してしまったし、単純な続編は無理そう。

 「分かりずらさ」はちょっと横に置いておいて、とにもかくにもトムさん、お疲れ様でした!

 

/// end of the “cinemaアラカルト473「ミッション:インポッシブル/
ファイナル・レコニング
」”///

 

(追伸)

岸波

 トム・クルーズは、前作『デッド・レコニング』の広報の中で、ハリソン・フォードが70代後半までインディ・ジョーンズをうまく演じていたことを理由に、「イーサン・ハント役でシリーズに出演し続けることに興味がある」と言ったそうです。

 しかし、今年5月の『ファイナル・レコニング』のニューヨーク・プレミアでは「今作が最後だ」と言明しました。

 たしかに、スパイアクションもギリギリのところまでやり尽くした感じがあります。

 『007』の新作の話もトンと聞きませんが、”スパイもの”は大体終わりかな?

 ちょっと淋しい気もいたしますが・・。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト2”で・・・See you again !

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ジャパンプレミア

(C)2024 PARAMOUNT PICTURES.

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト474” coming soon!

 

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